特集: 街市と熟食中心 Part 3

2017/05/18

熟食中心  
そもそも熟食中心って、何?

街市

懐かしいスタイルが見直されている路上の 「大牌檔」

 「熟食」とは「火を通した食物」のこと。香港は英国領となった初期から人が集まり、街市と同じく路上で食べ物を商う露天商が盛んだった。これを統制するため、英国植民地政府は1847年には早くも「小販牌照(露天商のライセンス)」の制度を設けている。当初このライセンスには「固定」と「流動」の2種類があり、「固定」はその名の通り固定の店で、いわゆる「大牌䈕(ダイパイドン)」のこと。「流動」とは木製の車で移動しながら営業する「街頭小販」のスタイル。日本でいえば「おでんの屋台」や昔の「焼きイモ屋」、あるいは「夜鳴きそば」のようなものだろうか。特に中国からの移民で香港の人口が爆発的に増えた1950年代にはこの移動式の屋台で安く麺を食べさせる「車仔麵」が人気だったという。現在でもこの「車仔麵」の名前とその味は庶民グルメとして香港の街のあちこちに残っている。

 1970年代に入り政府は衛生上の問題や路上環境の悪化から、露天商排除の動きに出る。「流動」のライセンスはなくなり、「大牌檔」も街市とともに「市政大廈」の中に取り込もうというものだ。現在、熟食店の形態は大きく3つに分けられる。路上大牌䈕形態で独立した「熟食小販市場」、大牌䈕だけの集合体でそこにブースを借りる形の「熟食市場」。そして同じくブースを借りる形だが、野菜や、魚、肉類の街市とともに市政大廈の中に取り込まれた「熟食中心」だ。つまり「熟食市場」も「熟食中心」も基本的には差がない。元々大牌䈕でなくてもブースを借りられれば出店できるとあって、昔ながらの大牌䈕スタイルではない個性的な店も増えている。しかも公共施設のため賃料も安いので、当然メニューの価格も抑えられている
というのも嬉しい。

    路上にテーブルと椅子を並べて外で食べる、飲むという大牌䈕スタイルはいかにも香港らしい。かつては「不潔、暑い、貧乏くさい」と敬遠もされたこのスタイルが、最近では香港人たちの間でも懐かしさと相まって見直され始めている。政府が「街頭小販という露天商の伝統を守るため」と導入した16台のキッチンカーも的外れに見えてしまう。

     熟食中心は明るく冷房も効いた屋内で快適空間となってしまったが、「のり」はかつての大牌䈕スタイルを色濃く残している。大声で喋り、飲み、食べる。なんだかみんな楽しそうではないか。近くにきっとある熟食中心で「安くて美味しい」店を探しに出かけてみてはいかがだろう。

街市01

市政大廈内の「熟食中心」

山ほどある熟食市場・熟食中心の店鋪の中から、日本人にも親しみやすいお店を、ちょこっとチョイス!

今も香港人に愛される「西多士」頑に守り続ける古い香港スタイル
瑞記咖啡

瑞記咖啡瑞記咖啡01

MTR上環(ションワン)駅から徒歩10分に位置する「上環市政大廈」の2階にある「瑞記咖啡」は、50年以上の歴史を持つ、低価格の店だ。壁のメニューの価格は若い香港人もわからない「花碼」で表記されているが、普通のメニューは中国語と英語がある。同店の一番有名なメニューは「西多士(フレンチトースト)」。フレンチトーストはフランスから導入されたメニューで、香港のほとんどの店で改良されたが、「瑞記咖啡」はフランス伝統の作り方を守っている。そして、アイスミルクティーは炭酸ウォーターの瓶で出てくる。温かいミルクティーとコーヒーも自慢のメニューだ。価格も安くて香港人に大人気な店なので、日曜日はよく満席になるそうだ。

瑞記咖啡
住所:Shop 17, 2/F, Sheung Wan Municipal Services Bldg., 345 Queen’s Rd. Central, Sheung Wan
電話:(852)2850 8643

和牛ハンバーグとイベリコ豚丼は絶品!超ローカルエリアに佇む小さな食堂
満足食堂 

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 MTR葵興(クワァイヒン)駅から徒歩15分の超が付くローカルエリアで活動する「満足食堂」は、その名の通り、こだわり食材を使った日本食がお手頃価格で味わえると評判の小さな食堂だ。

     和宜合道(ウーイーホップドウ)の熟食市場(フードコート)内に店を構え、14席と小規模ながら、地元香港メディアに取り上げられたこともあり、連日客足が絶えない。看板メニューは、「オーストラリア和牛を使用したハンバーグ」と「イベリコ豚の豚丼」。ともに日本人の肉のサプライヤー業を営むオーナーと、香港で長年にわたり大手日本食店を切り盛りしてきた料理人が共同で経営しており、食材と料理の味は折り紙付きだ。

良質な牛の焼肉

良質な牛の焼肉

飲んだ後に堪らないタコわさ茶漬け

飲んだ後に堪らないタコわさ茶漬け

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 オーストラリア和牛チーズインハンバーグ

 その他にも「カレー」や「うどん」、「とんかつ」、飲んだ後に是非食してほしい「お茶漬け」などを豊富にラインナップ。各種お酒も安価で充実しているので、この機会に是非、足を運んでみよう。

満足食堂
住所:C6, Wo Yi Hop Road Cooked Food Market,24 Wo Yi Hop Rd., Kwai Chung
電話:(852) 5491-8102
時間:12:00~15:00、18:00~22:00 水曜定休
フェイスブック:www.facebook.com/manzokusyokudohk/

大埔墟熟食中心

大埔墟熟食中心

新界地区では最大級の熟食中心。
街市に併設されており大埔墟の古い歴史を受け継ぐ。
約40店舗が出店しており、どの店も常に地元の人たちで賑わっている。

20年前から在港日本人にも人気予約必須の地元有名店で広東料理に舌鼓
東寶小館

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       数ある香港の熟食中心の中で人気ナンバーワンと言っても過言ではない、予約必須の人気レストラン「東寶小館」。MTR北角(ノースポイント)駅の海側に位置する「渣華道街市」の2階にあり、九龍半島からはフェリーでのアクセスが便利だ。低価格で新鮮な海鮮料理から鍋料理まで、名立たる有名店にも引けをとらない味で、地元の人々からはもちろん、香港在住の日本人からも愛されている。メニューには日本語表記もあって注文しやすいのが嬉しい。おすすめは「黄金蝦(塩漬け卵の黄身をまぶした蝦の炒め)」。プリプリの大きな海老はビールとの相性抜群。電話での予約は苦手という方は、開店時間ちょうどが狙い目だ!支払いは現金のみ。

東寶小館

東寶小館
住所:2/F Java Road Municipal Services Bldg.,99 Java Rd., North Point
電話:(852)2880-5224
時間:17:30~24:30(予約受付14:30~17:30)

本格絶品料理を街市価格で堪能!メニューも豊富なインド・ネパール料理
Chautari Restaurant

Chautari Restaurant

※上環街市とは別の場所なので要注意。

        上環の皇后街熟食市場といえばイタリア料理店「ABCキッチン」が有名だが、実は、その隣のインド・ネパール料理店もオススメだ。

        その名も「Chautari Restaurant」。カレー類はカリー、マキハニ、マドラス、マサラ、ヴィンダルーなどなど、スパイスや辛さによって目移りするほど種類が豊富。店の人に聞けば分かりやすい英語で丁寧に説明してくれる。また、サイドディッシュのタンドリーチキンやベジタブルサモサなど、どれを頼んでも外れがない。最もお得なのは平日のランチタイム。カレー、ナン、スープ、ドリンク付きでHKD60。インドを 代 表 するビ ー ル「 キングフィッ シ ャ ー 」は 1 ボト ルHKD25!スパイシーな本場の味を求めて、ぜひ訪れてみてはいかが。

Chautari Restaurant
住所:Shop CF6, Food Market, 1 Queen’s Rd., Sheung Wan
電話:(852)2600-4408
時間:11:00~23:00

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