ホンハム(紅磡)特集2・ホンハムの歴史

2014/08/06

埋め立て地とドック跡地に誕生スタイリッシュな住宅街と下町らしい活気が混在する町

かつてホンハムは半島と海だった
ホンハム(紅磡)は、九龍島の東南部に位置する。南側にはビクトリアハーバー、東側にはカオルーンベイ(九龍湾)が広がる。ビクトリアハーバーを隔てた向こう側に、香港島のノースポイント(北角)とフォートレスヒル(炮台山)を望む。2つの海と、ホンハム駅の西側を通るホンチョンロード、チャッタムロード北通り、ファッコンストリートで囲まれた界隈がホンハムと呼ばれるエリアとなっている。
今、ホンハムと呼ばれているエリアは、1880年代、「大環」と呼ばれる岬のような小さな半島と、ホンハム湾があるところだった。1884年に、香港政府がホンハム湾の埋め立てを開始。その後、造船所(ドック)が設けられ、「ホンハム(紅磡)」と地区名が改められた。また、初期のホンハムでは、造船業のほか、セメント業も盛んだった。やがて、政府の埋め立てにより、ホンハム湾は消失し、現在のホンハムエリアが誕生した。

地名の由来には諸説あり
ホンハム(紅磡)の地名の由来については諸説ある。1909年、埋め立て工事中に、建設作業員が杭を打ち込んだとき、井戸から赤い水が湧き出した。このと、
風水師は「龍脈」を傷つけたためで、龍の血が流れているのだと咎めたという。この赤い井戸水が、ホンハムの由来になっているといわれているが信憑性は低い
といわれている。400年以上前の地域の史実を記録した本に、このエリアが「赤磡村」と呼ばれていたと記録されているためだ。別な説によると、香港島からこのエリアを望むと、海辺には赤い岩が目立ったため、この湾を「ホンハム(紅磡)」と呼んだといわれている。

ドックや発電所跡地が高級マンションに
埋立地やドック跡地、セメント工場に電力を供給していた発電所跡地は、大規模開発により、ショッピング街や高級マンションに生まれ変わった。

現在、ホンハムエリアの中心となっているワンポア・ガーデン(黃埔花園)は、ドック跡地に建つ。スーパーやレストラン、教育施設などを備えた住宅地として、1985年から1991年に整備された。88棟の居住地区には約4万人が住み、香港の大型開発のひとつに数えられている。また、そのシンボルともなっているのが船の形をしたワンポア号(黃埔号)。ドックの跡地だったことを記念して建てられた施設で、ショッピングとグルメの拠点となっている。
発電所の跡地には、大型高級マンション「ラグナ・ヴェルデ(海逸豪園)」が建設された。工事は5期にわたって行われ、1998年から2000年始めにかけて順次竣工。ヨーロッパ建築様式を取り入れ、公園やプールを備えたマンションは、日本人にも人気が高い。
ホンハムロードを渡ると風景は一変
ワンポア・ガーデンのあるエリアから、ホンハムロードを渡って徳民街へ。その周辺の風景は一変する。色鮮やかなフルーツが並ぶ果物店、鳥やぶつ切りにした豚の胴体をぶら下げたレストラン、ミニ寺院などがありローカル食満載。周辺の道はまるで迷路のよう。海沿いには散策道が設けられており、子どもを遊ばせたり、散歩やジョギングをする人たちで賑わう。

ホンハム(紅磡)周辺MAP

 

2018年にMTRの新路線が開通予定

現在、新界シャーティン(沙田)と香港島を結ぶ香港MTRの路線「沙田至中環線」の建設が進められている。第一期は、ホンハムとタイワイ(大囲)を結ぶ路線、第二期は、ホンハムとアドミラルティ(金鐘)を結ぶ路線で、第一期路線はは2018年、第二期路線は2020年に開通を予定している。このMTRの開通によって、ホンハムはさらなる発展が期待されている。

オーガニック店や海鮮レストランも!

紅磡街市

 

紅磡街市  街市(ガイシ)

庶民の台所、街市(ガイシ)。地上階は新鮮な魚や野菜、1階は肉を中心に乾物や洋服、日用品まで勢揃い。野菜売り場には有機野菜を売る店もあり、地元産のオーガニック食材のほか沖縄のゴーヤーやオランダのトマトなども並ぶ。目印は農家のおじさんの絵が書かれた「好農夫」マーク。スーパーの有機野菜よりも比較的安く手に入るので嬉しいかぎり。魚屋では内臓処理などもしてくれるが、3枚におろす文化がないので頼むとぶつ切りにされたなんて話も…。さらに2階には熟食と
呼ばれる広いフードコートが。新鮮な食材を使った海鮮料理店などが両端にずらっと並んでおり、活気あるなかで新鮮な料理を安く味わうことができる。夜中まで営業しているので、アルコール好きの方にもおすすめ。

住所:Hung Hom Municipal Services Bldg., 11 Ma Tau Wai Rd., Hung Hom

時間:6:00~20:00(市場)/6:00~26:00(フードコート)

お金儲けの神様!

紅磡観音廟

紅磡観音廟の中 紅磡観音廟

1873年に建設され、今では香港一級建築物に指定されている歴史のあるお寺「觀音廟」。旧暦1月26日の観音開庫の日(観音様が庶民にお金を貸してくれる日)には、前日から並ぶ人も含め、数千人規模の列ができる。皆のお目当てはくじ引き。引いた紙に「六億」など金額が書かれており、そのお金があなたの手元に入りますよということらしい。しかしなかにはありがたい言葉だけが書かれている紙もあり、それはいわゆるハズレなのだそう。借りたものは返すということで、翌年の観音開庫までにお礼参りに行き、いくら返すかを紙に書いて納めなければいけない。普段からも参拝客が跡を絶たず、一攫千金、商売繁盛を願う人のために様々なお守りや開運グッズが売られている。

住所:Station Lane, Hung Hom
時間:8:00~17:45

紙紮ってなあに?それは故人への贈り物

竹ひごで作られる  故人への贈り物、紙紮

ホンハム(紅磡)駅のコンコースから、ギリィースアベニュー南通りへ。10分ほど歩くと、左手に「紙紮(ジージャッ)」と呼ばれる紙の装飾品を扱う店が軒を連ねる一角がある[MAP❾]。店頭には紙で作った洋服や食べ物、車などが並べられており、店内にも所狭しと紙製品が飾られている。
紙紮は、東アジアの伝統的な宗教儀式で使われるお供え物。祖先の冥福を祈って、必要な品物を燃やして、あの世に送るために使われているのだそう。なので、竹ひごと紙で作った家をはじめ、マッサージチェア、パソコン、携帯電話、飲茶、動物など、日常生活にあるものは何でも揃っている。故人の好きなものをオーダーメイドで作ることもできる。
1軒の紙紮店に話を伺った。この店はここに店を構えて15年以上になる。父親が納棺師だったので、一緒にやったほうが便利ということで紙紮店を始めた。紙紮は自分の店で作っておらず、中国から仕入れている。今、香港では中国から輸入している店がほとんだそうだ。また、最近は不景気で、みんなが買うものを抑えていると嘆く。これまでに一番面白かったのは「カジノを作ってほしい」というオーダーだという。カジノをあの世に送ってあげたとき、喜んでいる故人の顔が浮かんできそうだ。
このエリアには、大きな葬儀社が3軒ある。そのため、この周辺には、紙紮屋のほか、葬儀用の花を扱う生花店、棺桶屋も集まっている。ちなみに、葬儀は親戚や友達が一堂に会し、待ち時間は宴会の様相となる。その雰囲気はホテル(酒店)で行われる宴会に似ていることから、葬儀社は別名「大酒店」と呼ばれているそうだ。

Pocket
LINEで送る