甘味特集 PartⅠ ホンコン・スイーツ 〜香港の甘味を求めて〜

2020/09/02

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スイーツというものは若い女性が好むというイメージが先行してしまうが、古今東西を問わず多くの老若男女が好きな物。
中には甘い物が苦手な方もいるかと思うが、食べずともその伝統的な工程や見た目で楽しくなるものも少なくない。
PPW編集部おススメのスイーツ販売店を紹介する。

 

 

伝統と創作の組み合わせ
70年受け継がれてきた香港グルメ -鶏蛋仔-

原味雞蛋仔

 

 「雞蛋仔」は香港の伝統的なローカルグルメ。その姿は無数の小さな卵の組み合わせのようなデザイン。卵、砂糖、小麦粉にエバミルク、これだけだ。食材こそシンプルだが、国際色豊かなお菓子だ。広東語で「仔」は「小さな」を意味し、すなわち「雞蛋仔」は小さな卵の意。外側の層はビスケットのように歯ごたえがあり、内側の層はケーキのスポンジように柔らかく、卵の優しい香りが広がる、老若男女問わず幅広い層に愛され続けている。

 1950年代、香港での卵の供給は非常に厳しかったとのこと。一部の商人は卵の形をした食べ物を作るだとか、卵に対し飢えていたようだ。その後、割れて商品にならない卵の無駄を省くため、ワッフルの作り方を参考に、卵の形をした食べ物を作ったのが卵ワッフル、「雞蛋仔」の元祖だ。その後時を経て、見た目や味わいが大きく変化した。当初、雞蛋仔は実際の卵の大きさであったが、その後お客さんが食べやすいように複数の小さな卵になるように変更し、「雞蛋仔」の名前が付けられた。

 現在は一般的なものはオリジナルのチョコレート味の他に様々な味を提供するショップが増え、異なる新しい味を作り出す。チョコレート味やスイートポテト味の甘味以外に、チーズ、ソーセージ、ポークフロスなどの塩っ気のある味に変えた店もあり、豊富な味わいが生まれている。

 

粒粒朱古力雞蛋仔

紫薯蕃薯雞蛋仔

鹽燒紫菜粟米雞蛋仔

 

 香港にて至る所で見かけることができる雞蛋仔、その中でも「マミーパンケーキ」は、近年香港で最も人気のあるショップの1つ。かのミシュランに認められ、2016年から2020年まで5年連続で香港の推奨ストリートフードに選ばれている。オリジナル味に加えて、20種類以上の違った味も提供し、さらに新しい味も提供している。チョコレート、チーズ、小豆味が大変好評だ。

 他にも当店は多くのユニークな香港式の飲み物もあり、「港式奶茶」はもちろん、「鹹檸七」(セブンアップ+塩レモン+ミント)、「黒牛」(コーラ+チョコレートアイスクリーム)、「白牛」(セブンアップ+バニラアイスクリーム)など、その独創的な商品の数々は香港の人々を楽しませてくれている。

 

Mammy Pancake
住所:Shop 1A15, G/F., 99 Dock St., Whampoa Estate, Hunghom
時間:12:00~22:00
ウェブ:www.mammypancake.com.hk

 

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蛋撻
泰昌餅家(Tai Cheong Bakery)@中環

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 言わずと知れた、香港の伝統スイーツ「蛋撻(ダンタッ)」。いわゆるエッグタルトのことで、香港のそこかしこで売られているが、最も有名なお店の一つが「泰昌餅家」だ!なんと、1954年創立!タルト部分が、パイ生地のものとクッキー生地のものが存在するのだが、同店は、後者を最初に販売した店と言われている。焼き立てを買って、そのままお店の前で食べるのが至福。九龍(カオルーン)や新界(ニューテリトリー)にも幅広く展開している。

 

住所:Shop C, G/F., Lyndhurst Bldg., 35 Lyndhurst Terrace, Central
電話:(852)8300-8301

 

 

西多士
瑞記咖啡(Shui Kee Coffee)@上環

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 茶餐廳の定番メニューである「西多士(サイドーシー)」とは、香港式フレンチトーストのこと。普通のフレンチトーストとの大きな違いは、揚げてあること!このカリッ&ふわっが癖になる!お店によって、スタイルは様々だが、練乳やピーナッツバターが塗られていることが多い。上環街市2/Fの熟食中心内にある「瑞記咖啡」の西多士は、二重に重ねられたトーストに、練乳とバターがたっぷりかかっているのが特徴。甘さだけでなく、しっかりと卵の味を感じられるところもたまらない。

 

住所:Shop 17, Cooked Food Ctr., 2/F., Sheung Wan Municipal Services Bldg. And Civic Ctr., 345 Queen’s Rd. Central, Sheung Wan
電話:(852)2850-8643

 

 

砵仔糕
坤記糕品專家(Kwan Kee Store)@深水埗

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 「砵仔糕(ブッザイゴッ)」は、プディングケーキの一種。小豆・うるち米粉・もち米粉・きび砂糖などの材料でできており、和菓子のういろうに似ていることで有名。MTR深水埗(サムスイポー)駅B2出口右手にある「坤記糕品專家」の砵仔糕は、甘さ控えめで、どこか懐かしい素朴な味。小腹が空いたときに食べたい一品。日本人とわかると、喜んで日本語で話してくれるのも嬉しい。

 

住所:Shop 10, 115-117 Fuk Wah St., Sham Shui Po
電話:(852)2360-0328

 

 

菠蘿包
祥興咖啡室(Cheung Hing Coffee Shop)@ハッピーバレー

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 「菠蘿包(ボーローバオ)」は、香港におけるパンの一種で、別名(英語名)「パイナップルパン」。パン生地の上にクッキー生地を被せて焼くのが特徴で、日本のメロンパンと似ている。1951年創業の老舗「祥興咖啡室」の菠蘿包は、サクサクのクッキー生地と、ふわふわのパン生地のコラボレーションがやみつきになる。菠蘿包の間にバターを挟んだ「菠蘿油(ボーローヤウ)」も人気!

 

住所:G/F., 9-11 Yik Yam St., Happy Valley
電話:(852)2572-5097

 

 

豆腐花
公和荳品廠(Kung Wo Dou Bun Chong)@深水埗

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 香港スイーツの中でも最も人気と言っても過言ではないであろう、豆腐スイーツ「豆腐花(ダオフーファー)」。シンプルかつヘルシーなところが人気の理由。好みに合わせて、きび砂糖やジンジャーシロップをかけるのが、香港スタイル。深水埗(サムスイポー)にある「公和荳品廠」は、豆腐・豆乳・湯葉・油揚げなどを販売するお店。お店の奥の小さなイートインスペースで、豆腐花を食べることができる。お好みで、ホットとアイスを選ぶことも可能。九龍城(カオルーンシティ)にも店舗があるが、そちらは残念ながら9月末で閉店予定。

 

住所:G/F., 118 Pei Ho St., Sham Shui Po
電話:(852)2386-6871

 

 

馬拉糕
鳳城酒家(Fung Shing Restaurant)@北角

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 點心(ディムサム)の一つとして、飲茶シーンに欠かせない、蒸しカステラ「馬拉糕(マーラーゴッ)」。ふわふわ~しっとり~の食感と、日本におけるカステラとは少々異なるライトな味わいが特徴。「馬拉」はマレーシア、「糕」はケーキという意味で、「マレーシアから渡ってきたから」という説と、「琥珀色がマレーシア人の肌の色に似ていたから」という説がある。北角(ノースポイント)にある「鳳城酒家」では、ふるふると柔らかく、非常に優しい味の馬拉糕が楽しめる。

 

住所:62-68 Java Rd., North Point
電話:(852)2578-4898

 

 

紅豆冰
廣成冰室(Guong Shing Ice Cafe)@上水

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 香港の夏の味と言えば、「紅豆冰(ホンダオビン)」。茶餐廳でよく見かける、小豆と、牛乳もしくはココナッツミルクを合わせた冷たいドリンクで、火照った体を冷ましてくれる。写真のように、砕いた氷をのせたものがオールドスタイル。現在は、ブロックの氷を入れるお店も多い。中でも有名なのが、上水(シャンスイ)にある「廣成冰室」で、1962年の創業時から変わらず、濃厚な紅豆冰を提供し、上水のランドマーク的存在となっている。中心部から離れているものの、休日は人で溢れ返るほどの人気ぶりだ。

 

住所:10 San Shing Ave., Sheung Shui
電話:(852)2670-4501

 

 

湯圓
福元湯圓(Fook Yuen)@炮台山

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 「湯圓(トンユン)」とは、日本の白玉団子に似た食べ物。中に黒胡麻ペーストなどのフィリングが入っているものが多く、ジンジャーシロップと合わせるのが定番の食べ方。MTR炮台山(フォートレスヒル)駅近くの路地に佇むのは「福元湯圓」。その名の如く、湯圓が目玉のお店で、「鴛鴦湯圓」が看板メニュー。鴛鴦湯圓では、黒胡麻ペーストとピーナッツペーストの2種類の湯圓が楽しめる

 

住所:ShopI-1, G/F., Lei Do Bldg., 7 Fuk Yuen St., North Point
電話:(852)3106-0129

 

 

芒果糯米糍
長洲平記(Cheung Chau Ping Kee)@長洲

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 「芒果糯米糍(モングオノーマイチー)」は、香港定番のマンゴースイーツ。「Mango Moch(iマンゴー餅)」と呼ばれ、地元の人たちから観光客まで、多くの人たちから愛されている。苺大福のような一品だが、餡子が入っていないのが特徴。長洲(チョンチャウ)が本店の「長洲平記」の芒果糯米糍は、大きめにカットしたマンゴーを薄皮で包んでおり、とてもジューシーで美味しい。上環(ションワン)や湾仔(ワンチャイ)にも店舗がある

 

住所:G/F., 19A Pak She Praya Rd., Cheung Chau
電話:(852)2413-2628

 

 

楊枝甘露
晶晶甜品(Ching Ching Dessert)@天后

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 「楊枝甘露(ヨンジーガムロウ)」は、1980年代に香港の広東料理店で生まれた、マンゴーベースのデザート。ココナッツミルクとエバミルクのほのかな甘さに、サゴやポメロの果肉の程よい食感が楽しい。天后(ティンハウ)にある「晶晶甜品」の楊枝甘露は、スターフルーツがのっていて、見た目も可愛く、大人気のメニューだ

 

住所:G/F., 81A Electric Rd., Tin Hau
電話:(852)2578-6162

 

 

絲襪奶茶
蘭芳園(Lan Fong Yuen)@中環

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 「絲襪奶茶(シーマッナイチャ)」とは、いわゆるパンストミルクティーのこと!これは商品名にあらず。この愛称で親しまれている、昔ながらの香港式ミルクティーを指す。「茶こしがストッキングのようだから」とか、「ストッキングのように滑らかな味わいだから」など、由来については諸説あり。ヒルサイド・エスカレーター横にある「蘭芳園」。茶餐廳の元祖とも言えるこちらのお店では、煮出しに茶こしにと、度重なる行程を経て生まれる、本当に滑らかで美味しい絲襪奶茶が味わえる。

 

住所:2 Gage St., Central
電話:(852)2544-3895

 

 


佳佳甜品(Kai Kai Dessert)@佐敦

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 「糊(ウー)」というのは、汁粉のこと。日本の感覚では、汁粉と言うと、小豆のイメージが強いが、香港では、黒胡麻が主流。佐敦(ジョーダン)にある、ミシュラン店「佳佳甜品」でも、「芝麻糊」(黒胡麻の汁粉)が楽しめる。お好みで、胡桃や杏仁の汁粉との組み合わせたメニューもオーダーできる。

 

住所:G/F., 29 Ning Po St., Jordan
電話:(852)2384-3862

 

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