特集:香港甜品天国 1

2016/09/20

特集

ようこそスイーツパラダイスへ
香港甜品天国

香港人はスイーツが大好き。有名パティシエのケーキショップや日本で大人気のパンケーキ屋が開店したと聞けばすぐに駆けつけ、長蛇の列にも辛抱強く並んでお目当ての一品を食べたりと、常に新しいスイーツ探しには余念がない。今回は、そんな彼らがこよなく愛するソウルフード、ならぬソウルスイーツ「甜品」を大特集!新しいスイーツが次々と登場し店の入れ替わりも激しいなか、今も昔と変わらない味とスタイルで提供され、老若男女問わず人気であり続ける理由がこれをみれば解るはず。知って驚き、食べて美味しい、作って楽しい!魅惑の香港甜品ワールドへようこそ!

 

香港甜品図鑑

美味しいだけじゃないスイーツがずらり
罪悪感いらずの身体に優しい「甜品

スイーツと言うと、ついついケーキやソフトクリームに目が行きがちな人も多いのでは? でも折角香港にいるならば中華デザート、通称「甜品」を食べないのはもったいない! 香港人のパワーみなぎるエネルギーの源、実はここにあり?!痩せの大食い女子が多いのもうなずける、そして男子だってこぞって食べる甜品をここで一挙に紹介!

涼粉(リョンファン)
Grass jelly

スイーツ

別名「仙草ゼリー」とも呼ばれており、香港や中国、台湾、そして東南アジアでも食べられている真っ黒なゼリー状のデザート。スーパーでも缶詰で売られているのをよく目にする。薬草独特のほろ苦さが特徴で、昔からシロップなどをかけて食べられていたが、それほどクセはないのでむしろその味が病み付きになる人も。体に篭った熱を発散し、滋養強壮にも効果があり夏バテ防止にぴったり。もし疲れが出てしまった後でものど越しがよくつるっと食べられるので、食欲がないときにはスイーツショップに駆け込んで、フルーツやアイスなどと一緒に盛られた涼粉を食べてみよう!

 

薑汁撞奶(ギョンチャップチョンナイ)
Ginger milk curd

スイーツ

まろやかなミルクの風味の中にピリッと生姜のアクセントが効いた、身体が温まるホットデザート。材料は牛乳と生姜と砂糖だけ。沸騰した牛乳に砂糖を溶かし、牛乳が70℃くらいになったらあらかじめ絞っておいた生姜汁に注いでかき混ぜ、固まるまでちょっと待つだけ。と、いたってシンプルな作り方なので、家庭でも簡単に作ることができる。ちなみに寒天やゼラチンを入れていないのに固まる仕組みは、生姜に含まれるプロテアーゼという酵素と牛乳のたんぱく質との化学反応によるもの。寒い冬はもちろん、冷房で冷え切った身体にも染み渡るスイーツだ。

 

豆腐花(ダウフーファ)
Doufuhua

スイーツ

豆腐プリンとも呼ばれているが、日本でよく見かける豆乳プリンとは全く違い、味は甘い「豆腐」そのもの。臭豆腐、腐乳といった数ある豆腐文化の中で生まれたものの一つで、いまや万人に愛されるおやつとして浸透している。スーパーでも簡単に手に入れることができ、普通の豆腐の横にそっくりなパッケージで陳列されていることが多いので、間違えて買って食べてびっくり!なんて人もいるのでは?街でみかける豆腐花スタンドでは、シンプルなシロップ以外に、フルーツソースや黒ごまペースト、小豆をかけたりといろんなテイストを味わうことができる。

 

雙皮奶(ションペイナイ)
Double skin milk

スイーツ

ミルクと卵白、そして砂糖から作られる、どこか懐かしく優しい味わいの「牛乳プリン」。表面に薄く「膜=皮」が張られている。香港にいたら一度は食べておきたい超定番デザートだ。元々は中国の順徳が発祥で、清の時代にミルクの保存方法のひとつとして作られたのが始まりといわれている。使用されるミルクは水牛のものであることが多く、乳牛のものよりも脂肪含量が高いため、より滑らかな質感が生み出される。お店では温かいものか冷たいものかを選ぶことができるので、ミルクの臭みが苦手な人はまずは冷たいものから試してみよう!

燉蛋(ダンダーン)
Steamed egg custard

スイーツ

濃厚な卵の味わいが病みつきになる、甘い茶碗蒸しのようなデザート。雙皮奶と合わせておいている店が多い。ただ、どうやらオーソドックスな雙皮奶よりもこちらのほうが香港人には人気があるらしい。こちらも冷たいものか温かいものを選ぶことができることが多く、温かいもののほうが、より「出来たて感」が楽しめる。卵と牛乳を混ぜ合わせた後にしっかり篩いで濾しており、舌触りは絹のように滑らか。最近のスイーツ店では表面が「焦がしキャラメル」になっているクレームブリュレのようなものも登場しているが、まずは伝統のノーマルバージョンを食べてみて欲しい。

 

燉椰皇(ダンイエーウォン)
Double-steamed/boiled dessert in coconut

スイーツ

ミネラルやビタミン、ダイエットに効果的な中佐脂肪酸を多く含み、コレステロールはゼロ、と近年その効能が注目されているココナッツミルクを、香港では美味しいココナッツプリンとして食べることができる。お店によって燕の巣や白きくらげを入れて、女性が飛びつきたくなるような美容・健康効果抜群のスイーツに仕上げてたり、フルーツやタピオカを入れてジュースとして提供しているところも。ヤシの器で南国気分も満喫!大抵の店では冷やされた状態で供されるが、冬にはホットバージョンも登場する。

 

雪花冰/綿綿冰(シュッファービン/ミンミンビン)
Snow ice

スイーツ

香港スイーツのニューカマー一番手の呼び声高い雪花冰。台湾の屋台が発祥で、牛乳と砂糖、フレーバーをミックスしてブロック状に凍らせたものを、カキ氷のように削り出し、仕上げに果物やコーンフレークなどをトッピングする。フレーバーはフルーツやチョコレート、黒砂糖や黒ごまと、バラエティに富む。カキ氷みたいにさっぱりしているけど「キーン」とこない、アイスクリームのようにクリーミーだけど、食べてものどが渇かない。と、まさに夏の2大スイーツのいいとこどりなデザート。口の中でふわっと雪が解けるような不思議な食感が新しく、世代を問わずに人気がある。

 

 

これからの季節は暖かいデザートを楽しもう
香港で食べておきたいスープ甜品丸分かり!

綠豆沙(ロッダウサー)
Green bean soup

スイーツ

栄養満点な綠豆沙は昔から中国で愛されてきた糖水の一つ。味はあっさり目で、冷やしても温めてもどちらでも美味しく食べられる。そしてデザートでありながら、これ一つで食物繊維、プロテイン、ビタミンCを始めとする各種ビタミン、鉄分などのミネラルまで摂ることができてしまうという優れもの。また体内の毒素を排出したり、より健康な肌を作ったりと、女性に嬉しい美容効果もありそう。ただし体を冷やす効果もあるので、お腹を壊している人や冷え性の人は注意が必要だ。材料は緑豆、水、氷砂糖の三つだけ。家で自分流のアレンジを加えながら作ってみては?

 

紅豆沙(ホンダウサー)
Red bean soup

スイーツ

夏にはアイスで、冬にはホットで提供される紅豆沙。日本でアズキのデザートといえばおしるこだが、紅豆沙はおしるこよりも薄味。材料には氷砂糖、天日干ししたタンジェリンの皮、蓮の実が使われ、アレンジとしてサゴヤシやタピオカ、ココナッツミルクやアイスクリーム、モチモチの白玉や黒米が入れられたりする。レスト
ランや宴会のデザートとしてはお馴染みの定番。食べて残った分をアイスキャンディにするという楽しみ方もあるが、10月に入れば長かった香港の夏もいよいよ終盤。肌寒い秋と冬にはほんのり甘いホット紅豆沙で暖まろう。

 

番薯糖水(ファンシュトンソイ)
Sweet potato soup

スイーツ

香港で伝統的糖水といえばこの番薯糖水。レシピはシンプル。サツマイモを氷砂糖やしょうがと一緒に長時間グツグツ煮込むだけ。サツマイモは香りも味もリッチな黄色いものを使うのが最も理想的。生姜の量は好みに合わせて調整しよう。加えて赤いデーツの実も一緒に煮込めば、自然な甘さとより芳醇な香りが楽しめる。砂糖は東南アジアや中国のデザートによく使われる、茶色の分厚いスラブシュガーを使ってみて。ゴールドのカラーが食欲をそそる、うまみたっぷりのスープをつくってくれるはず。特に風邪をひいた時に食べてほしい、甘くて温かいデザートだ。

 

黑芝麻糊(ハッジィマァウー)
Black sesame soup

スイーツ

中国、香港を含め東アジアで広く親しまれる黑芝麻糊は、ドロッとした甘い黒ゴマスープ。使われているのは黒ゴマ、お米、水、そして甘みを加えるグラニュー糖のみ。キャビアやアワ、黒米やあずき、大豆でアレンジされることもある。タンユェン(湯圓)と呼ばれる米粉で作ったお餅を入れれば、ちょっと小腹が空いたという時にちょうどいい満腹感も得られるはず。中国医学でも様々な効能が見られるゴマを使ったこのデザートは、貧血や便秘、目まいや耳鳴りといった不調を覚える時には特にオススメ。パウダータイプのものも売っているので、一度気軽に味わってみよう。

 

湯圓(トーンユン)
Tangyuan

スイーツ

黑芝麻糊に入れることもあると書いた湯圓は、実はスープの定番具材。中に餡が入ったものと入っていないもの、餡が甘いもの、塩辛いものまで種類は様々。餡としてポピュラーなものを挙げるなら、ゴマペーストや細かく砕いたピーナッツなど。たいてい甘い餡が入った湯圓はショウガ風味のスープと、塩辛い餡が入った湯圓は魚や肉から取った透明のだし汁と合わせられる。一方餡が入っていない湯圓は、スープそれ自体が甘い紅豆沙や黑芝麻糊によく入れられる。色々な種類の湯圓制覇を目指せば、また一味違った香港スイーツ旅が楽しめるかも。

 

腐竹糖水(フーチョットンソイ)
Beancurd Skin Sweet Soup

スイーツ

中国南部で生まれた腐竹糖水の「腐竹」とは日本でいう「ゆば」のこと。スープに加えられたとき卵が、ほんのり感じる甘さと雲を食べているかのようなふわふわとした口当たりを生み出す。砂糖はグラニュー糖ではなく氷砂糖。氷砂糖の持つ身体の調子を整える効果が中国デザートで好まれる理由だそう。そしてもう一つ、腐竹糖水によく入っているのが銀杏。ムッチリとした食感とほろ苦さが甘いスープに加わって丁度良いアクセントに。中国では、妊婦が食べると肌の綺麗な赤ちゃんが生まれるという言い伝えもあるこのデザート。女性なら一度は食べてみるべき!

 

椰汁芋頭西米露(イエーチャップウータウサイマイロー)
Taro & tapioca (sago) in coconut milk

スイーツ

濃厚な甘さがクセになるココナッツミルクにモチモチの食感が嬉しいサゴタピオカ。そんな甘党にはたまらないデザートが椰汁芋頭西米露だ。サゴタピオカとは日本でよく見る黒いものではなく、つぶが透明で小さいもの。店や好みによっては他にカボチャやマンゴーをスープに加えたり。スープ自体はとろけるプリンのようにクリーミー。ミルクに溶かした氷砂糖は色々な具材で複雑になった味をすっきりとまとめ上げている。一口食べると口いっぱいに広がる南国独特のアロマティックな香りにあなたもはまってしまうかも?

 

喳咋(チャージャー)
Ja ja/ Cha cha (Assorted bean soup)

スイーツ

甘いものは食べたいけど香港暮らしで最近太って……という人にはヘルシーデザート喳咋がオススメ!発祥はマカオ、名前の「喳咋」はポルトガル語で「穀物のミックス」という意味だそう。マレーシアのデザート、チャチャと名前も材料も似ているが、喳咋は元々兵隊のためのランチとして作られた全く違うもの。現在では豆とタロ、サゴと氷砂糖の入ったデザートとして多くの人から愛されている。冷たいものも美味しいけれど、これからの季節にはやっぱり身体も心もホッと暖まるものを。トッピングに濃縮ミルクやココナッツミルクをかけてたまらない味を楽しんで。

 

楊枝甘露(ヨンジーガムロー)
Mango pomelo sago

スイーツ

昔から親しまれてきた紅豆沙や黑芝麻糊などに続いて、香港の現代デザート楊枝甘露。レストランではもちろん、コンビニでも手軽なペットボトルに入って売られているこのデザートは一番手に入れやすいかも。初めて作られたのは1984年。もともとは名前の通りマンゴー、パメロ、サゴを加えたデザートだったが、人気に乗じて多くの人や会社が独自にアレンジ。今では同じ「楊枝甘露」でも全く違う味や具材だったりするんだとか。どうせなら自分でアレンジを加えて自分だけの味を作ってみるのも楽しそう。色々な種類の楊枝甘露を味わって、一番おいしい楊枝甘露を見つけよう!

 

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