香港サッカー 2016リオ五輪サッカー予選

2016/02/22

2016年はリオデジャネイロ・オリンピックの開催年度である。オリンピックの花形種目のひとつである男女サッカー競技も、本大会への出場権を懸けた予選大会が世界各地で行なわれている。
男子日本U-23代表は、カタールで開催されたU-23アジア選手権を制覇。6大会連続10回目のオリンピック出場を決め、女子日本代表も、大阪で開催されるアジア最終予選に向けて強化合宿中である。
オリンピックの男女サッカー競技は、共にメダルの獲得が現実的な目標となる状況であり、大いに期待を寄せて良いと思う。
中国については、オリンピックに駒を進める可能性が残されているのは、女子中国代表のみとなる。男子中国U-23代表は、さきのU-23アジア選手権の最終予選を3連敗で終え敗退。国内リーグの活況感とは程遠い内容に終始している。
香港については、男女共に早々とアジア予選から敗退。今回のオリンピックも他国のメダル争いをテレビで見守る傍観者となる。
唯一残されている希望は、男子香港代表が2018年のロシア・ワールドカップのアジア最終予選に進出できるか否かという状況。しかし進出を争う相手もまた男子中国代表であり、どちらか一方が最終予選を前に姿を消す事になる。
ナショナルチームの話題はこれくらいにして、周辺国のクラブチームの状況もまとめておこう。
日本、韓国、中国の国内リーグも程なく開幕する。この冬も中国の各クラブチームが大枚を叩き合い、欧州や南米の超一流選手たちを買い漁った。ついに市場規模でも英プレミアリーグを抑え、この冬最も資金を投じたのは中国スーパーリーグとなった。
ACL(AFCチャンピオンズリーグ)の予選が行なわれ、日本、韓国、中国からの4チームが、タイ、ベトナム、オーストラリア勢に勝利。3カ国が予選免除チームを含めそれぞれ4チームをACL本戦に駒を進めた。
ACLのグループHで、アジア王者の広州恒大と浦和レッズが同組となり、広州天河体育中心体育場でのグループリーグの対戦日程が確定した。3月16日(水)19:30キックオフ予定。広州周辺にお住まいの方々は、もし興味があれば会場に足を運んでみてはいかがだろうか。
香港プレミアリーグは後半戦に突入した。今シーズンの途中から香港人の女性監督が率いる事になった東方(イースタン)が首位を快走している。東方はさきのシニアシールド(歴史あるカップ戦)でもタイトルを獲得。今シーズンのリーグタイトルも獲得する公算が高い。
日本からの助っ人3選手も、引き続き所属チームでプレーする様だ。上位を争うチームではないが、日本人選手のクオリティを証明してほしいと思っている。また日本にルーツを持つ2人の若い選手も香港でローカル選手としてプレーしている。結局このコラムでは紹介する事ができなかったが、彼らの将来にも大いに期待している。
筆者の活動については、これまでこのコラムの連載を通じて、香港周辺のサッカー事情を紹介する役割を担いつつ、選手の移籍サポートなども行なってきた。サッカーの裏方と称して、経験値を高めるためにあらゆる物事に関心を持って香港で活動してきたが、そろそろ目的に向かって舵を切る時がきたと感じている。
やはり筆者にとっては、中国の巨大市場を見過ごす訳にはいかない。どんなに未整備な現状や歪みを揶揄されようとも、そもそも筆者は大陸側から香港に渡った外国人である故、何ら中国に違和感を感じていないのだ。
今年は香港に拠点を残しつつも、中国の市場を開拓して行くつもりだ。中国の各省単位のチームやクラブチームの下部組織などに、日本人の優秀な指導者に対する需要があり、既に多くの指導者が中国入りしている。また民営のサッカースクールを急成長させている日本人も複数存在している。
サッカーの裏方と称して香港で活動を始めた頃に、筆者をこの世界に招き入れてくれた人物がこう言っていたのを覚えている。
「香港(人)とはウォームアップに過ぎない。実際のゲームは中国(人)と始める事になる。」

2012年の春から連載しているこのコラムも今回が最終節となりました。またどこかで表現の機会があるかと思いますので、その日を今から楽しみにしたいと思います。
丸4年に渡りご愛読頂きました読者の皆様、執筆に協力して頂きました関係者の方々、そして、ぽけっとページウィークリーおよびフットボールエッジの編集部の方々に、心からの謝意をお伝えしたいと思います。
「ありがとうございました。またどこかでお会いしましょう。」

≪おわり≫文/池田宣雄(香港サッカー協会会員)
AFCB INFO

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