ECO特集~人と環境について考える~ Part 7

2018/10/24

ここでも活かされている日本の技術!

私たちが普段の生活で利用しているMTRには意外と知られていないことが多い。
日本同様、私たちのライフラインを支えるMTRに三菱電機(香港)有限公司が技術と電気製品を提供している。
今回は、MTRに本格導入が検討されている「S-EIV」について同社社会インフラ事業部販売戦略部の立木壮樹(たつぎそうき)氏に詳しく話を伺った。

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三菱電機(香港)の社会インフラ事業部が取り組んでいる「S-EIV(Station Energy Saving Inverter)、以下S-EIV」について、改めて製品の特長及び実績について教えてください。

S-EIV写真(小型一体型)

S-EIVは電車がブレーキをかけたときに発生する電気(回生エネルギー)を駅で使用する照明や空調、昇降機に使い、鉄道会社の省エネ/電気代の節約をお手伝いしましょうというコンセプトの製品です。普段みなさんが利用している電車は、電力会社から電気を購入して運行されています。電車はモーターが回転することで動くのですが、逆に電車を止める際にはモーターが発電機の役割を果たして発電をします。発電された電気は周りの電車を動かすために使われたりもするのですが、余った電気は使われずに熱消費され無駄になってしまいます。S-EIVは電車が発電した電気を余すことなく使いましょうという製品で、1台で1日600kWhの省エネ効果があり、日本の場合、年間で300~400万円ほどの電気代の節約になります。

MTRは省エネに対する意識が高いため、当社製品にも興味を持っていただき2016年には試運転もさせて頂き評価いただいております。日本国内でも鉄道事業各社にて導入いただいております。当社が開発したS-EIVはコンパクトな設計となっているため駅のホーム端や、電気室などの限られたスペースに設置することが可能です。筐体は防塵防水仕様となっているため、ホーム端のような屋外でも長期メンテナンスフリーで使用することができます。また、モバイルPCなどでも電力量の計測データをグラフ化し省エネ効果を確認できます。

S-EIV製品本体と背景イラスト

 

2016年2月より半年間MTR荔景(ライキン)駅で試用運転を実施した「S-EIV」ですが、2018年9月現在の導入実績及び香港および華南エリアでのシェアについて教えてください。

現在の導入実績は日本国内のみであり、海外向けとしては初めての試みとなります。2016年の試運転後、本格導入に向けた提案活動に積極的に取り組んでいる状況です。香港の駅は大きく、エスカレーターやエレベーターも多いです。また、駅ナカビジネスが発達しているため駅の中でも多くの電気が使われています。S-EIVにより電力を融通することで駅舎全体の省エネに大きく貢献できると考えています。

 

省エネを推進していくために御社がMTRへ導入している製品やその特長について教えてください。

当社は1980年代からMTR(前身のMTRC/KCRC)に様々な鉄道車両用電機品を納入してきました。上記でも述べましたが、MTRは電力会社から電気を購入して電車を運行しているため、省エネという観点で申し上げれば、いかに少ない電力量で運行できるかが一つのポイントになります。もう一つのポイントは上記でも述べた回生エネルギーで、電車でどのくらい発電できるのかです。現在でもMTRの至るところで運行されている1980年代に導入された英国製の車両に比べて、当社機器が本格導入されている2000年代以降の電車は上記の2つのポイントで旧来の車両を上回っています。電車を動かすモーターはより少ない電気でスピードを出すことができ、モーターをコントロールする制御機器は発電された電気をより多く架線へ帰すことができます。電車は息の長い製品で、30年~40年使われることがありますので、多くの鉄道会社が長期間使用した際の採算(ライフサイクルコスト)を意識されます。モーターや制御機器の省エネ性能はこのライフサイクルコストに直結いたしますので、MTRにも省エネ性能の高い当社機器を評価いただいております。現在MTRでは開業当初から運用されている英国製の古い車両を最新の車両に置き換えるプロジェクトが進行していますので、今後さらにMTRの省エネ化が進むと考えています。

 

MTRの全車両の約9割に様々な三菱製品が導入されていますが、他社製品と比較して御社製品の利点について教えてください。

当社の強みは製品群の豊富さと機能/品質レベルの高さだと考えております。当社は電機メーカーのため車両自体は製造しておりません。上記でも述べました通り電車を動かすモーターやその制御機器を主に製造しています。自動車で言えばエンジンメーカーのようなイメージです。車体以外何でも作っていると言うのは語弊があるかもしれませんが、空調装置や車内モニター、ブレーキ、電車の頭脳にあたる車両統合管理装置なども含め多くの製品ラインナップがあります。そのため車両を組み立てる車両メーカーや鉄道会社は当社から一括して製品を購入できるので導入時の手間が省けます。導入後も香港で様々な機器を一括してサポートいたしますので、この点ご満足いただけているのではと考えています。各機器の省エネ性能はもちろんですが、品質レベルの高さも評価いただいております。電車は30年~40年メンテナンスをしながら運用されますので、壊れやすいものや摩耗が早いもの、交換周期の早いものは敬遠されてしまいます。これらの点を総合的に評価いただき現在の高いシェアにつながっていると考えています。

 

新路線の開通によって中国~香港間の行き来がよりスムーズになり、さらに多くの中国人が来港、これに伴ってエネルギー消費も増大していくのではないかと推測します。香港及び華南エリアの鉄道システムにおいて省エネ・節電を効果的に実現するために御社で取り組んでいること、または今後取り組む予定の案件について教えてください。

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まずはS-EIVの他地域への展開を予定しています。香港以外にも華南エリアには多くの鉄道網が発達していますので、まずは香港で実績を作り華南エリアを含めた他地域へアピールしていきたいと考えています。また、鉄道車両が蓄積している様々な情報を分析し適切な車両保守を通じて効率的な鉄道運行のサポートを行うシステムをご提案しています。しっかりと整備された鉄道車両が運行されることで鉄道システム全体が効率化され、無駄の少ない鉄道運行が可能になります。

 

現在、日中両政府は省エネルギーや環境分野において中国が提唱する経済圏構想「一帯一路」の推進に向けて、電力自動車の普及やゴミ分別処理の課題に積極的に取り組んでいます。これらの動きによって御社が取り組んでいる社会インフラ事業はどのような取り組みをすることが求められますか?

当社の社会インフラ事業では鉄道事業のみならず、発電所や変電所向けの電力事業も行っております。変電所の変圧器や遮断器といった製品は普段あまり意識することのない“あって当たり前”の製品なのですが、高品質な電力設備を提供することで結果的に省エネに貢献しています。

 

香港は沖縄県の約半分程度の陸地面積しかないため、限られた面積で埋立代替地を拡大するのではなく、廃棄物を出さないために様々な取り組みを行っています。省エネルギーや温室効果ガス排出削減、プラスティック廃棄が世界中で問題提起されていますが、香港の各企業はどのような取り組みをすることが不可欠だとお考えですか?

香港でもまだまだ多くの企業で省エネの進められる余地はあると考えています。ビルやオフィス用の照明も蛍光灯からLEDライトに変更することで約60%消費電力を削減できます。エアコンでも10年前の機器と比べてCO2排出量ならびに消費電力をおよそ50%削減できます。エレベーターでも最新技術を使うことで10%の省エネを実現することが可能です。当社は幅広い製品群を扱う総合販売会社のため、省エネと言った切り口で様々な問題を技術で解決できると考えています。香港で活動される企業様も、もしお困りのことがあれば当社にご相談いただければ幸いです。

 


Mitsubishi logo

三菱電機(香港)有限公司
住所:20/F., Cityplaza One,1111 King’s Rd., Taikoo Shing
電話:(852)2510-0555
ウェブ:http://hk.mitsubishielectric.com/

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