中秋節特集1・中秋節とは

2014/08/17

中秋節は収穫祭と風流が融合丸い月に家族円満を願う

香港では月餅を食べながらお月見

中秋節を祝う

陰暦8月15日は、中国では四大節句のひとつに数えられる「中秋節」。新暦では、今年は9月8日(月)がこの日にあたる。澄んだ秋の空にのぼる、この日の満月は、1年の中で一番丸くて大きいといわれている。日本では「十五夜の月」「中秋の名月」として親しまれている。

中国の中秋節は、秋の収穫を月の神様に感謝するお祭りなどから発展したもので、様々なイベントが行われる。街に飾られた色とりどりのランタンも魅力のひとつ。丸い月は、豊作や家族円満のシンボルともされており、その形にちなんだ月餅を家族で食べたり、友人に贈ったりする風習がある。中秋節の由来や、どのような行事が行われているのかをみてみよう。

中国では中秋節の当日、香港では翌日が休日。香港では、中秋節の日は、半日で、または通常より2、3時間早く、仕事を切り上げる会社も多い。そして、家族で揃って食事をして中秋節をお祝いする。このとき食べる食事は、家族円満への願いをこめて「団円飯(テュンユンファン)」と呼ばれている。

食後は散歩がてら公園や海辺などにお月見へ。ランタン(提灯)に火を灯し、月餅を食べながら、お月見を楽しむ。ランタンは伝統的なタイプのほか、アニメのキャラクターをモチーフにしたタイプのもあり、子供に人気になっている。昔は、食べきった月餅のメタルの缶に、ロウソクの蝋(ロウ)を入れて燃やして遊ぶ「煲蝋(ボーラッ)」に興じる子どもたちの姿が見られたが、現在は危険なため禁止されている。

 

ルーツは3000年以上の中国にあり

中秋節に、お月見を楽しむ習慣は中国で始まった。そのルーツをたどると、3000年以上前の中国古代王朝の周の時代までさかのぼるという。古人は太陽と月をあがめ、春は豊作を願って太陽を祭り、秋は収穫を感謝して月を祭った。唐の時代には、中秋節に、月に供え物をして、歌や音楽とともに月見を楽しむ宴が行われたといわれている。

中秋節に由来する伝説としては、「嫦娥奔月(ジョウガホンゲ)(嫦娥が月に逃げた)」が知られている。

――その昔、空には10個の太陽があった。地上はジリジリと熱く農作物も育たなくなった。そこで、弓の名手・后羿(ゴゲイ)が9つの太陽を射落とし、最後に残った太陽に「朝昇り、夕方は沈む」という約束をさせた。これにより人々は安心して暮らせるようになった。

しかし、后羿は、太陽を射落とした罪で、妻の嫦娥とともに神籍から外されてしまった。人間界での長寿を望んだ后羿は、崑崙山に住む西王母(女神)から不死の薬をもらう。彼は夫婦でその薬を飲もうと考えていたが、嫦娥は夫が一人でその薬を飲むつもりだと疑い、その薬を奪い月に逃げてしまった。その日が8月15日だった。このことを知った后羿は、嫦娥を思って悲嘆にくれて毎年8月15日になると、彼女が好きな果物等を並べて月見をするようになった。これが中秋節に月を祭る習慣として広がった。嫦娥は月の神として祭られるようになった。――

この伝説は日本の物語「かぐや姫」のベースになっているそうだ。

 

供え物の餅が丸くなって月餅に

中秋節に欠かせない月餅だが、「月餅」という言葉は800年以上前の文献にも登場する。もともと月餅は月の神に捧げる供え物の餅だった。その後、丸い月にちなんで丸い形に。家族円満を願い、家族で食べたり、親戚や友人にも贈られるようになったと伝えられている。

日本のお月見は、奈良・平安時代に中国から伝わってきて始まったといわれている。月をあがめ、五穀豊穣を感謝する風習と結びつき、丸い月にちなみ、収穫した米で作った団子と稲穂に似たススキを供えるようになったそうだ。

今回の特集では、中秋節をより楽しむために、お月見スポット、月餅やお菓子、ランタンに関する情報などをお届けしよう。

今年の名月、どこで観る?

100万ドルの夜景と名月をセットで!

100万ドルの夜景

ヴィクトリア・ピーク

香港

100万ドルの夜景が見られる「ヴィクトリア・ピーク」。香港随一の観光スポットとしても知られる。ビクトリア・ハーバーをはさむように、香港島と九龍島のライトアップされた高層ビル郡が連なる風景は、色とりどりの宝石を散らしたよう。そのきらびやかな風景に名月をプラス。また、香港島の高台にあるため、美しい月を、さらに大きく近い場所で楽しむことができる。商業施設「ピークタワー」周辺をぐるりと一周する3.5キロのお手軽ハイキングコース「ピーク・サークル・ウォーク」では、香港島が夕日に染まる様子を見ることができる。早めに行って、夕日と名月、両方を味わってみては?
●アクセス:ピークトラムで山頂駅下車。セントラル(中環)駅・ホンコン(香港)駅からミニバス1、セントラルかららバス15、MTRティンハウ(天后)駅からバス15Bで。

香港人・広東人は中秋節をどう過ごす?

広州の女子大生に聞いた中秋節の過ごし方

許さん 20代

 

中国人にとって、中秋節は春節と並ぶほど重要な祝日です。中国人は、昔から中秋節を大切にしていて、仕事がどんなに忙しくても、家族がどんなに仲が悪くても、中秋節には必ず「家族円満」を第一に考えます。すべての中国人が同じだとは限りませんが、広州人である私の中秋節の過ごし方を少し紹介させていただきます。

中秋節になると、私たち家族三人月餅と果物を持って、おじいさんとおばあさん(父の親を指す)の家に行きます。そこで、叔父さんや叔母さん、そして従兄弟たちがといろいろな話をします。話題はみんなバラバラですが、ワイワイ話し合うと、和やかな雰囲気が漂う気がしますね。こういう機会はあまりないので…。中秋節の料理も一つの楽しみです。この日、出される料理はいつもと少し違い、手間を掛けたいつもより豪華な料理を準備します。定番の鶏肉や魚なども、いずれもそれぞれの家庭の味がします。食事の後は、月餅や果物を食べながら、月見をします。中秋節の一番の醍醐味と言えるでしょう。旧暦8月15日の夜、月は特別に丸く、明るく輝いていると言われています。小さい子供は提灯を提げて、公園などを散歩しているんですよ。キラキラした光が町中を灯し、とてもきれいです。

https://www.youtube.com/watch?v=QHpQ24NxWgo&index=1&list=UU9qjE2KT48EQ8x9c1DCG18Q公園で月見。QRコード

 

香港の主婦に聞いた中秋節の過ごし方

セシリアさん 50代

 

セシリアさんと家族私の実家は決して裕福ではありません。子供のころ、普段のエンターテインメントも少ないですが、自分の手でおもちゃを作ることが多かったですよ。中秋なら、皆も柚子の皮で灯篭を作るようにしていました。もう1つの種類は月餅のスチール缶で作ります。ちょっと大きめな缶を鉄の線で棒と繋がって、缶の真ん中に蝋燭を立てます。柚子の灯篭は、現在まだ学校の美術クラスで作られていますが、月餅缶なんかボロボロする灯篭は、今の子は多分想像できませんね。

中秋は中国人に対してとても大事な日ですから、その日の食卓も特別に豪華になります。母親はチキン、シイタケなど普段使わない高い食材で晩ご飯を用意します。その後はもちろん果物と月餅を食べながら月見をします。私の故郷は潮州にあります。潮州の月餅は普通の月餅と違います。サクサクしたパイの皮の下には芋やインゲン豆の餡です。うちでよく食べられたのはインゲン豆の餡ですね~サイズもお碗のように大きくて、みんなで切ったり手で少しずつ取ったり食べます。

今の時代は私の子供の時代とは比べるものにはなれませんが、20年前娘がまだ子供のときも大分変わりましたよ。私が住んでいる団地は、昔みんなもうちから机を公園まで持っていって、近所さんと一緒に月見をしました。灯篭を遊んだり月餅を食べたりする子供で賑わう風景は、この団地で消えているのも少子化が原因かな。あとは、若者はバーベキューが好きなのは今も一緒ですね。

 

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