特集:モノ作りの現場 工場を訪ねて 1

2016/11/08

工場

モノ作りの現場 工場を訪ねて

20世紀初頭から英国資本による造船業等の重工業で栄えた香港は、戦後中国本土からの安い労働力の流入によって中小規模の軽工業が急速に発展。1960年代には東アジアにおける軽工業品輸出の中心地となる。1970年代にピークを迎えた香港の製造業は、その後香港内でのコストの高騰や中国の経済開放政策によってその生産拠点を徐々に中国本土へと移行し、香港内の製造業は縮小してゆく。2000年以降、生産・製造の中心は完全に中国本土、広東省へと移った…。今回は香港、深圳、東莞、広州など珠江デルタからベトナムまで製造の現場・工場の「今」を訪ねてみた

 

 

世界を席巻するキャラクターグッズはここで製造される!

中国から世界市場へ!
ベビーグッズ、キャラクターグッズ製造の現場に密着
永発国際創建有限公司(ウィングファット)

皆が一度は目にした事があるものが、そこにはあった。人気アニメ「ワンピース」などのキャラクターグッズや、サンリオの「ハローキティ」や「けろけろけろっぴ」などのキャラクターグッズ、一時期一世を風靡した「妖怪ウォッチ」のグッズや、話題になった米国の人気映画「スター・ウォーズ」のキャラクター付きペットボトルキャップも発見。それだけじゃない。本場イタリア製の革を使用した携帯電話入れケースや財布、他にもサッカーユニフォームまでサンプルルームに展示されていた。果たして、それらの製品はどうやって生み出されているのだろうか。従業員約800人、20,000㎡を誇る東莞(ドンガン)の工場に今回、密着取材を敢行した。

金型部
設計図を基に、機械で金型を作成。その後、かみ合わせを行い、少しでも隙間がある場合は赤くなるようになっている(写真参照)。そして、最後には10年以上の経験を持つ熟練した担当によって、一つ一つ手作業で微調整を行う。

金型部 金型部 金型部

成型部

ABS樹脂を熱で融かしゲル状にした後、融けた樹脂を金型に流し込み、冷却すると、型が完成する。写真のように、プラモデルのような形で成型され、その後、人の手で余分な部分を取り除く作業が行われる。

成型部 成型部成型部

ブロー成型部
ブロー成型は、一般的には、ペットボトルやポリタンクなど、中に空洞がある製品を作るのに用いられる。プラスチックの原料を融かしてパイプ状にする。それを製品の外側のみ彫られている金型に挟み込み、中に空気を吹き込んで膨らませて製品を作る。ブロー成型の際、バリと呼ばれる不要部分が付くが、この部分も人の手によって取り払い、完成品となる。

ブロー成型部 ブロー成型部 ブロー成型部

塗装部
成形部、ブロー成型部から上がってきた製品に塗装を加えていくのがこの部門。色付けはパーツごとに作られた型にはめ込んで、人の手で一体一体丁寧にスプレーで着色する。

 塗装部 塗装部

組立部
塗装が終わると、製品同士を組み立てる作業工程になる。こちらも人の手で行われ、組み立てている時にチリやホコリが入らないよう、従業員は特殊な作業服を着て作業を行う。

組立部

クリーンルーム
出荷前の製品に、ホコリや髪の毛が入らないように細心の注意を払う為に作られた空間。ここでは主に、出荷前の製品の最終検品や梱包が行われていた。取材した当日も、頭にフードを着用し、足元も靴周りにカバーを付け、クリーンルームウェアーを着用させて頂いた。

クリーンルーム

 

工場で製造されている
多くの製品の原料となるABS樹脂

ABS樹脂 ABS樹脂

ABS樹脂とは合成樹脂であり、最も汎用性の高いプラスチック素材。その使用範囲は家庭用品に留まらず、自動車や家電製品、住宅用建材など多岐に渡る。ウィングファットでは、台湾から仕入れており、工場内にも大量のABS樹脂が倉庫に保管されていた。

 

永発国際創建有限公司
広東省東莞市石排鎮燕窩工業区
電話:(86)769-8652-7336
ファクス:(86)769-8652-7337
ウェブ:www.wingfat-intl.com
メール:[email protected]

ウィングファット ウィングファット

永発国際創建有限公司(ウィングファット)は、2007年9月の設立。プラスチック素材を中心としたベビー用品やキャラクターグッズなどの生産を手掛け、日本と欧米に向けて輸出する事業を行っている。今回取材した東莞工場では、約800人の従業員が働いている。東莞工場で製造された商品は、ほぼ100%中国国外に輸出され、内訳は米国向けベビー用品などが6割、日本向けのキャラクターグッズなどが4割。2012年にベトナム、2015年10月にフィリピンに合弁会社を設立し、東莞のみで行ってきた生産の一部を両国に移管した。生産分業は東莞が8割で、ベトナムとフィリピンで各1割。オーナーは日本人の中込直樹氏。

 

「恩返し」だけではない
中国への想いを胸に、飛躍を続ける

社員800名̶、「永発国際創建(ウィングファット・インターナショナル)」は、広東省・東莞に拠点を置き、ベビー用品・キャラクターグッズ製造で年間2億2千万元を売り上げる。若き代表取締役・中込直樹氏が、香港でキャラクターグッズ等を扱う商社で培った経験とノウハウを活かし、2007年に創業して以来、右肩上がりの成長を続けている。いまや世界中の誰もが知ると言っても過言ではない日本発のキャラクターグッズや、自社で開発したベビー用品が毎日世界へ向けて万単位で出荷されてゆく。

現在、中国での経営を取り巻く環境は楽観視できるものではない。コストの徹底した削減に対する努力は怠らないが、それよりも「品質低下に繋がる無理はしない事を心がけている」と語る中込氏。製品クオリティーの低下は信頼の失墜に直結するからだ。また、キャラクター商品製造において、ウィングファットは単なる受託製造業者の位置に留まる事なく、コスト面、アイデア面でも積極的な提案を発注元に対して行っている。ウィングファットの提案、委託業者との共同作業により成果が挙がれば、信頼関係を築いていく事ができる。

中国での労働力コストが上昇する中、ウィングファットでは既に将来を見据え、ベトナム、フィリピンなど東南アジアへの進出を始めている。リスク回避を目的に、拠点の分散を図るためだ。

しかし、中学・高校時代から「三国志」をきっかけに中国の歴史・文化に傾倒し、中国の国立大学を卒業したほどの中込氏の中国への“想い”は強い。「様々なものを学び、機会を与えてくれた中国・東莞から撤退するつもりはない」。経営に於いても、かつて憧れを抱いた関羽のように「人を裏切らない。初志貫徹」の精神を指針のひとつとしている。向上心の強い中国人的長所と几帳面な日本人的長所が組み合わされば、更に大きな力と生産性を生むと確信している。

中込直樹氏そんな中込氏の姿勢は自然と中国人従業員にも伝わるものだ。単なる経営者としてだけでなく、一人の人間として従業員からも尊敬され慕われる彼の視線は、常に次なる事業展開を見据えている。

ウィングファット・インターナショナル 代表取締役
中込直樹氏

〈プロフィール〉山梨県出身。高校を卒業後、中国の国立大学である東北大学に進学。大学卒業後は日本のキャラクターグッズを扱う香港の日本商社に就職。その間に香港人の妻と知り合い、結婚。その後2007年に、「ウィングファット・インターナショナル」を立ち上げ、ベビー用品やキャラクターグッズを製造、日本と欧米に輸出している。現在はレストラン経営、スポーツマネジメントなど多方面に事業展開している。来たる11月30日、新規FC事業として ジェラート&チェロスの店舗を東莞にオープン予定。

 

 

社食の味で作業効率は変わる「やる気を生む味」を届ける
深圳市味佳源餐飲管理有限公司

社食 社食 社食

食堂に笑顔が生まれれば、工員たちのやる気は向上し、作業もはかどる。離職率は下がり、有能な人材が集まる。深圳市味佳源餐飲管理有限公司は、調理経験豊富なシェフを工場の食堂へ派遣し、「美味しい」食事を提供することで、中国における工場経営をサポートしている。

深圳近郊、東莞などを中心に、広東省で給食業務委託運営する「味佳源餐飲管理有限公司」。大手電子機器メーカーを始め、顧客企業の約90%を日系企業が占めるという同社は、予算など企業の要望や環境、条件に応じた柔軟なカスタム・メイドのプランが特長。また、実際に食堂を利用する工場従業員が、毎日食後に「食の満足度」を3段階で評価できるというシステムを導入しており、その不満足度は1%未満だという。毎日の食に対する満足が従業員・工員のモチベーションにつながり、作業効率もアップする。同社の給食業務サービスが「世界の工場」を支えていると言っても過言ではない。

社食 社食

味佳源

味佳源深圳市味佳源餐飲管理有限公司
住所:深圳市坂田揚馬市場家声楼208号
電話:(86)755-2937-1019
ファクス:(86)755-6121-6453
メール:[email protected]

Pocket
LINEで送る