香港サッカー 国内リーグの優勝争いと残留争い

2015/05/19

国内リーグの優勝争いと残留争い国内リーグの優勝争いと残留争い。香港に限らず世界中至るところのサッカーシーンで、生きるか死ぬかの攻防が繰り広げられる。特にリーグ戦の終盤は、ライバルとの直接対決、格上相手のジャイアントキリング、格下相手に星を落とすなど、目が離せないものだ。

香港プレミアリーグの2014/15シーズンは、最終節を待たずに、優勝チームと来シーズンの降格チームが確定した。優勝は傑志(キッチー)。圧倒的な戦力アドバンテージを存分に発揮してのリーグ2連覇。降格は最下位に沈んだ和富大埔(タイポー)。近年は特に資金力に乏しく、昇格と降格を繰り返している。

あるサッカー関係者によると、最下位に沈んだ和富大埔の年間予算は400万香港ドル(約6,000万円)程。ほんの数年前までは、この程度の予算でも立派にリーグを戦えていたようだが、完全プロ化されたプレミアリーグを戦うためには、最低でも倍の800万香港ドル(約1億2,000万円)程の資金が必要となっている。

和富大埔というチームは、香港郊外を本拠地とする地域(地方)チームで、近隣住民からの支持もあり、自治体の所有ではあるが、3,000人収容規模のスタジアムでホームゲームを開催するなど、大埔地域の活性に不可欠な存在なのだが、完全プロ化の大波に溺れている、というのが現状だろう。

和富大埔とほぼ同じ予算で戦った黄大仙(ウォンタイシン)も下位に沈んだが、薄氷の残留を決めた。しかし黄大仙もベースは地域チームで資金力に乏しく、来シーズンもプレミアリーグに参戦するべきなのか、どこかで活動の是非を問わなければならない状況のようだ。

話を優勝した傑志に戻そう。今シーズンは傑志と南華(サウスチャイナ)、太陽飛馬(ペガサス)、東方(イースタン)の4チームが、2,000万香港ドル(約3億円)前後の予算を割いて、初代プレミアリーグの覇権を争う構図だったが、ここ数年に渡り、非常に安定したチーム運営力を誇る傑志が、最終的に頭ひとつ抜け出した格好となった。

スペインからのコーチ陣と助っ人選手たちを中心に、アジア枠に韓国人、香港のパーマネントIDを既に保有している実績のある外国人選手を起用して、アジアの大会(AFCカップ)を含む過密な試合日程をしのぎ、公約どおりのリーグ優勝を決めた傑志は、称賛に値すると言って良い。

終盤まで優勝争いに加わったのが東方。彼らも数年間に渡って下部リーグに落ちていた鬱憤を晴らすが如く、かつての栄光の時代を彷彿させる、ド派手な戦力補強を敢行して、2位の座を確保した。昨シーズンで沙龍(サロン)というパートナーを失ない、前途が危ぶまれてはいたが、ピッチを彩るイレブンの顔ぶれには相当な迫力がある。

太陽飛馬はやや期待はずれの結果だったかもしれない。シーズン中盤で指揮官の交代騒ぎがあった時点から、明らかに失速した。最終順位の結果を踏まえると、来シーズンの旺角大球場(モンコックスタジアム)のホーム開催の権利を、手放す事になるかもしれない状況だ。

そして南華の凋落ぶりについても綴らざるを得ない。アジアを代表する名門チーム南華は、今シーズンの国内タイトルは無冠に終わった。昨シーズンをもって、絶大な求心力と政治力を備えた前オーナーがチームを去り、プレミアリーグへの参戦を見送った公民(シチズン)の共同経営者が、新オーナーに就任したあたりから歯車が狂い出した。

サポーターからの支持の厚かった外国人選手たちが総入れ替えとなり、一部の香港代表選手たちもチームを去って行った。その後、チームを長年支えてきた香港人のコーチ陣とフロント陣を一掃。新オーナーの人脈から新しい監督を招聘した頃には、サポーターの不満が大爆発。その監督もシーズン終了を待たずにチームを離れるなど、新オーナーによる度重なる失策が、チームを大混乱に貶めたのだ。

今シーズンの南華の選手たちのクオリティは、依然として高いレベルにある事に疑いはない。ひとつだけ感じる事は、新オーナーや現在のフロントへの不信感を抱きながら、選手たちがプレーしているのではないか、と。それでもアジアの大会であるAFCカップでは、なぜかしっかりと戦えているのが不思議でならないのだが。

今シーズンの全日程はもうすぐ終了する。
≪つづく≫
文/池田宣雄(香港サッカー協会 賛助会員)

香港サッカー協会 賛助会員Tel :(852)2854-9051
Fax:(852)2854-9052
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国内リーグの優勝争いと残留争い。香港に限らず世

 

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