レトロ建築探訪「メイホーハウス」深水埗

2023/04/05

レトロ建築探訪

1950年代のホンコンを垣間みれる場所

 メイホーハウス

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レトロ好きには堪らない場所が深水埗にある。嘉頓山(ガーデンヒル)の麓に位置する「美荷樓(メイホーハウス)」だ。もとは団地だったこの施設、現在はゲストハウスやカフェ、そして香港の古き良き時代の庶民生活を伝える基調な博物館となっている。

メイホーハウスの悲しき誕生秘話
1953年、のちに石硤尾大火と呼ばれる大火災が発生したのをご存知だろうか。第二次世界大戦の前後、中国本土からやってきた多くの難民が九龍半島の山辺にバラック小屋を建てて住むようになっていたが、防災管理が不十分だったため、たびたび火災が発生していたという。そんな中で起こったこの大火事では、実に約6万人が家を失った。
政府は多数の被害者に長期的な住宅を提供するため、火災現場に29棟のH型をした団地を建設する計画を発表。火災の翌年である1954年、美荷楼を含む6階建ての住宅8棟がまず竣工した。その後1974年まで20年をかけて29棟全てが完成したものの、初期の8棟は老朽化などにより取り壊しが決定。しかしこれらは香港の公営住宅政策の始まりを象徴するものであり、歴史的にも価値のあるものだとして美荷楼のみが残されることとなり、香港初の民間住宅博物館となった。
現在、美荷楼は主にゲストハウスとして機能している。安く宿泊できる相部屋は、バックパッカーや若い旅行者にも人気が高いそうだ。

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団地暮らしは快適? 古き良き香港を知ろう
同施設には2階建ての展示ギャラリー「美荷楼生活館」が併設されている。1950年代から1970年代までの生活環境や公営住宅の発展を記録した展示スペースで、薬屋、床屋、乾物屋、団地暮らしなどが再現されているほか、団地内に実際にあった遊具のレプリカや当時の玩具なども展示されており、日本人でも同世代の人なら懐かしさを覚えることだろう。

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レトロポップなカフェも人気
メイホーハウス内には、この場所にぴったりなカフェ「Garden at Mei Ho Café」がある。まるで1970年代の香港にタイムスリップしたような作りの店内。古き良き時代の茶餐廳(チャーチャンテーン)風にデザインされた店内にはレコードやブリキの玩具などが飾られており、どこを写真に収めても“映える”内装になっている。深水埗で掘り出しものを探したあとに訪れれば、ゆったり設けられた座席で話も弾むに違いない。

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美荷樓
Block 41, Shek Kip Mei Estate, 70 Berwick St., Sham Shui Po

生活館
火~日・祝10:00~18:00
月曜休館(祝日を除く)
www.yha.org.hk/en/our-services/mei-ho-house-revitalisation-project/heritage-mei-ho-house

Garden at Mei Ho Café
G/F., Mei Ho House
9:00~18:30

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