カンボジア「夜だけ居酒屋」で缶ビールと炙り肉

2015/06/15

カンボジア料理亜細亜のFree Paperから
夜だけ居酒屋  From カンボジア お酒のつまみ

カンボジア人の酒とつまみに対する姿勢は極めて大雑把だ。「カエルの肉詰めにはアンコールビールの黒が合いますね」などと語る、食通には未だ出会ったことがない。今回もこの記事を書くにあたり、手近な知り合いに「カンボジアのつまみって何?」と質問したのだが、揃いも揃って「なんでも!」と答えが返って来たのには、失意を通り越して安心感を覚えた。恐らくカンボジア国民の97.5%は「酒は飲めれば、つまみはあれば。何でもいいもんね、わはははー」といった、大らかな心の持ち主なのだろう。

レストランこれはこれでこの国らしいのだが、それでは記事にならないのでしつこく聞き回っていると、顔のホクロ毛を伸ばした怪しい風体のカンボジア人が、お気に入りの店に案内してくれる運びとなった。

満を持して到着したのは、野良犬がウロウロしている川沿いの路地だった。そこは日中、人影まばらな砂利道なのだが、今は道の脇にテーブルがずらりと並び、地元のおっさん客で賑わっている。聞けばここは夜だけ出現する「夜だけ居酒屋」なのだそうだ。居酒屋と言っても、売っているのは缶ビールと炙り肉しかない。だがこの炙り肉、はっきり言ってめちゃくちゃ美味いではないか。タレに漬け込んだ牛ハラミや内臓肉を炭火でじっくり焼き、ナッツとレモングラス、生胡椒を加えた魚味噌だれにつけて頂くのである。牛脂とナッツのコクと、魚味噌の旨みのコンビネーション、そして生胡椒とレモングラスのピリッと爽やかなアッパー。一口二口と食べれば食道のディフェンスは総崩れ。ビールがどんどん空いてしまう、魔性のカンボジアつまみの登場である。

 

プライマー編集部文:多賀 史文
(プライマー編集部)
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