カフェ特集1・コーヒーのプロにインタビュー

2015/07/27

コーヒー業界のプロフェッショナルにインタビュー
おいしい一杯のコーヒーを届けるために「カップから農園まで」の一貫した事業を手掛けるUCC。そんな同社が、香港で本格的なコーヒーが飲めるカフェをオープンしたのは1985年。まだ香港にコーヒー文化が根づいていない黎明期だった。香港での事業を手掛けるUCC COFFEE SHOP CO.,(HK) LTD.のGeneral Manager、清水省吾さんに、香港の人達のコーヒーに対する意識の変化や、同社の香港での事業について伺った。

サイフォンコーヒーで香港にブラックコーヒー文化を広めるコーヒーチェーン店のパイオニア

ブラックコーヒーを飲む文化がなかった1980年代後半の香港
私達は、香港で外食事業を行い、「UCC COFFEESHOP」などのレストランやカフェを香港島に4店、九龍に2店、新界に3店、合計9店舗運営しています。コーヒー関連製品の卸などは食品商社を通じて行っているのでやっていません。UCCとして香港で事業を始めたのは、銅鑼湾(コーズウェイベイ)のそごうに初めてカフェを出店した1985年のことでした。香港には昔からお茶を飲む文化がありました。しかし、その当時ブラックコーヒーを飲む文化はなかったと聞いています。コーヒーといえば、ローカル店の茶餐廳(チャーチャンテン)で出されるミルクと砂糖をたっぷりいれたコーヒーか、紅茶とコーヒーを混ぜた鴛鴦茶(ユンヨンチャ)だけ。土壌がなかったので、ニーズを開拓するところから始めなければなりませんでした。

サイフォンコーヒーが興味を持ってもらうきっかけに
そごうに出店したカフェで導入したのがサイフォンコーヒーでした。理科の実験のような器具を使って、コーヒーを抽出する器具です。サイフォンコーヒーの導入は、香港で2番目だったそうです。見た目がきれいで、演出効果もあるサイフォンコーヒーは、コーヒーに興味を持ってもらうきっかけになりました。カウンターに座って「どうやって作るの?」と興味津々に眺めている人もいたようです。その後、コーヒーチェーン店のスターバックスコーヒーやパシフィックコーヒーが香港に出店し、ミルクを入れたラテやカプチーノなどが流行るようになりました。UCCは、その先駆けとなりました。

カフェはいつのまにかレストランに
UCCが日本の外食事業で手掛けているのは、軽食をメインとした喫茶店です。しかし、香港の店舗では、軽食だけではなく本格的なレストランメニューも提供しています。魚もさばいて調理していますし、ハンバーグも手でこねて作っています。サラダバーの一番人気のポテトサラダは、ジャガイモをゆでるところから作っているのでホクホクです。冷凍食品をなるべく使わず、健康に配慮したメニューを取り揃えています。しかし、そごうで始めたお店で、当初出していたのは軽食でした。それが、香港のお客様の「食事メニューを増やしてほしい」というご要望にお応えしているうちに、今のメニュー構成が確立されました。香港人と日本人は文化や味覚も違います。流行ると思って始めた商品が上手くいかないこともしばしば。日本で流行っているものを単純に香港に持ち込んでも流行るとは限らないのが難しいところですね。

スタバのカップを持ち、バリスタに憧れる若者も登場
さて、現在の香港では、コーヒー豆やその産地にこだわる方たちも増えてきて、オリジナリティあふれる個人経営のカフェも増えてきました。若者の中には、スタバのマイカップを持っていることをおしゃれとする人や、コーヒーに関する知識・技術を持ち、カフェなどで働く「バリスタ」に憧れる人もいます。コーヒー文化も浸透してきているのではないでしょうか。しかし香港では今でもコーヒーをブラックで飲む人は少数派だと思います。茶餐廳などでコーヒーをオーダーすると、勝手にミルクが入っていますし…(笑)。

コンビニコーヒーのヒットなど、香港市場を占う日本市場
香港のコーヒー市場の動向は、日本の少しあとを追っているという感じです。日本では、コーヒー界のAppleといわれるアメリカのコーヒーショップ「ブルーボトルコーヒー」が上陸し、行列ができるほどの人気となりました。「コンビニコーヒー」がヒットし、ファミレスやファーストフード店など他業種がコーヒー事業に参入しています。日本では昨年、コーヒー豆の輸入量が過去最高となりました。香港もこのようなルートをたどっていくのではないでしょうか?そういった流れの中で、「UCCにしかできない」「UCCだからできる」店舗や商品などを追及して、差別化を図っていきたいと思っています。

コーヒーは健康にもいいことを伝えたい!
おかげさまでUCCは、香港で事業を始めて30周年になりました。これもお客様のおかげです。これからもお客様に喜んでいただけるサービスを提供していきたいですね。そのためには外食産業で重要といわれているQSC(クオリティ、サービス、クレンリネス)を意識して高めていきたいですね。そしてもっと多くの方々にUCCのコーヒーを味わっていただくために、新しい店舗も出店していきたいと思っています。またコーヒーは体に悪いと考えている人がいますが、それは誤解です。カフェインだけなら紅茶のほうが多いのですよ。コーヒーを飲むと、がん発症のリスクを下げることや肥満の防止になることも研究などで証明されています。ミルクや砂糖を入れないブラックコーヒーを、1日2~3杯飲むと効果が高いそうです。ブラックコーヒーが苦手という方は、一日1杯から始めてみてはいかがでしょうか?

7月より全店で、『白桃フェア』を実施中!!(9月末まで)
・香港島/4店舗
UCC COFFEE SHOP(銅鑼湾そごう)店、Cafe Ferie(上環)店、
UCC COFFEE SHOP(コーズウェイベイプラザ一期)店、
GLOBAL WORK CAFÉ by UCC(銅鑼湾WTC)店
・九龍/2店舗
UCC Vienna Cafe(紅磡)店、UCC COFFEE SHOP(Olympian City 2)店
・新界エリア/3店舗
UCC COFFEE SHOP(賓琳MCP)店、UCC COFFEE SHOP(沙田NTP)店、
GLOBAL WORK CAFÉ by UCC(馬鞍山SCP)店

UCC COFFEE SHOP CO.,(HK)LTD. General Manager 清水省吾さん清水省吾さん
UCC COFFEE SHOP CO.,(HK)LTD. General Manager
2014年7月に香港オフィスに着任。昨年8月、年1回香港で行われる、サイフォンでのコーヒー抽出技術を競うサイフォニストの大会で、会社のスタッフが2位に入賞した。アイディアを出したり、練習に付き合うなどして協力した清水さんは「2位は初めての快挙。でも悔しかった。今年こそは優勝させてあげたい」と語る。

 

 

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