ラーメン特集 Part 4「南天製麺の生麺に迫る!」

2018/11/07

「生麺を香港から華南エリアへ広める!」
麺業界の異端児、鈴木 誠さんに聞く、生麺にかける情熱!

IMG_8369

鈴木 誠(Makoto Suzuki)
General Manager
父親が日本人、母親が香港人の日本生まれの日本人。幼少期を香港と日本で過ごし、米国の大学でビジネスを専攻。大学卒業後、米国企業へ入社後は日本と米国で約10年間、経理と財務管理の仕事に従事。その後、2011年に父親が創業した現在の製麺事業に入社し、現職に至る。

 

 

香港で生麺を普及させようと思ったきっかけについて

私の父は、香港で日本の食品や食材の輸入業に30年以上従事していました。特に常温タイプのLL(通称:ロングライフ)麺を30年前から香港へ輸入して販売を始めた先駆者でもあります。創業当時、香港には日式ラーメンが出回っていました。そこで原料にこだわりを持った生麺を製造して日本で食べるような本場のラーメンを香港の人たちにも食べてもらいたいという想いで、当時、製麺のノウハウをご教示いただいた方のサポートも得られて、2004年に現在の麺会社を香港で創業しました。私は2011年に入社して、現在はジェネラルマネージャーを務めています。お陰様で当社は今年で創業15年目を迎えることができました。

 

 

生麺を製造するために使用する小麦粉ですが、小麦粉が違うと麺自体の仕上がりも変わってくるのでしょうか?

こだわりの小麦粉

こだわりの小麦粉

生麺の原料成分は9割程小麦粉から出来ています。小麦粉にも準強力粉(中華麺用)、中力粉(うどん用)、強力粉(製パン用)、薄力粉(製菓用)と種類も多岐に渡ります。当社では主に準強力粉を使用していますが、お客様の要望によっては主に麺の食感や風味の違いを出すために中力粉を加えたりして小麦粉の特性を活かした配合を考えます。小麦自体は主に北米産(アメリカやカナダ)の小麦ですが、大事なポイントは製粉メーカーの製粉技術(小麦から小麦粉にする作業)です。中でも日本国内の製粉メーカーの製粉技術は世界トップクラスで、当社では日本で製粉された小麦粉を100%使用しています。

 

 

小麦粉以外に生麺を製造する際に大切な要素(例えば水や温度など)はありますか?

温度、湿度、水には細心の注意を払っています。通常、製麺には軟水を使用するのが良いとされています。水は香港の飲用水を使用しますが、軟水機に通して軟水にします。軟水にした後、冷水機にかけて水を冷やします。小麦粉と練り水をミキシングする際に構造上、摩擦が生じてしまい、麺の生地が熱を持ってしまいますので、ミキシング後の生地の温度の最適化の為、冷却する水の温度には常に注意を払っています。湿度は小麦粉の天敵です。特に高温多湿な香港での小麦粉管理はとても重要です。ご存じない方も多いと思いますが、本来小麦粉は水分を含んでいます。小麦粉も呼吸をしていて多湿時は湿気を吸い、乾燥していると小麦粉の水分が低くなります。当社が(小麦粉を)室内保管している倉庫は通年、一定の温度と湿度を保っているため、毎日安定した同品質の麺を作ることができます。

 

 

製造された生麺はどのように販売元へ配送されるのでしょうか?

販売元への配送および顧客サービスに関しては、香港内の日本食を取り扱っている問屋へ任せています。当社はあくまでもメーカーに徹して品質安定やお客様の要望に沿った麺作りを心がけています。状況に応じて、お客様自ら当社までピックアップに来ていただくケースもあります。

 

 

乾麺に比べて生麺の賞味期限は非常に短いと思いますが、生麺の良さについて改めて教えて下さい。

生麺の最大の特徴はやはり食感のコントロールが出来ることではないでしょうか。ラーメンはスープと麺の相性がとても大切です。私も製麺メーカーとしてラーメン店舗様とは必ずスープの濃度や塩分濃度、どのようなスープを作っているのかなど、可能な限り情報を得てから麺の選別を行っています。生麺に関しては、麺のソフト感やハード感、麺の幅や厚み、重量などバリエーションは無限です。スープとの擦り合わせは結構難しい作業ですが、創作の振れ幅が大きいところが最大の利点だと思います。

麺線の熟成

麺線の熟成

また生麺には水分が含まれているので、劣化するスピードは早いです。しかし、生麺には麺線熟成といった大事なプロセスがあり、熟成期間によって中華麺の独特な風味を引き出すことができます。単純に賞味期限が短いとか長いとかではなく、適度に熟成※1された生麺が一番美味しい麺だと信じています。

※1熟成とは・・・麺を寝かせることによって発酵を促進させ、旨みとコシを増す行程のこと

 

 

 

ラーメンの種類によって使い分ける切刃(きりは)とストレート/ウェーブについて

麺線にするための切刃

麺線にするための切刃

切刃とは麺の生地から一本一本麺線にするカッターのことを指します。「細麺」「中太麺」「太麺」を聞いたことがあると思いますが、この麺の幅を切刃で決定します。切刃は麺の幅を決めるだけではなく、麺の断面形状を変える特殊な切刃もあります。通常、ラーメンの麺は断面を正方形に切る「角刃」がよく使用されますが、断面を丸状に切る「丸刃」、断面をHに切る「H刃」、断面を臼型に切る「臼刃」、もっと面白いのは刀削麺風に切る「刀削刃」などがあります。

 

ウェーブ形状の麺線を製造している様子

ウェーブ形状の麺線を製造している様子

「ストレート」と「ウェーブ」とは単純に麺がストレートなのか縮れているのかという違いです。縮れている麺はスープが麺に絡みやすい特徴があります。麺の形状はスープとの相性がもっとも問われるところなので、ここはラーメン店舗様との共同作業になることが多いです。

 

 

 

 

 

麺料理が食文化として根付いている香港・華南エリアの生麺市場について過去・現在・未来でどのように変化した(していく)と思われますか?

03.Ramen_0704

食文化は数年間で劇的に変化するものではないですし、無理矢理変化させる必要も無いと思っています。私が従事しているラーメンの生麺市場は徐々に成長していくと信じています。香港・華南エリアは毎年物価も上がり、人々の生活水準も上がっています。(生活水準が上がると)自然と求められる食の水準も上がり、新鮮な”食”を求める傾向になるはずです。

生麺市場が急激に伸びるとは思いませんが、着実に需要は伸びていくと思います。生麺の普及には消費者のより近い場所で麺を製造する拠点も大切ですが、それ以上に流通インフラの重要度が高いと思います。生麺は賞味期限が短いですし、熟成日数によって麺質に変化が出てしまうので、生麺が一番美味しい状態で店舗へ届けて消費していただくことが今後の課題になっていくのではないかと思います。

 

 

今後、御社で目指している中長期計画について

生麺の主原料である小麦粉の安定的な輸入は品質と価格の面においてとても重要な意味を持っています。フリーポートである香港は、その利点を最大限に活かすことができると思います。そして当社が香港で麺を製造している点も大きなメリットです。香港製造から香港を含めて華南エリアでの消費商圏の構築が今後、当社が目指す開拓市場ではないかと思います。

またラーメン用の麺に限らず生麺の総合メーカーとして様々なお客様と出会い、ニーズを汲み取って、ニーズに沿った生麺作りをしていく必要があると思います。最近では、お客様と共に台湾牛肉麺の麺開発に取り掛かる機会を与えて頂きました。我々にとってとても勉強になりますし、共に時間をかけて麺開発に協力して下さる、製粉メーカーの技術者の方、一緒に試食をして意見交換をして下さるユーザー様には大変感謝しております。

 

 


南天製麺(Namtien Noodle Ltd.)
住所:5/F., Mita Centre, 552-566 Castre Peak Rd., Kwai Chung
電話:(852)2406-6621
ウェブ:www.japanese-noodle.com.hk
フェイスブック:namtiennoodle

Pocket
LINEで送る