日本の伝統漆芸家「若宮隆志」の展覧会が香港大学美術博物館で開催

2016/03/29

tw1美しく丈夫で昔から日本の伝統工芸品として大切にされてきた漆器。使うたびに艶が増し長持ちすることから贈答用にも喜ばれてきた。そんな漆器に魅了され漆芸家として活躍する若宮隆志氏の展覧会が、香港で開催されている。tw2

石川県輪島市に誕生した同氏は、幼い頃から身近にあった輪島塗の製造販売の基礎を学んだ後、蒔絵技法を修得し、輪島塗から漆芸の世界へと活動を拡大していった。ドイツ、イギリス、オーストラリアと世界各国を舞台に展覧会を開き、2014年には文化庁文化交流使に指名されるほど漆の世界では、知名度も高い。

先日、香港大学で開催された同展覧会のオープニングセレモニーでは、多くの招待客や香港メディアが訪れ、グループセッションなども行われた。館内には、同氏が主宰する彦十蒔絵(ひこじゅうまきえ)が造る漆芸品が並んでいる。彦十蒔絵とは漆のスペシャリストたちのことであり、その作品は、棟梁である若宮氏の創作によるもので、青写真を描き完成までの道筋をつける。しかし、実際に造る作業をするのは同氏ではなく、彦十蒔絵のメンバーたち。その他にも、木地の製作者を中心にさまざまな技術を持つ専門家たちが次々に、それぞれの工程に時間を費やし完成に至る。いわば彼らの「神の手」が同氏の「想い」をカタチにするのだ。

tw3そんなスペシャリストたちが創作した作品が丁寧に展示されている中で、バッタやカブト虫などの昆虫類、コーンや南瓜などの野菜、果物といった日常生活に馴染み深い作品に注目したい。伝統的な材料を用いてそれをモダンに仕上げる新しい発想から創作した1つ1つの作品の表面、彫刻そのものの形、覆われている色をじっくりゆっくり鑑賞してみてはいかが? 香港で生活していると疎遠になってしまう日本の伝統文化の良さを改めて実感することだろう。

同展示は、6月19日まで続く。限定で英語、広東語、普通語でのガイドツアーも用意されている。漆の世界を詳しく学びたい方は、同ツアーをお見逃しなく。

 

The Art of Takashi Wakamiya: Contemporary Japanese Lacquer
期間:6月19日まで
場所:香港大学美術博物館
住所:1/F., Fung Ping Shan Building, UMAG, 90 Bonham Rd., Pokfulam
時間:月~土9:30~18:00、日13:00~18:00、祝日休館
電話:(852)2241-5500
入場料無料
ウェブ:www.hkumag.hku.hk

ガイドツアー
広東語:4月9、30日(土15:30~)、
5月7、28日、6月18日(土15:00~)
英語:4月7日(木13:30~)、4月16日、5月7日(土15:30~)
6月18日(土16:00~)
普通語:4月28日(木13:30~)、5月28日、6月18日(土15:30~)

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