新界特集5・新旧混在する元朗(ユンロン)

2015/06/08

元朗 ライトレールが走る、新旧混在の郊外都市
Yuen Long
新界の西北部に位置し、北端は深センと接する元朗(ユンロン)。市街地を貫く大通りの中央を、スマートな路面電車ライトレール(軽鉄)が行き交う。25年ほど前はのどかな田園風景が広がるエリアだった。肥沃な土地と水に恵まれた米の産地で、沿岸部では水産物の養殖も行われていた。しかし近郊の工業化、高速道路・ライトレール・MTR西鉄線の開通に伴って街は発展。とはいえ一本路地に入ると、茶餐廳などが軒を連ね、昔ながらの風情を味わうことができる。

屏山文物径 ピンシャン・ヘリテージ・トレイル
半日で〝香港の原点〞の小さな村を巡る!
元朗(ユンロン)香港にはヘリテイジトレイルがいくつかあるが、代表的なトレイルが元朗に存在する屏山文物径(ピンシャン・ヘリテージ・トレイル)。香港でもっとも古い集落のひとつで、灰沙囲、上璋圍、橋頭圍、坑尾、坑頭、塘坊、新村の三圍六村から成り立っている。旅行者でもMTR東鉄線や西鉄線を利用して市街地から30分ほどで行ける。
12世紀に中国大陸から入植してきた鄧一族の人々が初めて作った集落で、歴史的建造物が数多く残り今でも伝統的な生活を垣間見ることができる元朗西部、天水圍(ティンソイワイ)にある「屏山(ピンシャン)」をPPW編集部Eが辿った順路で紹介しよう。
奶黄馬拉糕出発の前に元朗の大榮華酒樓(Tai Wing Wah Restaurant)で腹ごしらえを。こちらは美味しい飲茶が楽しめるレストランとして地元で人気の店。週末は行列が当たり前で、PPW編集部Eも30分ほど待たされた。注文は、オーダーシート式で、食べたい点心にチェックを入れて店員に渡す。こちらのイチオシはカステラのような黄金色の「奶黄馬拉糕」!ふわっふわでいくつでも食べられるほど。しかも庶民的な値段が嬉しい。お腹も満たされたところで、いざ目的の屏山文物径へレッツゴー。
MTR西鉄線天水圍駅前に立つ石造りの三重の塔が聚星樓(法定古跡)。香港最古の塔だ。六角形の青レンガ作り、三階建て建物の高さは約13メートル。鄧一族が科挙(中国の高級官僚採用試験)の合格を祈願して、風水的に良いこの地に建立したものだ。見学できるのは1階部分のみで、2階と3階は非公開。ここが屏山歩きのスタート地点となる。
聚星樓から集落に入って最初に上璋圍がある。屏山坑頭村の鄧族が作ったもので、200年余りの歴史があるとか。レンガで囲まれた居住区の中には、今も多くの人々が住んでいるが、私有地のため、外観のみの見学になる。その先の車が通れないほど細くなった道を行くと空き地のような空間のなかに小さな廟“楊侯古廟”が出現する。屏山坑頭村に位置し、元朗にある6つの諸侯を奉る廟のひとつだとか。廟は3つの部屋に分かれており、それぞれ侯王・土地・金花娘娘が奉られている。

聚星樓(法定古跡)

天水圍駅前に立つ石造りの三重の塔が聚星樓(法定古跡)

上璋圍

上璋圍

 

楊侯古廟の手前にある古い井戸が「古井」。ネット検索したところ、これも見所のひとつとか(!?)。この井戸は長年、坑頭村と上璋圍の両住人の大切な水源で200年前にはあったとされているが、今は封鎖され、水草が茂る井戸になってる。

楊侯古廟

楊侯古廟

古井

「古井」

古井を後に法定古跡の鄧氏宗祠と愈喬二公祠へと向かう。屏山の鄧一族の祖先を奉っているのが鄧氏宗祠。1273年に建立されたもので、三進両院式(3つの部屋と2つの中庭から成り立つ建物)。建物内部には色彩豊かな彫刻や縁起がよいとされる動物たちが数多く描かれる。鄧氏宗祠の隣に愈喬二公祠がある。16世紀に建立され、古来より集落内の教育の場だったという。
続いて坑尾村に位置する覲廷書室は、1870年に建立。覲延公は1837年に科挙に合格した優秀な人物を祀ってある施設で、科挙を目指す子供たちの私塾とし、科挙制度が廃止された後も、学習施設として使用された。美しい青レンガで作られた建物は、中央に中庭があり、随所に美しい内装と色彩豊かな彫刻が施されている。屋根にも細やかな装飾がびっしりと連なっており、一見の価値ありだ。満月を模したという美しい円形の通路をくぐると、そこが清暑軒(覲廷書室に隣接する)。1874年に建立され、勉学のために地方からやって来た人や招いた講師などの宿泊施設だった。建物内の装飾はとても美しく、壁画や木の彫刻や、漏窓(透かし窓)などの細工が至るところに施されており、屏山文物徑の建造物の中でも、一際目を引く美しさだ。
覲廷書室   円形の通路
覲廷書室と清暑軒と結ぶ満月を模した円形の通路

坑尾村公園に隣接する洪聖宮は、1767年に建され、現在は2級歴史建築物に認定されている。洪聖とは唐代の有名な洪熙のことで、漁師や海に携わる人々から海の神として信仰され奉られている。香港の一般的なお寺の中庭には屋根があるのに対して、この洪聖宮には屋根がない開放的な設計で、通気と採光を考えた独特の様式とのことだが、残念なことに門が閉まっていて中の様子を確認することは出来なかった。残念。
開拓時代の貴重な品々が並ぶ気を取り直して、洪聖宮から歩いて約15分ほど、しかも屏山、元朗を見渡すことができる小高い丘の上に建っている屏山鄧族文物館(2級歴史建築物)へ。1899年に建てられた屏山警察署を改築した見ごたえのある資料館だ。鄧氏がこの地に入り、開拓していった歴史を当時の品々と写真や映像で確認出来る。開拓に使われた工具や嫁入り道具、服などに当時生活や風習が垣間見え、屏山文物径沿いにある史跡についてもさらに深く知ることができる。
数時間で巡ったヘリテイジトレイル。貴重な建造物を巡り、鄧一族がこの地に入植した往時にタイムスリップしたかのような感覚を覚えるこのコースは、是非オススメしたいトレイルのひとつだ。

 

大榮華酒樓大榮華酒樓
(Tai Wing Wah Restaurant)
住所:2-6 On Ning Rd.,Yuen Long,N.T.
TEL:(852)2476-9888
時間:6:45~23:30

聚星樓
時間:9:00~13:00、14:00~17:00
定休日:毎週火曜日、1月1日、旧正月三が日、12月25日、26日

屏山鄧族文物館屏山鄧族文物館
住所:Ping Shan, Yuen Long,N.T.
電話:(852)2721-2326
ウェブ:http://www.amo.gov.hk/en/trails_pingshan.php(英語)

 

ハローキティに囲まれて農業体験 大自然とふれあいに出かけよう
Hello Kitty Go Green Organic Farm
Hello Kitty Go Green Organic Farm
ハローキティが持つ農園をイメージして作られた「ハローキティファーム」では、農業を通して自然の楽しさを体験することができる。園内には至る所に農作業着に身を包んだハローキティのモニュメントがあり、その可愛さにファンのみならずとも笑みがこぼれてしまうに違いない。「ファンタスティック・フレッシュカフェ」や「ハローキティ・スーベニアショップ」など園内施設も充実しており、子ども達は専用の「キッズ・プレイグランド」で元気に遊びまわることもできる。農場の中には「オーガニック野菜植え付けレッスン」など農作業のノウハウを教えてくれるワークショップもあるため、不慣れな方でも安心して取り組めそう。また、「ハンドメイド・ワークショップ」やBBQ施設も充実しているため、自然を満喫したい方はぜひ足を運んでみては。
ファンタスティック・フレッシュカフェ住所:Kam Tin, Yuen Long,N.T.
電話:(852)5579-2178
曜日:毎週月、木、金、土、日、祝日
ウェブ:http://www.gogreenlife.com.hk
フェイスブック:http://www.facebook.com/gogreenfarming?ref=hl
入場料:HKD20/1人(平日)、HKD30/1人(土日&祝日)


屏山老地方

香港スタイル究極のコラボ
ドリアンミートパイライス
ドリアンミートパイライス存在感溢れる香りが特徴のフルーツ「ドリアン」。この果実をなんとご飯の上にトッピングするというアイディアを生み出したのが元朗のレストラン「屏山老地方」だ。
一見不釣合いの様に見えなくもないコンビだが、香港の代表料理でもあるミートパイがドリアンの強い香りと味わいを包み込み、滲み出るようなジューシーさを引き出している。新メニューとして店頭に並ぶや否やたちまち人気を集め、いまや心待ちにしているファンも多くいるほど。
残念ながら毎日注文できるわけではないので、店頭にない場合は他の人気メニューを試してみよう。「ピリ辛チーズのベーコンミートライス」や「マンゴーミートパイライス」もオススメだ。
屏山老地方
住所:Shop 42, G/F.,Hang Tau Tsuen,Ping Shan,Yuen Long
時間:8:30~22:00
平均価格:HKD約50

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