旬な人 香港大戸屋「佐藤料理長」

2022/10/19

日本食普及の親善大使に
香港大戸屋 佐藤料理長

佐藤 直行氏(香港大戸屋料理長兼なお膳料理長、香港日本料理店協会副会長)が、令和3年度の「日本食普及の親善大使」に任命され、その授与式が9月20日、在香港日本国総領事館の岡田 健一総領事(大使)の公邸にて執り行われた。
同制度は、海外における日本食・食文化の一層の普及を目的に農林水産省が2015年2月より主催し、初年度の木浦 信敏氏(なだ万代表取締役社長)や服部 幸應氏(服部学園服部栄養専門学校理事長・校長)らそうそうたる面々を皮切りに、22年1月現在、日本国内56名、海外50カ国・地域で117名を数える。アジア地区では28名、香港はこの度の佐藤氏らの任命で累計6名となり、同じく前年度に任命された香港日本料理店協会会長の氷室 利夫氏(Zen Foods Co., Ltd.代表取締役会長)に続いて同協会から二人目の選出となった。
主な活動は、農林水産省が実施する日本食・食文化の普及事業への支援や自らの活動における日本食・食文化の発信、海外での日本料理関係者へのアドバイス等を行う。佐藤氏は過去にも、日本と諸外国・地域との相互理解および友好親善の促進に寄与した個人、団体に対して在各国・地域の日本総領事から贈られる「在外公館長表彰」も受賞しており、調理・技術指導を通じて香港における日本食普及に貢献した功績が大きく評価されている。スクリーンショット (2047)

大戸屋との出会い
佐藤氏と大戸屋の出会いは自身の座右の銘でもある「一期一会」に起因する。何を隠そう、03年に同氏が中環で開業した「和食なお膳」に足しげく通っていたのが大戸屋の創業者である故・三森 久実氏だった。家賃や人件費の高騰もあり、9年続いた同店に佐藤氏が区切りを付けた際、海外展開に積極的だった三森氏から「大戸屋を世界のブランドにしたい」と直々に誘われ、13年1月に香港大戸屋へ参画。当時100店舗ほどあった海外店の調理研修や新規出店、世界各地のグループ店舗のメニュー開発に奔走した。「食卓ごはん」を掲げていた大戸屋が「生もの」の提供を始めたのもこの頃だった。そんな傍ら15年12月に大戸屋銅鑼湾店の一画に6席のみの「なお膳」が再オープンした。

日本料理ひと筋の人生
18歳で料理の道に入り、これまでひと筋45年。「なお膳」では二十四節気に合わせた季節料理を提供しており、それらに魅せられた根強いファンも多く、数カ月先まで予約が埋まる繁盛ぶり。「食材本来の味を最大限に味わってもらいたい」という佐藤氏のポリシーから、各地の旬の食材を用いたコース料理を自らすべて手掛ける。驚くことにメニューは毎日替わるという。米は同氏の親戚が佐渡島で栽培するものを輸入し、香港で精米。ぬか漬けのぬか床は実家から持ち込んだ70年ものだという。
また、多忙の合間を縫って「香港日本料理店協会」の活動にも参加し、現地の調理師学校の生徒向けのデモンストレーションや、香港日本人補習授業校の郊外学習等の育成活動にも尽力している。在港30年の節目に拠点を日本に移し、香港との2地区で活動予定だという同氏。「日本は食材の宝庫なので、いずれは自分の足で各地を歩いて良質な食材を発掘し、海外との橋渡しをしていきたい」と、尽きぬ料理への情熱を語ってくれた。


佐藤 直行氏
1978年「なだ万」に入社。94年に35歳の若さでカオルーン シャングリ・ラ「なだ万」の料理長として来港。03年、中環に「和食なお膳」を開業。2013
年に香港大戸屋に参画し、現役職。座右の銘は「一期一会」。

なお膳(大戸屋銅鑼湾店)
5/F., Soundwill Plaza Ⅱ-Midtown, 1-29 Tang Lung St., CWB
(852)2573-8333

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