著名な単色画アーティスト 中環で個展開催

2016/11/15

単色画

Galerie Perrotinでは単色画を得意とする韓国人アーティスト、Chung Chang-Sup氏の展示会、“Meditation”を開催する。期間中は代表作であるMeditationシリーズを中心に、実験的で完成度の高い彼の作品達を鑑賞することができる。

Chung氏はMeditationシリーズにおいて韓国の伝統的な手製紙、“韓紙”を効果的に使用している。伝統的な様式の家で、窓を覆う韓紙を通して光の表情、季節のうつろいを見ながら多感な時期を過ごした彼が40年後、芸術家としてそこに可能性を見出したのは、ある種必然だったのかもしれない。韓紙を使っての創作で彼は、油絵を描いていた時には感じなかった一体感を得たという。Chung氏が創作に用いたのは、一般的な韓紙ではなく、自らプロデュースした、桑の天然繊維を丹念に加工して質感を生かしたもので、彼の作品が評価を得たことにより、紙産業を生業とする多くの企業や自治体は経済的に救われ、歴史上の遺物となっていた韓紙が、再度熱い注目集めるきっかけとなった。彼のこういった功績は、韓国の伝統を盛りたてて現代化し、守るべき本質として韓国文化を国際コミュニティの一部に加える足掛かりともなった。

単色画

彼の手で作品化された韓紙は観る者に高い神秘性、生命感を感じさせ、視覚的にも美しい。まるで呼吸するかのような生命感をたたえた作品達は、外のエネルギーを吸収し、中のそれをアウトプットする、紙の持つ能力を視覚的にイメージさせる。韓紙で作られたChung氏の作品はそんな2つの“窓”の役割を果たしている。それは外の世界へと繋がる窓であり、観る者を描き手であるChung氏の内面へと導く窓でもあるのだ。

今回はMeditationシリーズとして評価を得たシックな色合いのものだけでなく、作品のビジュアルを模索していく中で彼が生み出したビビットな色合いのものも展示する。実験的な側面も合わせて見ることで、Chung氏が作品を生み出す過程で感じた葛藤や、彼が作りだした世界をより多面的に知ることができるというのが関係者のねらいだ。

世界各地での個展の開催、NYのグッゲンハイム美術館をはじめ各国の美術館へ作品が永久収蔵されるなど、現代画家として第一線で活躍し、2011年にこの世を去ったChung Chang-Sup氏。自然に即した単色画の美学に生涯を捧げたChung氏の創作活動は、アーティストの”魂”というものを感じさせてくれる。彼の到達した精神世界と芸術を体感しに、会場へ足を運んでみてはいかがだろうか。

単色画

CHUNG CHANG-SUP “MEDITATION”
場所: Galerie Perrotin, 17/F., 50 Connaught Rd. Central
時間:~12月21日

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