貴方と お酒と 音楽と1:香港プロミュージシャン、甲谷久一さんインタビュー

2016/01/20

香港でプロのミュージシャンとして活躍する甲谷久一さんにインタビュープロミュージシャン甲谷久一

大きな身体、そしてそのパワフルなベースプレイからは想像し難いが、子供の頃はあまり身体が強くなかったという甲谷さん。しかし逆にそれが音楽に触れる一つのきっかけになったというのだから、人生はわからない。現在香港でミュージシャンとして、音楽講師として、マルチなプロ活動を続ける甲谷久一さんに、彼自身の音楽人生、そして香港のバンドシーンについてお話を伺った。

音楽との出会い、と関わりについて教えてください。
運動は好きだったんですが、身体が弱くあまり外で遊び回れなかった小学生の頃、エルヴィス・プレスリーが好きな両親の勧めでピアノ習い始めました。とは言ってもポピュラー音楽ではなく、徹底的にクラシック一筋でした。中学ではブラスバンド部でトロンボーンとコントラバスを担当すると同時に、合唱コンクールなどの時にはピアノ伴奏をしていましたので、音楽面では目立つ生徒だったかもしれません。ポピュラー音楽との出会いはクラスの友達から「そんなに音楽好きなら、これ聴いてみたら?」と勧められたデビッド・ボウイが最初です。その頃、洋楽で流行っていたといえば、クイーンやキッス、ベイシティ・ローラーズなどでしたから、いきなりボウイからというのはちょっと変わっていたかもしれませんね(笑)。その頃パンクロックが出てきましたが、私はピストルズよりもストラングラーズとかニック・ロウ、イアン・デューリー&ブロックヘッズとかを聴いてました。 RC・サクセションで日本の音楽に興味を持ち始め、本格的なバンド活動は憂歌団などの影響でブルースバンドを始めたのが甲谷久一ギターソロ最初です。ピアノを続けていた下地もありましたし、両親ともにポピュラー音楽に関しても寛容だったので、高校生の頃にはギター、ベース、ドラムと、一通りの楽器は弾けるようになってました。バンドを始めた時、ちょうどやる人がいなかったベースを担当することになったんです。大学生の頃にはプロのミュージシャンになる事を意識し始め、実際スタジオ・ミュージシャンとしてプロにはなったんですが、この世界上手い人はごろごろいるわけで…(笑)。ピアノを続けていたお蔭で音楽理論にも強かったので音楽講師として教えたりもしてたんですが、結局プロのプレイヤーとしては見切りをつけ、大学卒業後、(株)新星堂に就職したんです。音楽に関わっているとはいえ、サラリーマン生活でしたね。
香港へは?
香港へは1998年に新星堂の駐在員として来ました。その後、こちらで新星堂を辞めた時に、当時普段の練習で使っていた佐敦の音楽スタジオのオーナーから買取りを持ちかけられまして…。退職金で間に合う程度の金額だったので、機材一式を思い切って買い、オーナーからスタジオを引き継ぎました。

香港での音楽活動は?

新星堂を辞めたころからHelterSkelterというブルースバンドを続けていますが、来港以来幅広くバンドやセッションに参加して来ました。また、スタジオではロックにに限らず幅広いジャンルでのレコーディングにもエンジニアとして関わってきました。スタジオを経営しているとなかなか外に出るのが難しい、という悩みもありまして数年前にスタジオをたたんで、現在ではベースを中心にプロのマルチプレイヤーとしてイベント等で活動すると同時に、「Mark-1 music centre」でレッスン講師をはじめ様々な形で音楽に携わっています。

香港での音楽音楽シーンについてお聞かせください。甲谷久一のセッション
以前に比べると香港の音楽シーンというか、バンドシーンは確実にレベルアップと拡がりを見せていると思いますね。ただ、日本とは文化の違いというか、「絶対プロになってやる」みたいな若者はいませんね。レベルアップと言いましたが、それを担っているのは欧米からの「留学帰国組」が多いようです。香港で確固たる職業(安定的な収入源)を持ちながら、アマチュアの域を超えるようなレベルであっても「あくまで趣味」として演奏しているような人たちですね。これも香港という地域環境を考えれば健全な形といえるかもしれません。ただ、最近ではそういう形以外でのローカルの底辺の拡がりというのも感じます。

香港における日本人プレイヤーについては?
日本に比べてレベルが低いから、というわけではありませんが、香港のライブハウスシーンは敷居が低く、門戸が広い(笑)。ミュージシャンシップ、アマチュアリズム(要は『マナー』ですね)を忘れず、すこし積極的に外に出れば日本人がライブハウスシーンで活躍する機会は多いと思います。社会の一般常識と同じですが、ライブハウス側との信頼関係を守っていければ、香港はそれぞれのレベルなりに音楽を楽しめる、とてもいい環境が揃っていると思います。

バンドの醍醐味とは? 甲谷さんにとっての音楽とは?
自分が出した音で人が楽しんでくれること。音楽は、あったら楽しいけど、なくてもいいもの。
う~ん、でもあった方が楽しいもの(笑)。
甲谷久一(こうや ひさかず)さん甲谷久一
●Mark-1 music center 代表
●在港歴15年
●影響を受けたバンド、アーティスト
David Bowie、The JAM
Dr.Feelgood、The Rolling Stones
The Who、JAGATARA
Friction などな
●香港でオススメのライブスポット
The Wanch
Peel Fresco
Mark-1 music center
電話:(852)9356-9481
メール : centre@mark-1music.com.hk
ウェブ:http://www.mark-1music.com.hk

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