特集:香港甜品天国 3

2016/09/20

香港甜品図鑑②

街歩きのお供に、毎日のおやつに   西洋菓子にルーツをもつ「中式糕點」

街中の売店でよく見かける中華風ペストリーは、海外のチャイナタウンでも売られており、特に焼き菓子などは西洋のものから派生し中華風にアレンジされたものも多い。飲茶でデザートとして食べたり、食べ歩きで楽しんだり。香港人の生活に密着した、「中式糕點」を食べて、ローカル気分を味わおう。

蛋撻(ダーンダッ)
Egg Tart

おやつ

サクサクの生地の中に卵をふんだんに使ったカスタードがとろける美味しさの洋風スイーツ。生地は食べ応えのあるクッキータイプ(曲奇皮)とパリパリと軽い食感のパイ生地タイプ(酥皮)がある。ポルトガルが発祥で、中華圏版のものが見られるようになったのは、1920年代、ヨーロッパの文化が中国の広州に広まるなか、激化するレストラン間の競争に勝つために同地のあるレストランが試しに提供したのが始まり。かつてポルトガル領であったあマカオでも有名であり、最近では香港でも表面に焦げ目がついている「マカオ式」を食べることができる。

 

雞蛋仔(ガイダーンヂヤイ)
Egg Waffle

おやつ

エッグワッフルは1950年代ごろに誕生したスイーツで、食品などを扱う雑貨店が割れた卵が無駄にならないように小麦粉、バターなどを入れて焼いた物がその発祥だという。混ぜられた生地は「たこ焼き器」に似た型に流し込まれ焼かれる。初期のエッグワッフルは炭火のストーブで焼かれ、手押しワゴン車であっちこっち移動して販売されていたという。客は焼く作業を見ながら、出来立てのエッグワッフルを待つ。現在では手押しワゴンは少なくなり(それでも存在する)、ストーブも石油または電気のものに取って代わっている。旺角(モンコック)などの繁華街でテイクアウトの店舗を多く見かける。茶色の紙袋に入れられたものを食べながら街ブラするのが香港式!

文:Liang Fung Kwan, Anna

 

香蕉糕(ヒョンチウゴゥ)
Banana Roll

おやつ

バナナロールといえば香港でもよく見られる中華ペストリーの一つ。海外のチャイナタウンで見たことがある人もいるかもしれない。名前から判断して中にはバナナ、もしくはバナナクリームが入っていると思われがちだが、実際にバナナが入ったバナナロールはめったにない。バナナロールの名前の由来は中身ではなく、バナナオイルによるあのフルーティーな香りやその形なんだとか。中には小豆あんやシナモンロールが入っているものも。香港の街を歩いていてバナナロールを見つけたら、色々なお店のものを試してみては?

 

砵仔糕(ポッヂャイゴゥ)
Put Chai Ko

おやつ

プリンケーキとも言われる、柔らかくてあま~ い香港の人気スナック砵仔糕。砂糖やコーンスターチを混ぜた米粉から作られるそのお菓子には、たいてい小豆が入っていることが多い。人気がピークに達したのは1980年代頃のこと。行商人が荷車を押してあちこちの通りで砵仔糕を売り歩いていたそうだ。当時の砵仔糕といえば二本の竹串に差して売られていたが、今ではアルミカップやビニールの袋に入っていたり。近所のベーカリーやスナックショップでぜひ一度買ってみよう。その懐かしい甘さに、発展豊かな香港のまた違った一面がふっと垣間見えるかも。

 

芝麻卷(ジーマァギュン)
Black Sesame Roll

おやつ

日本人にも馴染みの深い食材、黒ごま。筋肉を生成したり、体内の組織を修復したりするのに必要なタンパク質、そしてカルシウム、鉄分、ミネラル、食物繊維といった豊富な栄養素の他、アンチエイジングに効く抗酸化物質を多く含むことでも有名だ。その黒ゴマを米粉やくわい粉、砂糖と混ぜてできた生地を薄くシート状に伸ばし、冷蔵庫で冷やした後に、それをクルクルっと丸めて作られるのが芝麻卷。その形状がカメラのフィルムに似ているところから、香港では「カメラロール」とも呼ばれている。昔から点心のデザートとして人気があり、香港人にとっては懐かしの味でもある。

 

糯米糍(ノーマイジー)
Nuomici

おやつ

世界各地にあるチャイナタウンでも見かけないことはないほど有名な、もち米団子、糯米糍。日本の大福のようなもので、一般的にココナッツと砕いたピーナツ、小豆、黒ゴマペーストなどが包まれていることが多いが、最近ではマンゴーやドリアン、ライチなどが包んであったりと、様々なフィーリングを楽しむことができる。表面には乾燥したココナッツが振りかけられていることも。サイズは小ぶりで、街中の売店でも手軽に購入できるので、「お茶うけ」としてだけでなく、小腹が空いた時や観光中に食べ歩いたりするのにもぴったりだ。

 

桂花糕(クァイファーゴゥ)
Osmanthus Jelly

おやつ

金木犀の花(桂花)とクコの実を寒天で固めた爽やかなゼリー。桂花は東アジアを中心に生息する、美しい黄金色の花だ。日本では芳香剤の臭いというイメージがあるが、その香りは鎮痛・鎮静作用の他、痰をきってくれたり呼吸器系の疾患を和らげる効果もあるということから、古くから中医学にも取り入れられ、漢方の生薬としても使われてきた。香り付けのタレ(醬)などとして、中華料理のレシピにも度々登場する。エレガントな香りは甘く爽やかな香りが、暑い香港の気候に清涼感をもたらしてくれる。非常に中華圏らしいデザートの1つだ。

 

 

挑戦!

手づくり中華スイーツをマスターして   

香港生活をもっと楽しんじゃおう!

長い歴史を持つ中華デザートだからこそ、作り方は意外とシンプルだったりするもの。そこで、面倒な器具も要らない、香港のコンパクトなキッチンでも簡単に作れちゃう3 つのレシピを紹介!

椰汁芋頭西米露
Taro & Tapioka (Sago) in Coconut Milk

スープ甜品

〈材料〉
タロイモ…500g
ココナッツミルク…200ml
サゴヤシ…100g
水…500ml
砂糖…60g

〈作り方〉

サゴヤシ

(サゴヤシの準備)
❶中サイズの鍋に強火で水を沸かす。
❷沸騰したらサゴヤシを入れ、半透明になるまで煮る(サゴヤシが塊になってしまわないよう常にかき混ぜる)。
❸サゴヤシが半透明になった時、鍋の中の外側は透明に、内側は白く濁っていれば問題ないので、素早く火を止める。
❹サゴヤシを一旦冷ましておく為に、水を流したままにしながらサゴヤシをすすぐ。
❺すすぎ終わったら乾かして横に置いておく。

タロイモ

(タロイモの準備)
❶タロイモを250gだけ薄くスライスする。
❷中華鍋で約8分間、スライスしたタロイモを完全に柔らかくなるまで蒸す。
❸柔らかくなったタロイモをスプーンの裏ですりつぶし、横においておく。
❹残り250gのタロイモを食べやすい小ささのキューブ上に切る。
❺沸騰したお湯に入れて3分間ゆがく。
❻その後乾かして横に置いておく。

ココナッツミルク

(スイートスープの作り方)
❶500mlの水を沸かす。
❷沸騰したら砂糖を加えて完全に溶かす。
❸その後準備を済ませたサゴヤシを鍋に入れ、3分間中火で煮立たせる。
❹さらにすりつぶしたタロイモとキューブ上に切ったタロイモの両方を加えてよくかき混ぜる。
❺最後にココナッツミルクを入れて火を止めれば完成。暖かいままでも冷たく冷やしてもおいしくいただける。

 

薑汁撞奶
Ginger milk curd

スイーツ

〈材料〉
牛乳…250ml
砂糖…20g
ショウガ汁…大さじ2杯

ショウガ

〈作り方〉
❶ショウガをあらくみじん切りにする。
❷1で細かくしたショウガをざるに移してボウルの中にショウガ汁を搾り取る。
❸搾り取ったショウガ汁から大さじ2杯すくって別のボウルに入れる。
❹鍋で牛乳と砂糖を混ぜ合わせてから、中火で80度になるまで温める。
❺温まったらすぐに牛乳を鍋からショウガ汁の入ったボウルに注ぐ。
❻3分間何もせずに置いておく(決してかき混ぜたりしない)。
❼置いておいたショウガ牛乳が固まれば完成。

 

桂花糕
Osmanthus Jelly

おやつ

〈材料〉
金木犀のシロップ…大さじ1杯
氷砂糖…90g
ゼラチン…大さじ1杯+小さじ1杯
水…300ml

金木犀

〈作り方〉
❶中サイズの鍋で水を沸かす。
❷沸騰したら、鍋に氷砂糖を入れ完全に溶かす。
❸氷砂糖が溶けた後、金木犀のシロップを加えてよくかき混ぜる。
❹さらにゼラチンを入れてそのままよくかき混ぜ、ゼラチンが完全に溶けるまで鍋の中身を煮立たせる。
❺ゼラチンが溶けたら、中身を型に移し変える。
❻冷蔵庫で2時間冷やして、ゼリーが固まったら完成。

 

 

「手づくり」に失敗したってモーマンタイ!
ズボラさんだってウェルカム!
お店で食べるあの味を自宅でもオススメ、お手軽中華デザート!  
日本へのお土産にも!

、レトルトのデザート

香港のスイーツショップはどこも大人気。店の外に伸びる行列や人だかりを見て、入店を諦める時もあるのでは?また、営業が深夜にわたるため、その分朝がゆっくりなお店も多く、ランチの後にデザートでもと足を運んだらまだやっていなかった、なんてことも少なくない。そんな人にオススメなのはいつでもスーパーで手に入れることができる、レトルトのデザートだ。

具材もたっぷり入っていて食べ応えも抜群。長期保存が可能で、風味も栄養成分もほぼ損なわれず残るので体にも効く。何より店の味をしっかり再現しているクオリティーの高さが人気で、旅行者が、お店で食べた味が忘れられずに買っていくことも多いのだとか。

沢山買いたいけれど、重さが気になるという人には粉末タイプはいかがだろうか。こちらはお湯をいれて混ぜれはOKのインスタントデザート。あっという間に出来上がるのにこちらも味は本格的。芝麻糊(黒ごまのお汁粉)や杏仁糊(杏仁のお汁粉)が一杯分ずつ個別包装されており、バラまき用のお土産にもぴったり!どちらもウェルカム(惠康)やパークンショップ(百佳)などのローカルスーパーマーケットで、レトルトタイプがHKD15、粉末タイプがHKD10程度とかなりお手頃なのが嬉しい。家にストックして、食べたいとき食べられる中華デザート生活、始めてみよう!

 

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