中国八大料理&中国茶特集 番外編「中式糕點」

2022/06/22

 先週号PPW No.840の「中国八大料理&中国茶特集」はお楽しみいただけただろうか。今回番外編として紹介するのは、美味しい料理でお腹いっぱいになった後、それでもまだ食べられるのはそう、スイーツだ。食後に、出掛ける道中に、小腹が空いたときに、3時のおやつに、と様々なシーンで楽しめる中華スイーツを紹介。街中の売店でよく見かける中華風ペストリーは、海外のチャイナタウンでも売られており、特に焼き菓子などは西洋のものから派生し中華風にアレンジされたものも多い。香港人の生活に密着した「中式糕點」を食べて、ローカル気分を味わおう。
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白糖糕(バットンゴゥ)
Steamed Rice Cake
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  嶺南伝統のお菓子で、中国では「倫教糕」と呼ばれる。しっかりした味わい、独特の風味が人々の舌に愛されており、広州では点心の一つとしてよく知られている。材料は上質の米と砂糖だけの至ってシンプルな作りで、見た目の涼しさと、さっぱりした甘さから、広州の暑い夏には特に好んで食されるようだ。倫教糕の歴史は古く、一説によれば、1855年(清の時代)、倫教でお粥・菓子の店を構えていた梁さんが発明して広東各地に広まったという。見た目以上に手のかかる調理工程なので、手軽なお菓子ではなかっただろうが、現在では広く香港・華南地方で親しまれている。

 

香蕉糕(ヒョンチウゴゥ)
Banana Roll
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 バナナロールといえば香港でもよく見られる中華スイーツの一つ。海外のチャイナタウンで見たことがある人もいるかもしれない。名前から判断して中にはバナナ、もしくはバナナクリームが入っていると思われがちだが、実際にバナナが入ったバナナロールはめったにない。バナナロールの名前の由来は中身ではなく、バナナオイルによるあのフルーティーな香りやその形なんだとか。中には小豆あんやシナモンロールが入っているものも。香港の街を歩いていてバナナロールを見つけたら、色々なお店のものを試してみては?

 

砵仔糕(ポッチャイゴゥ)
Put Chai Ko
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 プリンケーキとも言われる、柔らかくてあま~ い香港の人気スナック「砵仔糕」。砂糖やコーンスターチを混ぜた米粉から作られるそのお菓子には、たいてい小豆が入っていることが多い。人気がピークに達したのは1980年代頃のこと。行商人が荷車を押してあちこちの通りで砵仔糕を売り歩いていたそうだ。当時の砵仔糕といえば二本の竹串に差して売られていたが、今ではアルミカップやビニールの袋に入っていたり。近所のベーカリーやスナックショップでぜひ一度買ってみよう。その懐かしい甘さに、発展豊かな香港のまた違った一面がふっと垣間見えるかも。

 

芝麻卷(ジーマァギュン)
Black Sesame Roll
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 日本人にも馴染みの深い食材、黒ごま。筋肉を生成したり、体内の組織を修復したりするのに必要なタンパク質、そしてカルシウム、鉄分、ミネラル、食物繊維といった豊富な栄養素の他、アンチエイジングに効く抗酸化物質を多く含むことでも有名だ。その黒ゴマを米粉やくわい粉、砂糖と混ぜてできた生地を薄くシート状に伸ばし、冷蔵庫で冷やした後に、それをクルクルっと丸めて作られるのが芝麻卷。その形状がカメラのフィルムに似ているところから、香港では「カメラロール」とも呼ばれている。昔から点心のデザートとして人気があり、香港人にとっては懐かしの味でもある。

 

糯米糍(ノーマイジー)
Nuomici
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 世界各地にあるチャイナタウンでも見かけないことはないほど有名な、もち米団子、糯米糍。日本の大福のようなもので、一般的にココナッツと砕いたピーナツ、小豆、黒ゴマペーストなどが包まれていることが多いが、最近ではマンゴーやドリアン、ライチなどが包んであったりと、様々なフィーリングを楽しむことができる。表面には乾燥したココナッツが振りかけられていることも。サイズは小ぶりで、街中の売店でも手軽に購入できるので、「お茶うけ」としてだけでなく、小腹が空いた時や観光中に食べ歩いたりするのにもぴったりだ。

 

桂花糕(クァイファーゴゥ)
Osmanthus Jelly
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 金木犀の花(桂花)とクコの実を寒天で固めた爽やかなゼリー。桂花は東アジアを中心に生息する、美しい黄金色の花だ。日本では芳香剤の臭いというイメージがあるが、その香りは鎮痛・鎮静作用の他、痰をきってくれたり呼吸器系の疾患を和らげる効果もあるということから、古くから中医学にも取り入れられ、漢方の生薬としても使われてきた。香り付けのタレ(醬)などとして、中華料理のレシピにも度々登場する。エレガントな香りは甘く爽やかな香りが、暑い香港の気候に清涼感をもたらしてくれる。非常に中華圏らしいデザートの1つだ。

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