アボカド&カルボナーラのアボカドナーラ「Sagrantino」中環

2020/07/27

Sagrantino Avocadonara Pasta Png Title

初夏の日のランチタイムに、中環のイタリアンSagrantinoへ立寄った。目当ては先日オーナーシェフの安田さんから聞いたカルボナーラにアボカドを融合させたパスタこと、【アボカドナーラ】だ。常時提供できるメニューは100種を超えたという当店だが、毎回僕が注文するものと言えば、決まってボロネーゼやエスカルゴのパスタである。着席後すぐに注文したワイングラスを片手にメニューをじっくり眺めるのだが、挙句に毎回同じ注文に辿り着く。毎回、「ん?アボカド?」と気にはなっていたが素通りしていたのだ。オーナーシェフ安田氏を一躍有名にした和とのフュージョンである【マグロの漬け冷製パスタ】など、イタリア人シェフには思いつかない料理がメニューに並ぶだけあって、メニューには【ZUKE(漬け)】や【UNI(ウニ)】といった言葉が並ぶ為、恐らく香港人客には理解が難しいものや、我々日本人からはイタリア語の料理名が分かりづらかったりして、食べると美味しいのに素通りされてしまう隠れた料理があると聞く。そのひとつが、今日の主役である【アボカドナーラ】なのだ。

Sagrantino 店舗

今日のランチは客足の出だしが遅い為か、着席すると安田さんはキッチンからホールに出て来てくれた。安田さんにこの前聞いたアボカドナーラの誕生由来を聞いてみる。

「アボカドってサラダとか冷たいままで食べるイメージが強かったんですが、どうしてパスタに絡めようと思ったのですか?」

「いやぁ~、最初はサラダだけで使っていたんですけどね、業者さんがあと2日ほどで食べ頃になる黒めのアボカドを納品してくれるんですよ。そうすると、すぐさま熟してしまって、色が変わって使い物にならなくなって困っていたんです。サラダで使う量もいつも中途半端にあまり、半分使っては廃棄するのを余儀なくされていたんです。」

 

そんなある日のこと、いつもよりお店を早く閉めようとした時に、そういう日に限って閉店ぎりぎりで1名のお客さんが滑り込みで入店してきたのだそうな。そのお客さんは「どうしてもパスタだけは食べて帰りたい。」とは言うものの、もう厨房の火は落としてしまったし、食材も売れ残りのアボカドと生ハムと卵が1個とチーズが少々のみ。途方にくれた安田さんだったが、「ないのだから仕方ない。これだけをパスタに合えてお出しするか。」と思い、お客さんには「お代はいらないんで・・・。」と恐る恐るそのパスタを提供したそうな。

Sagrantino Avocadonara Pasta Png file

 

厨房に戻り、片づけをしていると客席から「なんじゃこりゃぁぁぁ!」と松田優作ばりの天を衝く声が聞こえて来たのは3分後のこと。

その日以来、そのお客さんは【アボカドナーラ】以外、食べなくなったというのだ。

 

この日、僕も始めてこのパスタを食べてみたが、今現在はハムは入れておらず、ベジタリアンにも人気のパスタとのこと。卵黄とアボカドとチーズのどろっとした3つの食材が非常にマッチしていて、塩気と粗挽きの黒コショウのアクセントが後を引いた。ひと口食べるが、もうひと口、もうひと口と、あっという間に完食してしまった。プロセッコや白ワインとも相性が良い逸品であった。

↓↓↓インタビュー動画はこちら↓↓↓

 



Sagrantino LogoSagrantino Italian Restaurant
住所:5/F., THE LOOP, 33 Wellington St., Central
電話:(852)2521-5188
ウェブ:www.sagrantino.com.hk

 

 


 

鳥丸祐樹鳥丸雄樹(Torimaru Yuki)

香港を拠点に活動するフリーライター。ロスの日刊サンへの寄稿を経て今に至る。自身がベースボーカルを担当したオルタナティブなハードコアバンドを引き連れて90年代は、ロンドンのコヴェントガーデンにてライブ活動を行う。

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