美容や中医学特集2・耳ツボと涼茶

2014/07/23

中華の知恵でダイエット

「ダイエット」、それは世界中の老若男女にとって永遠の課題。
色々な情報が飛び交う中、中医学ではどのように考えられているのか、中医学の専門家、ヴェロニカ先生に聞いてみた。

耳ツボ

耳ツボ

どうして太るのか?

太り気味、肥満は「胃」と「脾」に問題があると中医学では考えられている。胃は栄養を吸収、脾は不要物を体外へ排除する働きがあるとされている。その働きが悪くなると、「湿」が体内に蓄積、「気」が下がり、摂取した栄養を全て消費できず、不要物の体外へ排出が難しくなる。この状態が続いた結果、体内に残った過剰な栄養が吸収され、太ってしまう。
西洋医学に「新陳代謝率(metabolic rate)」という言葉があるが、中医学にはない。しかし、同様の意味で「栄養を消化し活用する脾の働き」がある。「脾」の働きの低下を示す症状のひとつが便秘。便にもまだ栄養が残っているため、腸に溜まった便からも栄養を吸収、過剰摂取となり太ってしまう。
他にも西洋医学と同様に「食べ過ぎ」が原因と考える。中医学には3000年前から「肥(脂っこいもの)、甘(甘いもの)、厚(味の濃いもの、塩気の強いもの)、味(美味しいが体に良くないもの、現代で言えば、ポテトチップスやコーラなど)」を摂取しすぎないようにと言われていた。当たり前と言えばそれまでだが、3000年も前に既にこの様な教えがあったのは素晴らしい。
また、太る原因が精神面の場合、肝臓にも焦点を当てる。中医学では肝臓は感情をコントロールするとされ、例えば、日常のストレス、考え過ぎなどで起こる、摂食障害やうつの症状は精神的治療ではなく、肝臓を治療する。

どうすれば痩せられる?

正しく減量するにはやはり「運動」。古代から中医学でも「五禽戯」と呼ばれる動物の動きから学ぶ伝統のかんたん健康体操法を始めとする、様々な「運動」が必要と言われている。やはり、簡単に痩せるのは無理なようだ。
しかし鍼療法は、激しい運動をしなくても効果が期待できる療法だそうだ。鍼をツボに刺すことにより、経絡を伝って、それぞれの臓器に刺激を与え、感情をコントロールする働きを助けることもできる。また、筋肉を収縮させるので、身体を引き締める作用も。肥満の人なら週に2回、太り気味の人なら5~7日おきに1回の頻度で鍼療法を受けると効果的だそうだ。そこで、ダイエットを手助けしてくれるツボを教えてもらった。
足三里(膝の皿を同じ側の親指と人差し指で外側から挟んで、中指を真っ直ぐすねの方向に伸ばして、中指があたるところ)は胃に通じるツボなので、ここを刺激すると、胃腸が脳へ「満腹感」の信号を送り、食欲が抑えられる。
耳には驚くほど多くのツボがある。その中からダイエットに関連の深い、胃(写真❶)、脾(写真❷)、食欲のコントロール(写真❸)、腹部の張り(写真❹)、口(写真❺)のツボを示してもらった。なぜ「口」のツボ?と疑問に思うかもしれないが、空腹時に、ここを押すと脳が「口から物を食べている」と錯覚し、何も食べなくても、満足感が得られるのだそうだ。
先生のもとへ通うセレブの患者さんがいるそうだが、彼女は常に素晴らしい体型を維持している。その秘訣は、「夜8時以降は何も食べない」、「毎日1時間の有酸素運動」、「腹7分目までしか食べない」だそうだ。やはり、西洋医学、中医学に関係なく、自制心は重要ということか。

この時期のオススメの食材は

 

■揚げもの、バーベキュー、鉄板焼き、スパイシーな料理を食べ過ぎない。これは体内に「熱」が溜まるのを防ぐため。
■季節に合った料理を食べる。例えば、火鍋は冬の料理なので、夏に食するのはあまり勧めない。
■空腹に冷たいものを食べたり、飲んだりしない。温かなものをとるようにする。
■サラダや冷麺のような冷たい料理を食べる時は温かい飲み物と一緒にとるなど、バランスを考えて。
■朝食を食べる前に、白湯(または温かいミルクなど)を飲むと良い。

漢方薬の選び方も教わった。まず、注意するのは色、つや、におい。不自然な色、何かで磨いたようなツヤ、そして変な匂いがするものは避けた方が良い。すべての漢方薬の選び方を説明するのは無理なので、いくつかの漢方薬の見分け方を説明しよう。

南棗(クロナツメ):細長い形の方が味は良い。自然な色、つや、しわのものを選ぶ。
紅棗(アカナツメ):色はあまり赤すぎないものを。種が抜かれていないもの、においは甘酸っぱく、磨かれたようなツヤがないものを選ぶ。
准山(山芋):色は生成り、真っ白のものは避ける。外側に粉が付いていないものが高品質。
杞子(クコの実):色は自然な赤みがあり、ツヤがないもの。
沙参(ツリガネニンジンの根):生成り色で、全体の色が同じものを選ぶ。
古くからの長い歴史を誇る中医学。酷しい暑さを健康でキレイに過ごすために、漢方薬剤について勉強してみては。

夏におすすめ、「冬瓜のスープ」のレシピは、本紙21ページに。

ヴェロニカ先生ヴェロニカ先生のプロフィール
許懿清(Hoi I Cheng, Veronica)
約10年間、助産師、看護師として働いた後、香港バ
プティスト大学で 中国医学を専攻。卒業後は中医学
の医師として10年の経験を持つ。

ChiMed Health Company Limited
(完全予約制)
住所:Suite A, 14/F., Shun On Commercial Bldg.,
112-114 Des Voeux Rd. C., Central
電話:(852)3112-8438
ウェブ:http://www.chimed.com.hk(広東語のみ)

涼茶の効用を知ろう!

涼茶

 

 

 

 

 

 

 

家族のため・自分のために

取り入れたい漢方医学の知恵

香港をはじめ、広東エリアで広く愛飲されている「涼茶」。高温多湿という気候の中で、より快適に過ごすため古くに生み出されたこの民間の滋養法は、中国のドリンクビジネスの影響もあり、現代の若い人たちにもしっかりと引き継がれている。長い歴史が培ったこの知恵を生活に取り入れて、健康な身体を維持したいものだ。

数年前、この涼茶は国家級非物質文化遺産(無形文化遺産)に登録された。それからというもの、ペットボトルに紙パック、缶など、買い置きができるお手軽涼茶が様々なブランドから発売され、今では「涼茶舗(リョンチャポー:涼茶スタンド)」だけでなくコンビニやスーパーでも手軽に買うことができるようになった。最近ではスイーツや軽食と共に飲めるお店もあり、涼茶を楽しむ環境はバラエティに富んでいる。疲れが出てきたなあと思ったら、涼茶舗に駆け込もう。

漢方に基づいた中国のハーブティー

涼茶とは茶葉の名前ではなく、体を「涼しく」する目的の漢方茶やハーブティーを指す。いろいろな生薬を煮出してつくられており、一言で涼茶と言っても種類は様々だ。ハーブティーといえば飲みやすそうに聞こえるが、飲むのが困難なほどの苦みのあるお茶もあり、こちらが日本で言うところの漢方茶だろう。しかしその最大の効能はどれも同じで「身体にたまった熱をとる」ことにある。涼茶は熱気(イッヘイ:香港を含む広東省では「熱気」が体に溜まると、ニキビや吹き出物、イライラ、偏頭痛、だるさ、肩凝り、喉の腫れなど、とにかくまず体に「いやな症状」を引き起こすといわれている)をとる効果があるとされる。鏡で舌を見て白い苔のあるときや、ニキビや便秘が気になるとき(=熱気があるとき)に飲むと改善されるという。これは広東省などの暑い地域で、体の温度を下げバランスをとるという中国医学の考え方に基づいた健康法で、脂っこいものを食べたあとなどにもよく飲まれている。

涼茶舗で店員との会話を楽しみながら1杯

脂っこい中華料理を食べたあと、近くの涼茶舗を訪れた。私が選んだのはデトックス効果があるという真っ黒な「龜苓茶」。常温でいただくのがベストだそう。「良薬口に苦し」というが、本当にまずい。同行した香港人は一気に飲んでいた。それが香港スタイルだとか。店のおばさんと他愛のない会話をしていると、「これも
飲んでみて」と別のお茶を運んできてくれた。「紅棗鶏骨草」という名のこの薄い色合いのお茶は、鶏骨草と棗のブレンド茶。鶏骨草は肝臓に効く生薬で、棗は異なる成分の生薬作用の衝突を和らげる効果があるという。棗の甘味があるので、ずいぶん飲みやすい1杯だ。

街中に普及する涼茶舗

ビジネスとしても注目されている涼茶。誰もが知る「海天堂」や「恭和堂」、「春回堂薬行」のほかにも、現在は駅構内にもさまざまな涼茶舗が展開している。若い女性をターゲットにした「健康工房」は、明るく清潔感があって入りやすい。電車に乗る前の1杯が日々の健康を維持してくれるのなら、こんなに手軽なことはない。

感冒茶(ガンモウチャー)感冒茶(ガンモウチャー)
原料は根付きネギ、ショウガ、ミントとタントウシ(淡豆豉)。風邪をひいた時に飲まれ、のどの腫れ、鼻水、鼻づまりの改善、体の熱をとる。

廿四味(ヤーセイメイ)
お店により原料は異なるが、20種類以上の漢方薬を調合して煮出したブレンド茶。熱や湿気をとり、便通促進、吹き出物に効く。

亀苓茶(グヮイリンチャー)
亀ゼリーのお茶。体内の有毒な物質を排出するデトックス効果があるとされる。

酸梅湯(シュンムイトーン)
酸梅湯(シュンムイトーン)乾燥したサンザシ、烏梅、甘草が原料。食欲増進、消化促進に効果的。

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