クリスティーナ・モロナの香港初個展

2016/09/12

クリスティーナ・モロナの香港初個展「Second Chance」

クリスティーナ・モロノ

9月22日から10月29日、実力確かなスペイン出身アーティストクリスティーナ・モロノが香港で初の個展を開催。これまでサンフェルナンドロイヤルアカデミー賞やデアルテ法人によるホテル・プエルタ・アメリカ賞など数々の栄誉ある賞を受賞し、活動の場はスペインからニューヨーク、そして現在の香港へと移り変わり、世界的なアーティストへと成長しつつある。そんな彼女の作品は、紙や絵画、エッチングや写真、セラミックスなど様々な物を融合させたユニークかつ斬新なもの。過去の作品シリーズとして有名なのは女性の裸体を描いた肖像画。ヌードを通して現れる女性の美・自由・痛みを描き出すことで、女性を弱い立場に押し込める社会の枠に抗う作品となっている。個展を見に行く前に一度調べてみるといいかも。今回彼女の個展が開かれるギャラリー「Puerta Roja」の創設者によれば、クリスティーナはアートにおいて実験することを好み、長年彼女の作品を見てきた人々をも常に驚かせ、わくわくさせるアーティストだという。特に今回はアジアへの進出ということもあり、新しいものを求め続けるクリスティーナらしい、はっとするような作品に期待しているとか。

クリスティーナ・モロノ

個展のタイトルは「Second Chance」。この言葉には、古くなって捨てられたものが彼女の手によって新しい作品へと生まれ変わった、「2度目の命」という意味がこめられている。ここで言う古くなって捨てられたものとは古本のこと。背景にあるのはインターネット上に膨大な量の情報が溢れ、読書ですら電子上でできるようになったこのデジタル時代。紙媒体へのニーズが徐々に減っていることは誰もが感じていることのはず。彼女の作品にはそんないらなくなって捨てられてしまった本たちが現代的なアートへ変身。黒、白、オレンジのシャープな色と合わさって、消え去ってしまった「過去」と、一瞬で過ぎ行く「今」が絶妙に表現されている。それぞれの作品に表れたその「過去」と「今」は、クリスティーナ自身の人生における「過去」と「今」をも表しているそうだ。そしてもう一つ注目すべきは作品のキャンバスとなっている「紙」だ。この紙を作るにあたっても古本がキーとなっている。古本をちぎったもの、絵具とその他の材料をパルプと合わせて手作りしたその紙は、新しくできたものであるにも関わらずどこか古さを感じさせる。決して機械で作られたような完璧で真っ白な紙ではない、むしろその不完全さこそが彼女の作品に独創性をもたらしているとも言える。つまりこの個展で展示されている作品の「紙」はただのキャンバスではなく、同時に作品の要となる「コンテンツ」となっているのだ。これを覚えておけばアートにあまり親しんでいない人でも個展をじっくり眺めながら楽しめるはず。デジタル時代に生きる私達に強いメッセージを送るこの個展、時間があるときにぜひ行ってみよう!

クリスティーナ・モロノ

Cristina Moroño’s First Solo Exhibition in Hong Kong“Second Chance”
時期:9月22日~10月29日
住所:Puerta Roja Gallery. 1/F, SoHo 189 Art Lane, 189 Queens Rd. West, Sheung Wan
電話:(852) 2803-0332
時間:火~土 11:00~19:00(月曜、日曜休館日)

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