香港仔(アバディーン)特集1・アバディーンとは

2014/10/27

漁民の街アバディーン(香港仔)

漁民の街。香港仔と目と鼻の先、鴨脷洲を行ったり来たり

香港の「4大古い漁民の町」のひとつ、アバディーン(香港仔)。
世界で最も人口密度が高い島と言われているアプレイチャウ(鴨脷洲)。
避風塘の狭い水道を隔て、一本の橋で繋がったこのふたつの土地は密接に関係しながらも別々の顔を持つ。
今回は繁華街を一歩踏み出し、香港島の南側へ。
「香港の起源」を訪れてみた。

香港の名前の由来となった漁民町

元々「石排湾」と呼ばれていたアバディーンが、なぜ後に「香港仔」という中国語名、「Aberdeen」という英語名を付けられたのだろう。かつて外国船の給水地だったという歴史を持つこの地に、19世紀頃イギリス人が初めて上陸した時、イギリス人を道案内をした「陳群」という1人の現地人の女性が「ここはどこ?」と訪ねられ、その客家語の発音で「香港(Heong Kong)」と答えた。その後に、イギリス人たちは略して「Hong Kong」で現在の香港島を指すことになったという。、いくつかの古い文献からヒントも得られるが、香港南区ではアプレイチャウにあった「香港村」と、現在の黄竹坑あたりにあったもう1つの村「香港圍」にも、「香港」の文字が入っている。

また、中国語表記とはまったく関係ない「アバディーン」という英語名は、1845年、当時のイギリス外務大臣アバディーン伯ジョージ・ハミルトン=ゴードンを記念して名づけられたものだ。

過去の面貌があちこちに残る

現在の香港人にアバディーンに対する印象を聞けば、まず返って来る応えは「行きにくい」。実は、セントラル(中環)やコーズウェイベイ(銅鑼湾)などの香港島北側の各エリアや、九龍側からも路線バスやミニバスが頻繁に走っている。しかし、便利なMTRが走ってないためか、多くの香港人がアバディーンに行く時は半分「プチトリップ気分」だ。

非常にローカルな場所で、長洲や南丫島のように観光スポットとしての価値がそれほど高いわけでもなく、ここに暮らす住民もゆったりとているように見える。香港内のどこでも見かけるお馴染みのチェーン店がある、いたって平凡な街だ。

だが、他のエリアで決して見られないのが「漁師町」ならではの風景。終日活気あふれる魚市場を中心に、港には漁船が碇を下ろし、かつては水上生活者の住む舟に埋め尽くされていた避風塘では、漁船の間を縫うようサンパンが行き交う。古い唐楼も多く残る町並みの中には、釣り具や漁具、船舶エンジンの部品を扱う店なども見受けられる。その独特でどこかレトロ的な風景と名前で、香港人の心の中にも強い印象を残す存在となっている。今年年始に上映された香港映画「香港仔」は、タイトルそのままに、たくさんのロケ地にアバディーンが選ばれており、香港庶民の群像と香港仔の景色を同時に楽しめる1本だ。

アバディーン地図

最初の香港がここ、アプレイチャウ

400年前の古本で「香港」と示されていた所は、アプレイチャウだけだった。前述通り、香港という地名が現在の香港島全体になってしまい、このたった1.3平方キロという小さなアイランドは名前を変えざるを得なくなった。島の細長い形はカモの舌にも見えるため、カモの舌を意味する「鴨脷洲」に変更されていた。

決して大きいとは言えない島だが、1平方キロ当たりの人口が約6万6千人という人口密度は世界3位!島に限れば第1位だ。「鴨脷洲邨」、「利東邨」のような庶民的な公共団地や、「海怡半島」(サウス・ホライズン)、さらに新しくは「海陏勝」「南湾(ラルヴォット)」、「南区・左岸(マリナ・サウス)」のような高級マンションもこの小さな島に集まっていることから納得できる。都市の中心部から少し離れてはいても、香港島とは橋(鴨脷洲大橋)で結ばれており、アバディーントンネルを通ればバスでもコーズウェイベイまで約15分で到着できるほど。一見閑静な住宅地が高人口密度な秘密は、実は意外に便利であるところが大きいのかもしれない。

アプレイチャウ

行ってみたい所がいっぱい

香港在住日本人の間で密かに人気のアウトレット、家具専門店が集まるホライズン・プラザはもちろんだが、香港ならではの海鮮をガッツリ食べたい方は、「鴨脷洲市政大楼」へぜひ足を伸ばしてみては。1階に新鮮な海鮮を売っている街市、2階にローカル的な海鮮レストランが入っている「熟食中心」。これぞ住民たちの日常!と感じられるだろう。他にもぶらりと寄ってみてほしい場所がいくつかある。かつて戦時に香港を護ってきたという歴史を持ち、自然を味わえる小高い山「玉桂山」。300年前に建てられて以来、漁民から厚い信仰を寄せられてきた洪聖古廟、水月宮など、「小さな発見」を見つけにぶらり小旅行に出かけてみよう!

 

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