ラーメン特集6・中国の5大麺

2015/05/18

中華麺の世界

中国5大麺
日本のラーメンとは似て非なるもの!?

日本のラーメンと中国の拉面――この二つを並べて説明するのはなかなか難しい。むしろ、この二つは別物だと考えたほうがしっくりくる。一般に中国語で「拉面」と言う場合、手打ち職人が手で延ばし打った麺をイメージさせる。つまり厳密には手打ち麺のことだ。製麺機で作られたラーメンはこのイメージとは異なることになる。事実、中国で看板に拉面と名の付く店では手打ちが基本。ここでは、そんな拉面とラーメンの概略に触れながら、中国5大麺を紹介しよう。

中国の拉面:拉面とは、包丁で切った「切面」に対した呼び方で、手で延ばした麺を指す。一説では中国西北部で伝統的に食されるラグマンという手延べ麺に由来するとされる。現在の中国で、拉面と言えば大抵は蘭州拉面のことを指す。19世紀末から20世紀初頭に考案されたとされ、イスラム教の戒律に則った「一清二白三紅四緑五黄」という完成されたレシピがあるので、日本のような多様性はない。中華麺を含む小麦粉を主原料とする麺類を総称する場合には「面条」という語が用いられる。
日本のラーメン:1665年、水戸黄門が中国の儒学者・朱舜水の作った中華麺を食べた。1884年には、函館の養和軒の広告に「南京そば」が登場している。しかし、これらが実際にどのようなものであったのかを知る手がかりはない。確かなのは、明治中期から横浜に屋台の「南京そば」が登場し、1910年に浅草に店舗を構えた初のラーメン専門店が登場した。戦後、中国からの引揚者による屋台が全国に出現、1958年、「チキンラーメン」の発売でラーメンという名称が定着。中華麺とは言っても中国の拉面とは別物の国民食へと発展、中国では「日式拉面」と表記し区別されている。

炸醤麺(ジャージャー麺)【炸醤麺(ジャージャー麺)】
これぞ伝統的なファーストフード!?濃厚な肉味噌とサッパリ野菜が絶妙!
炸醤麺は、中国北部(主に北京市近辺など)の家庭料理である麺料理。日本や朝鮮半島でも「ジャージャー麺」といった名称で知られている。豚の挽き肉と細かく切ったタケノコ、シイタケなどを豆味噌で炒めて作った「炸醤」と呼ばれる肉味噌がこの麺料理の決め手!たっぷりと麺に絡ませて食べる。この「炸醤」さえあれば、あとは茹でた麺と絡めるだけでできる手軽さから、共働きの家庭の多い北京では、「炸醤麺こそ北京の家庭料理の代表である!」という人も多い。好みで千切りのキュウリや細切りのネギなどをのせてサッパリと食べてもグッド!

【熱乾麺】
熱乾麺「中国国家級無形文化遺産」へも申請!!食文化の交差点・武漢市の伝統麺料理
湖北省武漢市を代表する麺料理は、熱乾麺。古くから長江の重要な埠頭であった武漢では、中国各地の独特の飲食文化が融合した。そのなかでも「熱乾麺」は最も有名で、地元市民の朝食として一番人気。「中国国家級無形文化遺産」への申請もしている武漢伝統のこの麺料理は、細めの麺を茹でてから油にからませて干し、再び食べる前に茹でるという独特の調理法を持つ。その結果、充分な弾力感と歯ごたえのある食感が生まれ、絡みあったタレと具材のハーモニーが病みつきになる。食べる際にはゴマ油、練りゴマ、黒酢、ラー油、干しエビや五香醤菜(五香粉というミックススパイスや醤油などで付けた漬物)を絡める。

【蘭州拉麺】
一番有名な拉麺!!
蘭州拉麺は、甘粛省蘭州市で発祥した麺。現在では中国全土でこの拉麺を出す店を見ることができる。牛肉からとったスープと、具に牛肉が添えられることから「牛肉麺」とも呼ばれているが、この麺料理の特徴は、職人が見事な手さばきで麺生地を細い麺に伸ばして作ることだ。両手を器用に使ってどんどん細く伸ばしていくので、麺に切れ目はなく一本の長い麺となる。また、豚肉を一切使わない料理なので、中国で「清真料理」と呼ばれるイスラム教徒の料理に分類され、回族の人たちが店を開いていることが多い。それぞれの店で味が微妙に異なり、日々熾烈な競争が行われているこの蘭州拉麺。地元の人たちは基本的に「朝」に食べる。
イスラム教徒から始まった清真料理  蘭州拉麺

【四川担々麺】
「担ぎ売り」がその名の由来!?日本人も大好きな四川の味
日本人にも馴染みのある担々麺は、四川省成都市発祥の麺料理。高温多湿の四川省主要部は、発汗を促す必要があり、料理を辛く味付けするようになった。この麺料理は、“担いで”売られていたため、「坦」ではなく、「担」と表記することが正しい。そのため発祥当時の担々麺にはスープは殆ど無く、いわゆる「汁なし担々麺」のようなものであったという。これは、「スープが無いほうが、こぼれる心配も無く持ち運びが楽であるため」であると言われている。一般的には、花椒と辣油の風味を効かせた醤油系の少なめのタレに茹でた麺を入れ、豚肉のそぼろとネギ、ザーサイ、刻んだピーナッツなどをのせてて、よくかき混ぜてから食べる。

「担ぎ売り」がその名の由来!?  四川担々麺

【竹升麺】
グルメな広州っ子も納得の伝統麺料理!
生地をこねる際に竹竿を用いたことよりその名がついた広州発祥の麺。細麺を好む広州人のためにこの麺はコシが強いのが特徴。また麺生地のなかには鴨の卵が使用される。麺生地をまとめ上げたあと、モウソウチク(竹)の上に片足をかけて、もう片方の足でジャンプしながら体重をかけ、均等に圧力を加えていく。(この作業は1.5~2時間程度行われる。)この時に、生地にかける力加減が美味しさの鍵となる。
こうして圧をかけて薄くした生地は「面皮便」と呼ばれ、麺や雲呑に加工される。広東、広西一帯に住む嶺南人は、この麺を好んで食べる。豚骨、ヒラメ、干しエビ等を3時間以上煮込んでつくられるスープとの相性は抜群だ。

生地をこねる際に竹竿を用いる   竹升麺

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