特集:香港の最高学府を巡る 1

2016/10/26

大學

香港の最高学府を巡る

1912年、薄扶林に香港大学が開設されてすでに100年を超える。香港の成長と共に中国への返還を目前に控えた1990年代、香港の大学は急激に増えた。とはいえ、現在人口約730万人の香港に存在する大学は10。単純計算では約73万人に一校という割合。日本では16 万人に一校といわれるそれと比べると「狭き門」と言えるのかもしれない。今回の特集はそんな香港の「最高学府」・大学にスポットを当ててみた。

 

 

創立百年を優に超える
香港を代表するアジア屈指の名門校

香港大學
The University of Hong Kong

香港大学 香港大学

●設立:1911年
●所在地: Pok Fu Lam, Hong Kong
●在籍学生数: 27,440 (2013年)
●ウェブ: www.hku.hk

香港で最も長い歴史を誇る「香港大学」は当時の香港総督フレデリック・ルガードにより1911年に創立された。本大学の前身は1877年に創立された香港西医書院で、同院の卒業生には「中国革命の父」と呼ばれた政治家である孫文もいる。現大学となった後も数多くの政治家や文化人を輩出、常に世界の大学ランキングにも名を連ねている。創立当時は医学部、工学部、文学部の3学部のみで、第二次世界大戦時に日本に占領されていた間は大学自体が閉鎖されていた。現在は医学部、建築学部、経済・経営学部など10の学部を有する。授業の形態や成績評価は英国統治時代に設立された名残でイギリスの大学と似たシステムで運営されており、今でも授業は全て英語だ。また、留学生の受け入れに積極的で、これまでにおよそ100ヶ国あまりの国から9000人を超える外国人が同大学で学んできた。また、日本の多くの大学と交流協定を結び、交換留学などのプログラムも実施している。

香港島西部、ヴィクトリア・ピークの斜面に開けた薄扶林(ポックフーラム)にあるメインキャンパスの中には、香港で最も歴史の古い博物館である香港大学博物館をはじめ、大学本部、会議棟や時計台、といった香港法定古蹟に指定されている趣きある歴史的建造物が現役で活躍。その一方でカフェやスーパー、銀行といった最新の施設もあり、まさに香港の街を凝縮したような雰囲気だ。

超学歴社会といわれている香港のなかで、歴史、実績、実力ともにまさに「香港ナンバーワン」といえる同大学は、香港人の誇りともいえる学び舎である。

【香港大学卒業各界の主な有名人】

有名人

孫 文(そん ぶん)1866~1925年
初代中華民国臨時大総統
中国国民党総理
辛亥革命を起こした中国革命の父。中華人民共和国でも、近代革命先行者として「国父」と呼ばれる。海峡両岸で尊敬される数少ない人物。

傅 秉常(ふ へいじょう)1896~1965年
中華民国の政治家・外交官
護法運動を開始した孫文を頼って護法軍政府に加わり、以後、外交部を勤めた。1931年、香港大学から名誉法学博士号を授与。

鍾 士元(しょう しげん)1917年~
香港の実業家・政治家
1990年以降、最も高い地位にいた香港の華人政治家。パッテン総督の就任まで、立法局と行政局の主席非官守議員を務め、1999年に政界を引退。

有名人

陳方 安生(アンソン・チャン)1940年~
香港の元政務司司長
パッテン総督により華人として初めて布政司(現在の政務司司長に相当)に任命。彼女を筆頭に多くの女性政府高官が活躍。

范徐 麗泰(リタ・ファン)1945年~
香港の政治家
立法会議長にみたび就任して2008年に退任。1998年には金紫荊星章を受賞。

高 錕(チャールズ・クエン・カオ)1933年~
香港、イギリス、アメリカの国籍を持つ物理学者。光ファイバーに関する研究で2009年にノーベル物理学賞を受賞。「光ファイバーの父」と呼ばれる。

有名人

何 鴻燊(スタンレー・ホー)1921年~
香港・マカオの実業家。香港およびマカオで多数の土地を所有し、娯楽、観光、船舶、不動産、航空、銀行など、多種にわたるビジネスを展開。35年以上マカオのギャンブル産業界に君臨し続けている「カジノ王」。

黃 霑(ジェームズ・ウォン)1941~2004年
歌謡曲、映画音楽の作詞家、作曲家、俳優、実業家。映画「プロジェクトA」の主題歌が最も有名。

許 鞍華(アン・ホイ)1947年~
映画監督、脚本家、映画プロデューサー。中国人の父と日本人の母を持つ。代表作「客途秋恨」は20代後半に母の故郷に2人で旅した経験から生まれたもの。

許 冠傑(サミュエル・ホイ)1948年~
1967年にバンド「蓮花楽隊」のボーカリストとして芸能界デビュー。香港音楽界でほぼ初めて広東語の自作曲を歌い、洋楽ポップスの影響を受けながらもどこか哀愁のある楽曲が好評で「歌神」と呼ばれた。実兄マイケル・ホイ監督の映画「半斤八兩」をはじめ「Mr.Boo」シリーズで日本でも人気を博す。

 

香港大学歯学部に勤務する日本人助教
田中礼さんにインタビュー

念願叶って香港大学で教えています!
羨ましい、学生の自主性を認める気風

田中礼さん

〈田中礼さんプロフィール〉
日本の大学(歯学部)で教員としての経験を積み、2011年に香港大学歯学部歯科放射線学科に研修のため来港。そのことがきっかけとなり、2016年2月より香港大学歯学部歯科放射線学科助教に着任。顎顔面放射線学を教えている。

香港大学で働くことになったきっかけを教えてください。
5年前、香港大学歯学部歯科放射線に研修に来たのがはじまりです。以来、香港大学、というより香港そのものに魅せられて、教員募集があるごとに応募してました。4年越しの思いがようやく叶って、2016年2月1日に着任しました。

香港大学ではどのようなことを教えられていますか。
顎顔面放射線学。主に、歯科領域(ときどき顔面部もふくまれる)にできる病気がエックス線写真やその他の画像にどんな風に現れてくるかを、解剖学や病理学などの情報を加えながら教えています。

香港大学で働かれてみて、日本の大学と違う点はどこでしょうか。
日本では自分の出身大学の歯学部でしか教えた経験がないので比較の対象が限られますが、香港大学歯学部の学生は、独立している気がします。いちいち教員の指示を仰がずに、自分で決めて自分でやってしまう感じです。歯学部は実際の患者さんで実習をさせていただくわけですが、香港の歯学部学生は患者さんの数も多く、自分で考えて自分で行動することをかなりの範囲で認められていて羨ましい環境だと思います。

香港大学の学生はどのようなタイプが多いでしょうか。
実学志向性が強いと思います。香港の生え抜きのエリート学生が集まっていますから、見るからに秀才が多いですね。

講義をされるにあたり、気を付けられていることはありますか。
解剖の図を描いたり、実際に診断報告書を作る練習をしたり、なるべく手を動かす授業を心がけています。あとは、英語。授業が英語なので、少しずつでも上達するように英語スクール、Language Worldに通っています。

お昼は学食で食べられているのでしょうか。その場合、オススメのメニューはありますでしょうか。
歯学部の学食はPrince Philip Dental Hospital の7階(最上階)にあります。並ぶのが余り得意ではないので、雨ザーザーの日くらいですが(笑)。気に入っているメニューは、日替わり定食、揚州炒飯、星州炒米粉。学食の隣にラウンジがあり、そこでもサンドイッチ類がいただけます。ここのクラブハウスサンドはかなり美味しい!

その他、香港大学周辺でお気に入りのレストランやスポットはありますか。もしあれば、教えてください。
歯学部がある西營盤(サイインプン)周辺では高街(High St.)のフレンチのお店、「Metropolitan」、ベトナム料理が気軽に楽しめる「Soo Viet」(Des Voeux Rd. West)、日本の雑誌でも紹介された雲呑麺の名店「麥明記」(Queen’s Rd. West )がお気に入りです。あと、お友達に紹介されて食べたタルトが美味しかったのが、上環(ションワン)の「Tartes & Pop」(Morrison St.)ですね。

ありがとうございました!

 

 

歴史的建物を訪ねて
キャンパスをぶらり

香港大学

1912年の香港大学本部ビル

香港大学へのアクセスは「MTR香港大學駅」のお陰で、非常に便利になった。エレベーターが大学構内まで直接連れて行ってくれるのだから。しかし…、香港大学を探訪するのなら、あえて般咸道(ボンハムロード)を東から歩いて訪れてみることをお奨めしたい。ここが急な坂道を登った、山の中腹にあることを実感できるからだ。

香港大学

ボンハムロード

「香港大學」と書かれた門を正面に見て左手には香港大學美術博物館の「香港大學馮平山樓」がある。この建物は1932年に図書館として建てられたもので、1964年から美術博物館として一般に公開され、現在にいたるまで様々な企画展を催している。

香港大学

左が香港大學馮平山樓

逆に「香港大學」の門の右側の坂道を登っていくと、香港大学の本部ビルと「香港大學孔慶熒樓」(1919年竣工)とがある。本部ビルはこの大學の紹介写真で必ず使われる、あのルネッサンス様式を採用した、香港大学を代表する建物だ。1912年の竣工以来、戦争の3年半の期間を除き現在に至まで100年以上大学施設として使われている。現在では構内外に出来た新しい高層ビルに隠れ気味だが、竣工当時の写真では、山の斜面から遮るものなくヴィクトリア港を眼下に捕える威容を見ることが出来る。この美しい外観のため、映画等のロケや結婚記念撮影の舞台としても香港市民に親しまれている。

香港大学

儀礼堂(Eliot Hall)

香港大学

梅堂(May Hall)

香港大学

至る所に構内マップあり

さて次に本格的に大学構内へと進んでみよう。「香港大學」の門をまっすぐに(多少くねってはいるが…)登って行くと、エレベーターがある。平面図では分からないが、この大学の建物はすべて斜面に建てられているので、南北は全て坂道、階段、エレベーター、エスカレーターでの移動が多くなる。このエレベーターを登りきると右には図書館、スターバックスなどがあるが、ここは左手の黄色い「儀礼堂」と「梅堂」の表示を目指して行こう。粱銶琚樓、莊月明文娛中心と徐々に登って行く。スーパーマーケットの「PARK’n」も入っている莊月明文娛中心は個性的なエスカレーターホールが印象的だ。ここを抜けると噴水を擁するアーチ型の階段が美しい「儀礼堂(Eliot Hall)」に着く。ここはその背後にある「梅堂(May Hall)」とともに元々は寮として使われていたというもの。1914年、15年に完成というから、大学本部ビルのすぐ後に建てられたことが分かる。実はもう一棟「盧吉堂(Lugard Hall)」という宿舎もあったらしいのだが、1992年に取り壊されてしまったという。残った煉瓦作りの2棟は今も研究室などに使われている。

香港大学 香港大学

香港大学

階段が多い構内

ここが香港大学の最上部のようにも見えるが、「梅堂」の傍の小径をさらに登って行くと…。いきなり大砲の砲身に遭遇する!ここは香港大学学長公邸。その庭の砲身の指す彼方にはヴィクトリア港が望見できたであろう。そしてここはピークへと続くハイキングコース、克頓道(ハットンロード)の入り口でもある。

香港大学

大砲が!

香港大学

空気もひんやりの「大學道」

香港大学

百周年花園

香港大学構内巡りの旅は後半へ。左手には緑に覆われた斜面が迫り、喧噪を離れた「大學道」の坂を下って行くのは、さながらハイキングの帰り道のような錯覚にも陥りそう。道なりに降りて行き、右手の大学食堂を過ぎると、2013年にできたばかりの「李兆基會議中心大會堂」に着く。そしてこの山側には「百周年花園」が。実はこの小さな記念公園の下は貯水池。これを暗渠にしたものだが、かつての水道局関連施設は今もひっそりと残されている。

香港大学

香港大学出版局

香港大学

香港大学ビジターセンター

最初の出発点からかなり西に進んだこの地点からはMTR香港大学駅C1出入口がすぐそば。そしてここには最後のチェックポイント、「香港大学ビジターセンター」と「香港大学出版局」がある。実は1920年代に建てられたこの2棟は元々香港大学とは関係のない建物。前述の水道局の職員の宿舎だったものを修復して利用しているものなのだ。最近の香港では古いものを取り壊すばかりでなく、このような方法での歴史的建物の保存・有効活用が多く見受けられ、嬉しい限りだ。

香港大學内の歴史的建物を駆け足で巡ったこの「旅」はベルチャーベイを望むここで終了。帰りは始発のケネディータウンから二駅目、便利なMTRで座って行きましょう。お疲れさまでした!

香港大学

HKUグッズがいっぱい!

香港大学

MTR香港大学駅C1

一念素食(BIJAS)
香港初のベジタリアン学食で賢く健康に!

香港大学

昨年、香港大学が100周年に合わせて建設した校舎にオープン学生食堂の1つで、香港の大学では初めてベジタリアン中華を提供するお店「一念素食(BIJAS・ベジタリアン・レストラン)」。店名の「BIJAS」とはインドのサンスクリット語で“マインドの種”という意味で普段の食事より賢いメニューの選択、そしてより身体が喜ぶ食事を心けることによって健康を維持する事を応援している。そんな同店でビュッフェスタイルで種類豊富な好きな料理を好きなだけお皿に取り、レジでお会計。支払いは計量制。常に学生、講師、留学生なで常に賑わっているが、もちろん一般の利用も可能だ。MTR香港大学駅C1出口すぐ。

ベジタリアン学食

一念素食(BIJAS・ベジタリアン・レストラン)
住所:G/F Run Run Shaw Tower Central Podium, Centennial Campus, University of Hong Kong
時間:11:30~21:00

 

Rome Café
授業の合間にほっとできる隠れ家的カフェ

カフェ

キャンパスの中でも落ち着いたエリアにある穴場のキャンパスカフェ「Rome Café」。シンプルでモダンなインテリアで開放感があり、忙しいキャンパスから離れてゆっくりした時間を過ごすのに最適。カジュアルな雰囲気とフレンドリーなスタッフで、コーヒーやお茶などのドリンクを、またはお店人気のフードメニューも試してみよう。人気なのはトリュフオイルを添えたマッシュルームスープやスイートポテトのスープ。リッチで濃厚な味がたまらない。その他、ボリュームたっぷりのポークチョップライスもオススメ。

Rome Café
住所:Level P3, Graduate House, University of Hong Kong, 3 University Avenue, mid-levels
時間:月~土 11:00~21:30 日 定休日
電話:(852)2858-8816、(852)2858-8841

 

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