セントラル「Sagrantino(サグランティーノ)」オーナーシェフが語るイタリアンに目覚めた訳と不揃のボロネーゼ (前編)

2014/07/24

取材が早く退けた夕刻に、僕の足は中環にあるイタリアン『Sagrantino』に向かっていた。そう、今日は何だか無性にイタリアンが食べたい気分。しかもイタリアンでも、一般的なメニューが食べたかった。日本人のオーナーシェフ安田さんが切り盛りするこのお店には、セントラルという立地もあってか来店客の人種も様々だ。恋人や友人と、そして家族や顧客と来る人もいれば、僕の様に独りで、ふらっと寄ってはグラスワインとお気に入りのパスタをあっさりと平らげて帰路につく人もいる。

Tシャツ

背中にはプリントされた「Sagrantino」の文字

ローマに良くあるタイプの内装をイメージした店内には赤レンガが積まれ、ちょっぴり暖かみがある雰囲気を醸し出すのだが、これが安田さんの人柄から来るものなのか、どうなのか。テーブルにつきグラスワインを注文し、時計を見れば時刻は18:58。ピーク時ともなれば、厨房で鍋を忙しく振るう安田さんだが、この時はまだ早い時間ともあって、僕と話をする余裕があるようだった。大きなガラス窓を背に立つと、ガラス窓が鏡の様に安田さんの背中を映し出す。

Tシャツの背中にはプリントされた『Sagrantino』の文字。

ツマミも注文せずに煽っていたワインが回りだしたのか、その背中の文字を見つめながら、僕はふと安田さんに質問を投げかけていた。Sagrantinoを始めた背景には何があったんだろうか・・・。

「そう言えば、どうしてイタリアンのレストランを始めようと思ったんですか?」一瞬の間を置き、安田さんが答える。

「実は脱サラした後、ラスベガスに渡り、現地の大学で飲食やサービス業に関わる事を学んでいたんです。」へ~意外。

でも何でイタリアではなく、アメリカなんだろう。もしかして、リトルイタリーで修行したとか?

「少しでも学費と生活費を稼ごうと、学課が終われば、近くのレストランでアルバイトに明け暮れました。始めはお寿司屋の皿洗いとか、マックの店員とか・・・。そして、最後に行き着いたのはヒルトンホテルの中にあるイタリアンレストランだったんですよ。」

おっ。ちょっと物語の兆しが見えてきた。ラスベガスということもあり、出稼ぎとして働くメキシコ人がレストランでも多く見受けられ、そのレストランにおいて安田さんも例外ではなく皿洗いの日々が続いたそうだ。トップのシェフはイタリア人のアントニオ。その下に4人のアシスタントシェフ。そして、その下に仕込みやら、盛り付けやらと業務的には何でも屋の『スーシェフ』10名と、見習い達がいたらしい。

「まあ、私が居た所は中級のレストランで、チームとしてスーシェフだろうが、トップシェフだろうが、空いていたらみんなで手伝うという雰囲気があったんですけどね。メキシコ人は、ちょっと注意されただけで、すぐに辞めちゃうんですよ。そんな中で私はいつかレストランを開きたいという想いがあったもんだから、ちょっと理不尽な事を言われても無我夢中で続けていたんです。お皿を洗いながら、盛り付けを盗み見て、目に焼け付けたり、メモをしたり。不思議ですね。そんな日が続くと人って信用が付いてくるものなんですよね。トップシェフのアントニオが、『ジャポネーゼ(日本人)は、まじめに働く』って言うようになったんです。

ワイン

店名にもなった統制保証原産地呼称
ワイン「Sagrantino」はイタリアで最
も厳しい生産基準のもとにつくられた
ワインを指す格付け「DOCG」を取得。

店内

ローマに良く見かける赤レンガを使った内装

転機が訪れたのはそんなある日の事。

ベネチアンかどこかの大きなホテルのレストランで働いていたアメリカ人シェフが入店した時だった。『スーシェフ』として入ったそのアメリカ人のシェフは、「野菜や材料を刻んだりするのは、俺様がやる仕事じゃない!」と言い出したのだ。チームワークを大切にするトップシェフのアントニオはそれを聞いて激怒し、「お前なんて、いらん!辞めてしまえ!明日からタッカァ~シ(安田さんの名前:たかし)が『スーシェフ』だ!」とみんなの前で公言してしまったのだそうだ。

 

 

 

 

 

 

ロゴSagrantino Italian Restaurnat
5/F., The Loop, 33 Wellington St., Central
(MTR中環D2出口/和食なお膳さん西側)
TEL:+852- 2521-5188、 +852-6335-3504( 日本語可)
営業時間:11:30~15:00/18:00~23:00(月~土)
WEB:http://www.sagrantino.com.hk/

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