Working Woman特集 PartⅠ Vol.1

2020/03/25

香港・華南エリアで働く女性2名に突撃インタビュー

この土地で働き始めた経緯、働き方、仕事に対する考え方など、様々な視点からインタビューを行なった。
性別、年齢、仕事の有無を越えて、きっと多くの方にとって参考になることだろう。

 

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いつも利用しているコワーキングオフィス

いつも利用しているコワーキングオフィス

香港に来たきっかけは?
 二度香港に来ています。一度目は2001年12月。実は、このとき、ずっと憧れだったニューヨークに行こうとしていました。その矢先に世界同時多発テロが起こり、敢えなく断念…ただ、このタイミングを逃したら、海外に出るきっかけを失ってしまうと思い、とりあえず香港に来ることにしました。なぜ香港だったかというと、ニューヨークに感じていた「アート」「多国籍文化」「英語」という魅力のうち、「多国籍文化」「英語」の2つを備えている場所で近場だったからです。たまたま来た香港は思いがけずとても楽しかったのですが、ずっと目標だったニューヨークのことが頭から離れず、2004年に思いきって引っ越したんです。でも、実際に住んでみると、ビザ問題に悩まされ、悶々とする日々…そんなときに人種差別を受けたりもして、全然楽しめませんでした。結局、学生ビザが切れる1年未満で日本に戻り、東京で2年ほど仕事をがんばってお金を貯め、ワーキングホリデーを利用して、今度はヨーロッパの「アート」と「多国籍文化」を体験しにパリに行きました。
 その後、2007年再び香港に。一度目の香港で雇ってもらっていた会社から、「戻ってこないか?」と声をかけてもらっていたんです。それもあって、香港に戻ることにしました。

 

お仕事について詳しく教えてください。
 今は、自分で経営している会社「PLUS2AIRPORT LTD.」で、ウェブサイトと印刷物の制作全般をしています。会社といっても、社員はおらず、私一人です。

 

Photo06今の仕事を始めた経緯は?
 学生時代から、「どうやったら毎日文化祭みたいな生活ができるだろう?」と考えていました。雑誌の世界に魅力を感じていたんです。雑誌に出たいというのではなく、雑誌の制作に携わる仕事がしたいという気持ちですね。
 大学では国際文化を学んでいたのですが、当時、ちょうどiMacが出てきた時期だったのと、実家が写植屋* で印刷物ができる行程などを知っていたこともあり、デザイン制作から入ろうと考えました。そこで、大学在学中にDTP* のスクールに通って、DTPの会社でアルバイトを始めました。とても勉強になったのですが、思っていたよりもルーティン作業が多くて、「もっと自分の好きなものを作りたい」という思いが湧いてきたんですね。ただ、当時の印刷代ってものすごく高くて、独自の雑誌を作るなんて到底無理!そこで、サーバー代だけで好きなことを発信できるウェブサイトに注目し、独学でウェブデザインを学び始めました。ある程度技術を身につけた段階で、ウェブデザインの会社にアルバイトとして入社し、大学卒業のタイミングでそのまま就職しました。そのおかげもあって、ウェブデザインもグラフィックデザインもできます。
 会社員だったりフリーランスだったりと様々変化はありますが、仕事内容は一貫してウェブと印刷に関わる仕事です。

* 写植=写真植字の略。文字を印刷するための版下を作る技術の1つ。
* DTP=Desk Top Publishingの略。パソコンでデータを作成し、実際に印刷物を作ること。

 

齋さんにとって「仕事」とは?
 10代や20代のときは、仕事は、「夢」「目標」「憧れ」「生き甲斐」でした。好きなことしかしたくないと思っていましたから。でも、ニューヨークで現実を見たんです。ビザもない、お金もない…そのときに、お金がなければ、夢も見れないんだと痛感して、仕事はお金を稼ぎ出せなければ意味がないと思いました。だから、その後の東京では、お金を稼ぐことも意識して働きました。
 ただ、次のヨーロッパでは、お金のために働く人が少ないことを知ります。お金がなくても、こんなに豊かに過ごしている人たちがいるんだというのは衝撃でした。こんな流れもあり、今の私にとって、仕事は「経済的・精神的に豊かになるためのツール」であり、「自分とクライアントを幸せにできるもの」です。QOL* を高めることが一番大事だと思います。

* QOL=Quality of Lifeの略。

 

齋さんの仕事の魅力
 常に新鮮な気持ちでいられるところに魅力を感じます。私の場合、クライアントによって、都度考えることが違うんですね。クライアントが飲食店なら飲食店のこと、商社なら商社のことというふうに、いろんなことを経験させてもらえるので、毎日新鮮です。

 

Photo03仕事を辞めようと思ったことは?
 辞めようと思ったことはないですね。ただ、大変だったのは、息子が生まれてから。夫婦ともにフリーランスだったので、家事・育児は交代でできるだろうと思っていたのですが、いざ子どもが生まれてみると、それがなかなか上手くいかなくて。結局、離婚を期にヘルパーを雇って、今はヘルパーさんの協力を得ながら、仕事と子育てを両立しています。

 

日々を過ごす上で工夫している点、改善したい点
 肩書きはデザイナーですが、営業・ミーティング・制作という、異なる性質のことを全て一人でこなしています。なので、「考えごとやメールの返信は極力移動中にする」「パソコンの前に座ったら、制作に専念する」「家にいるときは仕事はしない」と決めて、「集中」と「切替え」をしっかり行なうようにしています。ただ、毎日上手くできているわけではないので、そのクオリティを上げたいというのが改善点ですね。

 

Photo04休みの日の過ごし方
 ヘルパーさんがお休みの日曜日や祝日は、私も仕事を休みにして、息子と一緒に過ごすようにしています。よく子どもがいる友達と合流して遊んでいます。昔は、時間をかければいいものが作れると思っていたのか、だらだらと仕事をすることも多かったのですが、息子が生まれてからはメリハリをつけられるようになりました。

 

ヘルパーさんに着替えを手伝ってもらっているところ

ヘルパーさんに着替えを手伝ってもらっているところ

働く女性にとって、香港はどんな場所?
 素晴らしい場所だと思います!最初香港に来たときはすごく若かったけれど、そういった年齢や性別、国籍に関係なく、対等に接してくれたことに感動しました。もちろんTPOはありますが、普段は服装も自由ですよね。
 ヘルパー制度が整っているので、特に、働く親にとってはいい環境じゃないでしょうか。私もヘルパーさんがいてくれるから、香港を離れられない(笑) 多少コストがかかっても雇った方が経済的にも精神的にもプラス面が多いと思います。そして、周りの理解もありますよね。妊娠中も出産後も、クライアントさんやビジネスパートナーたちの理解の深さに救われました。フリーランスなので、産休育休があるわけではないし、仕事が減ってしまう怖さもありましたが、結果的には変わらず仕事を続けることができています。
 ニューヨークやパリでは、そこで吸収したものをそこで発揮することの新鮮さがないと感じました。各地で得たものを自分なりに新しいかたちで発揮できる場所というのが、香港かなと思っています。

 

仕事をしている方、これから仕事をしたい方に向けてのメッセージ
 香港は物理的にも精神的にも人が近くて、協力し合いやすい環境。私も最初はヘルパーさんに子どもを預けることに抵抗がありましたが、実際にお願いしてみると、子どもと短くても濃密な時間を過ごせるようになりました。きっと夫婦関係や親子関係もよくなると思うので、まずは試してみよう!と伝えたいですね。

 

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齋 三重子さん
2007年より香港在住。香港に拠点を置く自身の会社「PLUS2AIRPORT LTD.」で、ウェブデザイナー兼グラフィックデザイナーとして、 ウェブサイトや印刷物の作成及び管理サービスを世界各地のクライアントに提供している。5歳の男の子のママ。

PLUS2AIRPORT LTD.
電話:(852)6903-6065
メール:[email protected]
ウェブ:plus2airport.com

 

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