香港サッカー 片野寛理がタイのスコタイFCに移籍

2015/07/21

香港プレミアリーグの香港レンジャーズに所属していた片野寛理が、タイ・ディビジョン1のスコタイFCに移籍した。彼は2015年1月の香港の移籍市場にて香港レンジャーズに加わった為、香港でのプレーはハーフシーズンの公式戦10試合の出場のみとなった。

彼は2011年から2014年までの4シーズン、タイ・プレミアリーグのオソサパ・サラブリーFCに所属していたので、今夏のスコタイFCへの移籍は彼自身が勝手をよく知るタイへの復帰となる。リーグのカテゴリーこそひとつ下とは言え、目覚ましい発展を遂げるタイへの復帰は非常に喜ばしい事となった。

筆者も、今冬の香港レンジャーズへの移籍加入から契約満了まで深く携わってきた事もあり、彼がチームに留まるべきか、または新天地を模索するべきか、何度も彼自身と話し合ってきた。33歳となった日本人のディフェンダーにとって、最良の決断を促すべく情報交換を続けていた。

プロサッカー選手にとって、33歳という年齢は既にキャリアの末期と言って過言ではない。選手を雇用する側のチームとしては、この辺りの年齢に達した選手にはかなり慎重になるし、既に引退の二文字に直面している年齢だとも言える。

そんな中、結果論ではあるが片野寛理には実に4つのチームの選択肢ができたのだ。香港プレミアリーグの2チーム、ミャンマー・ナショナルリーグの1チーム、そして最終的に選択したタイ・ディビジョン1のスコタイFC。正直なところ今夏に彼の移籍先を探す事はあっても、移籍先の選択に悩む事は想定していなかった。片野寛理がスコタイFCに移籍

片野寛理がスコタイFCを選択した事には何一つ疑念は抱かなかった。4つの選択肢の中では最も契約条件が整っていたし、何しろ彼自身が最も興味を示していたチームだったからだ。

香港の2つとミャンマーのチームはすべてトップリーグのチームではあったが、スコタイFCはタイ・プレミアリーグへの昇格を見据えて、着実に段階を踏んでいるチームである事は明らかで、彼のような経験豊富なディフェンスリーダーが、必ず活かされるチームだと判断するのは容易だった。

片野寛理は香港でプレーした10試合すべてに先発フル出場した。昨シーズンは不調を極めた香港レンジャーズにおいて、最終ラインで孤軍奮闘する彼の姿は香港に強い印象を残したはずだ。またチーム内の若い香港人選手に対しても、プロサッカー選手として、またひとりの日本人として大きな影響を与えていた。昨シーズンのチームは解散したが、多くの選手たちから彼の移籍を惜しむ声を聞いている。

僅かハーフシーズンの香港在籍だった事もあり、香港在留邦人の方々には彼の存在は浸透しなかったと思う。皆さんに浸透するには、少なくとも2シーズン程度のプレーをお見せする必要があるようだ。今後はそれができる選手に携わる事もあるかと思うが、筆者自身は香港での複数年に及ぶプレーを選手には推奨しないだろう。

香港におけるプロサッカー選手の直面する環境は極めて悪い。正中央
AFCカップに出場または目指せる上位チームはまだしも、リーグへの残留を目的とするチームは、選手への待遇も環境も劣悪と言える。ほとんどのチームが自前の練習施設を持たず、練習の内容も非常に乏しい。そう言った意味で選手のコンディションを上げる要素はなく、むしろ落とす傾向にある事は間違いない。

リーグへの注目度も依然低く、スタンドは相変わらず閑散としているし、メディアから取り上げられる事も稀な状況。そう言った意味で香港でのキャリアを積んだとしても、誰からも注目を浴びる事もなく、悪戯にキャリアの一部を消化して行くだけになる。この辺りのお話はいつか詳細を書いてみよう。

片野寛理と共に歩み学んだ半年は、筆者の今後の活動や方向性を定める財産となった。ありがとう。スコタイFCでの幸運を祈っている。またどこかで会おう。

≪つづく≫
文/池田宣雄(香港サッカー協会 賛助会員)

 

香港サッカー協会賛助会員
香港紫荊會有限公司
香港新界屯門震寰路3號
德榮工業大廈20樓B3室
Tel :(852)2854-9051
Fax:(852)2854-9052
Mail:ikeda@bchk.info
URL:http://www.bchk.info

 

Pocket
LINEで送る