ECO特集~人と環境について考える~ Part 3

2018/10/10

香港のゴミ問題について東京と香港の資源を比較しながら考えてみる

 

ゴミ問題を考える

家庭ごみの分類について ‒ 日本と香港の比較

東京では、ゴミは可燃ごみ、不燃ごみ、リサイクルごみの3つに分類され、指定の日に別々に収集される。その複雑さゆえ、日本のゴミ仕分けシステムを説明するのは幾分厄介かもしれない。廃棄物処分は地方自治体レベルで行われ、都市や市町村、地区によりシステムは異なるため、23区内でも決まりが違うことがある。その地域のやり方に慣れていても、引っ越したりすれば過去の経験は役に立たない可能性もある。

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家具や自転車などの大きなゴミを処分したい場合は、市役所などの地方自治体に連絡し、有料で引取手配を依頼する。料金は地域や処分品の種類によって異なる。エアコンやテレビ、冷蔵庫、洗濯機、衣類乾燥機は基本的に粗大ごみとしての回収はされていないので、買い替えの場合は販売店に回収を依頼し、廃棄のみなら自治体に問い合わせをして処分方法を聞かねばならない。パソコンに関しては、製造元に回収を依頼するのが一般的のようだ。このように、日本はリサイクルに積極的であり、クリーンで環境に配慮した政策が取られている。今後も一層、ゴミの分別やリサイクルにさらなる進化が求められるだろう。

一方香港では、ゴミ出しに関するルールに厳しいものはない。都市一般廃棄物(MSW)は香港内の公共施設や、商業、いくつかの種の産業から出る廃棄物が含まれるが、建設廃棄物と化学廃棄物は含まれない。

総合一般廃棄物には都市一般廃棄物、建設廃棄物、特殊廃棄物が含まれる。2016年に戦略的埋立地で処分された一般廃棄物の総量は561万トンだった。日々の平均埋め立て量は1日当たり15,332トンで、2015年と比較すると1.5%増加していたが、全一般廃棄物処理の成長率は2015年の1.6%、2014年の3.8%からすると落ち着いていた(図1を参照)。

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MSWには、家庭ゴミ、商業ゴミ、産業廃棄物の3つのカテゴリが存在する。2016年、MSWは10,345*tpd(379万トン)で、2015年と比べて1.8%増加していた。1番多いのは家庭ゴミであり、2016年の処分量は6,391tpd(234万トン)と、2015年に比べて1.1%減少した。なお2016年に処分された商業/産業(C&I)廃棄物は3,954tpd(145万トン)で、前年に比べて7.0%の増加が認められた。

人口の増加という要素を省いて考慮すると、MSWの処分量は1日/1人あたり1.41kgで、2015年の1.39kgから微増。そのうち家庭ごみは1日/1人あたり0.87kgで、前年の0.89kgから僅かに減少した。家庭廃棄物処理量の安定の背景には、その伸びが人口の増加に沿っているという事実がある。

様々な都市の廃棄物処分率の比較は廃棄物量の計算方法、文化や習慣の相違、産業、商業開発の多様な段階等の要素があり難しいため、分析には都市の家庭廃棄物発生量のほうが適切だ。香港は同等発展レベルの近郊都市と比べると、廃棄物料が多いのが分かる。(図1.2を参照)。

では、MSWから回収されたリサイクル可能量と、回収性はどうなっているのだろうか。リサイクル可能な品目の中で、金属のリサイクルは2016年時点で91%、電気・電子機器廃棄物(WEEE)は74%と高い回収率を記録している。なぜならこれらの品目はリサイクル性が高く、国際的な市場で価値が高いからであり、強い経済的インセンティブが働いているためだ。一方、紙のリサイクル率は2012年の63%だったのが2016年は50%と低迷しており、リサイクル紙の輸出量の減少は主に一般的規模の経済活動の縮小と輸入国の管理強化によるものと考えられる。プラスチックのリサイクル率は2015年の11%から2016年の14%にやや上昇し、特にMSWから回収されたプラスチックリサイクル品量は34%増加した。2016年の原油価格の回復により、プラスチックリサイクルの需要も徐々に高くなっているようだ。

 

 

香港市内の固形廃棄物とリサイクル

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香港では毎年、600万トンの一般廃棄物が発生し、その半分以上が2つの埋立地で処分されている(図2.1を参照)。残念ながら香港の一般廃棄物の発生量は予想を大きく上回っており、消費主導型のライフスタイルは埋立地に大きな負担となっている。既存の2箇所の埋立地は来年中にも満杯になるため、廃棄物量が増加し続ければ、2030年までの需要を満たす埋立地開発のため、政府は新たに約400ヘクタールの土地を配分しなければならない。持続可能な廃棄物の処理方法が切実に求められているのが、香港の現状だ。

香港の環境保護署(EPD)は、様々な廃棄物の収集と移送、処理および処分のための設備管理等を行っており、1989年以降、同省は化学廃棄物処理センターの設立、3箇所の埋立地、廃棄物移送ステーションのネットワークを監督してきた。また、環境負荷の大きい古い埋立地を段階的に廃止して安全な状態に戻した後、サッカー場やゴルフ場等に再開発する事業にも取り組んでいる。

香港の廃棄物処理条例は廃棄や処分、廃棄物の輸出入等の管理実施に役立てられている。例えば、海洋廃棄物は指定された海洋処分場での浚渫泥および掘削物処分が行われ、家畜廃棄物の管理と処分には畜産廃棄物管理制度が適用されている。

新界には稔灣、将軍澳、打鼓嶺と3つの計画性埋立地があり、地底の裏張りや浸出液の回収・処理システム、埋立地ガス管理システム、地表および地下水の管理システム等が環境への影響を制御するために配備、運用されている。

市内には7箇所のゴミ移送ステーションがあり、計画性埋立地に廃棄物を移送するための集中収集点として稼働している。ごみ収集トラックが集めた廃棄物は圧縮されてコンテナに移され、艀やトラックに積み込まれて埋め立て地に移送される仕組みで、ステーションからの排水、匂いおよび排出物は全てEPDによる制御が行われている。

EPDが管理する施設は他にもある。1993年に青衣に開設された化学廃棄物処理センターでは、様々な種類の化学廃棄物に加え、2011年8月から医療廃棄物も受け入れが開始された。1991年にオープンした新界北部にあるコンポストプラントでは、受け入れた家畜廃棄物を土壌改良材に堆肥化しており、作られた改良剤は香港内で利用されている。2015年には屯門の汚水処理施設が操業を開始。11箇所の下水処理場から下水を受け入れて処理している。

 

 

香港が抱えている課題

香港に生きる私達の暮らしに、無駄な負荷が存在していることは明らかだ。長年に渡って、人々は多くの資源を使い、廃棄してきた。過去30年間で香港内の人口は36%増加し、GDPは2倍になったがMSWの量は80%増加している。一人当たりのMSW量は0.97kgから1.27kgに上昇したので、30%より多くを捨てるようになったとも言える。無駄の多い現代の消費習慣は、回収から最終処分までの廃棄物チェーン全体に大きな圧力となっており、状況を打開する為には廃棄物の総量を削減することが不可欠となっていくことだろう。

多くのゴミに関する改善がなされている一方で、分別への取り組みが廃棄物回収の促進につながっているかについて、市民の間で懐疑的な声も聞こえる。リサイクルされる瓶の量、サイズ、回収場所等については、依然として理解の不足があり、一部廃棄物回収業者に対しては、回収した瓶を結局まとめて埋立地に運んでいるのではないかという疑念も持たれているという。多くの香港市民がゴミの分別やリサイクルに積極的に取り組んでいるが、これからはより大きなサポートが必要となる。そのためにはリサイクル品の分別と回収システムを強化し、廃棄物チェーンのフロントエンドを改善することが鍵になりそうだ。

香港のようにサービス経済の進んだ都市で、土地が少なく地価が高い場合、廃棄物リサイクル産業を確立することは容易なことではない。商業的価値がつきにくいプラスチックやガラス、食品廃棄物のリサイクルに関しては特にその傾向が強いが、今後のPRS(Producer responsibility scheme)とMSWの動向次第で、そうしたリサイクル材の商業的利用の可能性も変わっていくだろう。香港は廃棄物のためのインフラ、特に埋立地にできるスペースが限られているため、廃棄物を処理して資源を再利用する一方、埋立処分量を減らすために原材料の廃棄を防止、削減する、二重の制約措置が必要となることは間違いない。

 

 

資源の有効活用 ‒ 香港の今後のロードマップ

2013年5月、政府は今後10年間に廃棄物管理のための包括的な戦略、方針や行動計画をマップすることを定めた「持続可能な資源の利用に関する計画2013~2022」を発表した。計画ではリソースチェーン全体に触れているが、最も重大で緊急に対応しなければならない側面の、香港の廃棄物削減、料金請求、取扱い、処理・処分の包括的なシステムの完成に重点が置かれている。

詳細としては現状の問題と解決策、データと統計、公共コンサルテーション、研究報告、ガイドライン、廃棄物削減プログラム、生産者責任制度、廃棄物収集業者とリサイクル業者、廃棄物管理施設メニューに関する事柄が盛り込まれており、包括的な廃棄物管理計画を策定して資源を節約し、廃棄物を削減するためにコミュニティと新たな社会契約を推進することで、最終的に環境に配慮した持続可能な文化を香港の人々の日常生活に浸透させ、地球の資源を大切に使うことのできる社会を目指す。

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計画の具体的・全体的な目標としては、2022年までに現在の都市一般廃棄物(MSW)処分量を2022年にまでに1.27kg/日から0.8kg/日に削減すること、廃棄物管理の構造自体を変えることを挙げている(図2.1と図2.2を参照)。

政府はそのために、廃棄物の発生防止と削減のために複数のアクションを並行して行うこと、コミュニティの参加を促すために全力を尽くすこと、香港の廃棄物関連インフラに欠けている部分を補完することを約束している。

 

 


公式サイト Environmental Protection Departmentより参照
ウェブ:www.epd.gov.hk

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