香港仔(アバディーン)特集4・ジャンボキングダムと穴場店

2014/10/27

水上レストラン「ジャンボ・キングダム」人気スポットのルーツは水上文化にあり

水上レストラン「ジャンボ・キングダム」

アバディーン(香港仔)といえば、海鮮料理を食べに水上レストラン「ジャンボ・キングダム(珍寶王国)」に行ったことがあるという人が多いかもしれない。香港ならではの雰囲気とグルメが楽しめる観光名所として知られており、大勢の観光客で賑う。深湾に浮かぶその姿は海の上に現れた竜宮城のよう。夜になりライトアップされた風景も一見の価値あり。送迎船に乗って、きらびやかな水上レストランに向かうときはワクワクと胸が高鳴る。

この大きな水上レストランは「ジャンボ(珍寶海鮮舫)」と「タイハク(太白海鮮舫)」の2艘の船からなる。香港独特の水上生活者の文化をルーツに持つ人気スポットの歴史をさかのぼってみよう。

名物の蟹料理もココから誕生
1990年以前、香港の港町には、漁業を生業とし船の上や水辺で暮らす「水上生活者」が多くいた。こうした人々は台風のときなどに被害を受けにくい、入り江に船を浮かべて、あるいは、防波堤などに接する家を建てて生活していた。そうしたエリアは「避風塘(ベイフォントン)」と呼ばれ、独自の水上文化を築いていた。その食生活から中華レストランの名物となった一品「避風塘炒蟹(ベイフォントンチャウハイ)」も生まれた。

アバディーンも避風塘のひとつで、45年ほど前は湾内にたくさんの船が立ち並び、約15万人の水上生活者が暮らしていたといわれる。現在、水上生活者は政府の政策によって高層マンションに移り住み、その姿はほとんど見られなくなってしまった。各地の避風塘も同様で、それに伴って水上文化も急速に消失していった。しかし「避風塘炒蟹」で有名となった名店は、陸で開業をするようになった。

タイハクの歴史は65年
「タイハク」が建造されたのは1950年。当時避風塘では、みんなが集い、踊ったり歌ったりできる船上レストラン「歌堂躉(ゴートンダン)」がブームとなっていた。タイハクも歌堂躉のひとつとして造られたのだった。

1920年代に水上生活者のレストランとして登場した歌堂躉は、やがて客をもてなす場としても発展し、今の水上レストラン(海鮮舫)になった。1950年代の全盛期、アバディーンには10艘の水上レストランが停泊していた。その中でもタイハクは最大の大きさを誇った。開業時のタイハクは、陸から乗船するためだけのシンプルな木造船だったが、何度かのリニューアルを経て、1960年には800人を収容できる大型船となった。その頃、客に象牙の箸を贈るプロモーションが話題となり多くの客が訪れた。

1960年代末、タイハクのオーナーは、より大きな水上レストランとして、ジャンボの建設を企画し資金を集めた。しかし、1971年1月、その開業の1ヵ月前に不幸な事件が起きた。34名が死亡、42名が重軽傷を負う火事が発生し船が全焼。オーナーは新たな投資ができず、ジャンボの経営権を手放さざるを得なくなった。

4年の歳月をかけてジャンボが完成
新しいオーナーを得たジャンボは、4年の歳月とHKD3,000万をかけて、1976年10月に竣工した。中国宮廷を模した設計は、スタンレー・ホー博士の発案によるもの。中国伝統の手工芸品と壁画のためにHKD600万をかけ、皇帝の椅子の製作に2年を費やしたという。同年、競合となるもう1艘の水上レストラン「海角皇宮」が落成して、アバディーンでは3艘が競う合うことになった。1,500人を受容できる海角皇宮は、ジャンボの強力なライバルとなった。1980年、成功を収めたジャンボは海角皇宮とタイハクを買収した。また、ジャンボは周辺地域の環境や事業活動への影響に配慮し、1996年にはHKD1,800万以上を投資し、東南アジア最大の汚水処理プラントを設置した。海上という場所のため、安全性にも気を配り、船の建設には不燃性の耐熱用材を採用した。なお、1997年の金融危機のあとに、海角皇宮は外地に売却された。

リニューアルを経て海上のテーマパークに
2003年下旬、ジャンボとタイハクはHKD数千万を使って改装しイメージを刷新、両方をあわせて「ジャンボ・キングダム」と呼ばれるようになった。この30年間で定期的にグレードアップし、海上のテーマパークとして変身を遂げている。

この水上レストランの長さは76メートル、幅は22メートル、高さが28メートルで、2,300人を収容できる。それゆえ「世界最大の海上の食の府(機関)」と称されている。特に新鮮な食材を使い、有名シェフが作りだすシーフード料理が有名。100を超えるシーフード料理のほか、伝統的な広東料理や点心も楽しめる。船上の貯蔵タンクには60種類を越えるシーフードを確保しているという。船の裏手には生簀もある。船内では4つのフロアに、6つのレストランが設置されている。最上部のオープンスペースのレストラン「トップデッキ」は、渡る風と湾内を行き交う船を眺めながら、食事を楽しめる空間となっている。赤いジュータンに金の装飾品など、中国伝統の宮廷の内装を施した船内は優美でゴージャス。ワインショップや土産店もあり、清朝時代の民族衣装を着て写真を撮ることもできる(有料)。

来訪者は3,000万人を突破
ジャンボ・キングダムに立ち寄ることは観光ツアーの目玉のひとつにもなっている。ガイドブックを見て訪れる人も多く、これまでの来訪者は3,000万人を超えている。エリザベス2世女王陛下やトム・クルーズ、チョウ・ユンファ、コン・リーなど、国際的な要人やスターなども多く訪れている。香港の周星馳監督の映画「食神」(1996年)など、多くの映画の舞台にもなっている。そのほかにも「慕情」(1955年)、「燃えよドラゴン」(1973年)、「ゴジラvsデストロイア」(1995年)、「インファイナル・アフェア(無間序曲)」(2003年)などに登場し、その名を世界に広めてきた。

さて、昨今のジャンボ・キングダムの評価は行った人によっても分かれるようだ。「料理も美味しく、美しい夜景も堪能できた」という高評価がある一方、「高い割に料理はいまひとつ」という声も。とはいえ、グルメ、観光、文化の3つの要素を備えた魅力的なスポットであることは間違いない。一度は訪れて、自分で評価を下してみてはどうだろうか。

グルメ、観光、文化の3つの要素を備えた魅力的なスポット

 

ジャンボキングダム(珍寶王国)
住所:Shum Wan Pier Drive, Wong Chuk Hang, Aberdeen
電話:(852)2553-9111
時間:月~土11:00~23:30 /日・祝日9:00-23:30
ウェブ:http://www.jumbo.com.hk
アクセス:MTRアドミラリティより70・75番バスで約20分。
黄竹坑の深湾埠頭に無料の送迎船に乗って3分。
無料の送迎船の発着所は深湾埠頭と香港仔海浜公園にある。

アバディーンの日系勢力にも注目!「The穴場」なお店たち

コスパ良し!クオリティー良し!サービス良し!
日本の米と新鮮な日本食材が自慢
鮨政

鮨政のにぎり寿司   鮨政のちらし寿司

香港の街のあちこちに寿司店があふれる中、昨年、香港島の南側のアバディーン(香港仔)に日本の米と日本から直輸入した新鮮な食材を使用したお料理を比較的にカジュアルな値段で提供する「鮨政」がオープン。繁華街から離れているにも関わらず、そのコストパフォーマンスとクオリティーの高さで話題を集めており、近隣の住民だけではなく、遠方からその味を求めて訪れるお客さんも多いのだという。そんな同店は香港でさまざまな寿司店で経験を積んだ林田さんが包丁を握る。流暢な日本語を話す香港人スタッフもいて、繁華街の寿司店にも劣らない味とサービスを提供している。
約45席の店内は、白を貴重にした清潔感と温かみがあり、落ち着いてゆっくり食事が出来る空間。寿司カウンターの周りにはボックス席を多く用意しているので、家族やお子様連れでも安心。寿司は握りが単品HKD18からで盛り合わせはHKD230~HKD330。ランチはお寿司に茶碗蒸しやうどんが付いてHKD68~。
アバディーン(香港仔)のアウトレットに寄ったついでに立ち寄ってみてはいかが。

鮨政
住所:G/F., 142 Aberdeen Main Rd., Aberdeen
時間:ランチ12:00~15:00 ディナー18:00~23:00
電話:(852)2501-0618

香港で個性派アートの魅力を発信
アバディーンのもう一つの顔を堪能しよう
AISHONANZUKA

AISHONANZUKA  香港の個性派アート

日本人オーナーが経営している、個性的なアートギャラリー「AISHONANZUKA」。アートギャラリーが集まるエリアをリサーチして物件を探してみたが、セントラル(中環)では手頃な物件が見つからず結局、アバディーン(香港仔)のワーンチョクハン(黄竹坑)で始動。

80年代以降、製造業の工場が中国大陸にシフトしていったため香港には今でも数多くの廃工場が残されており、その多くが、スタジオやギャラリー、レストランへと姿を変えている。「AISHONANZUKA」を含め数多くのアートギャラリーが集まるここアバディーンもそんなエリアの1つだ。同ギャラリーでは、年に一度他の同業と共にアートナイトを開催している。「もちろん、セントラルでギャラリーをオープンしたいですね。もっと認知度を高めて、サポートしてくれるコレクターとも出会いたいですし。ギャラリーにも気軽にいらしていただければと思っています。」と、オーナーの三浦さんは今後の展望を語る。

AISHONANZUKA

 

AISHONANZUKA
住所:13A, REGENCY CENTER phase1, 39, Wong Chuk Hang Rd., Aberdeen
ウェブ:http://www.aishonanzuka.com
時間:火~土 12:00~19:00(日月祝 定休)

 

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