香港、華南やアジアの起業特集1・香港のビジネス環境

2014/06/09

製造拠点としてでなく成長市場としても世界から熱い視線が注がれる中国、そしてアジア。多国籍の人達が行きかう活気あふれる街、香港。この街で自分のビジネスを始めてみたいけれど、あと一歩が踏み出せないという方もいるのでは?そこで、今回は起業特集。すでに事業を展開している方にも役立つサービス等も合わせて、「起業」をテーマに多角的な視点で情報をお届けしよう。

成長性・ポテンシャルが市場の魅力
香港は起業家向け環境も抜群

成長性・ポテンシャルを表すグラフ香港のビジネス環境は世界2位
世界銀行が昨年11月に発表した年次報告書「ビジネス環境の現状(Doing Business)2014」によると、ビジネスがしやすい環境が整っている場所は、トップがシンガポールで、2位は香港。この年次報告書は、2003年より発表しているもので、シンガポールと香港は、8年連続で上位を占めているという。昨年の報告書では、ビジネス関連の規制に焦点を当てて、「ビジネスの開始」「納税」「海外との貿易」など10の指標をもうけて、世界189の国・地域を対象に調査を実施した。政府の施策が功を奏し、アセアン、中国のゲートウェイとして、シンガポールと香港が変わらぬ存在感を維持し続けている。
依然として高い中国ビジネスに対する期待
一方、製造拠点だけでなく高い購買力を有する成長市場としても、世界の熱視線が注がれる中国。外務省などの資料によると、中国へ進出している日系企業数は2011年末時点で2万2,790社となり、国別では米国を抜いてトップに躍り出た。また、2012年末時点で中国へ進出している日系企業数は2万3,094社となっている。
ジェトロが昨年、在アジア・オセアニアの国・地域に進出する日系企業に対し、現地での活動実態に関するアンケート調査を実施している。本調査で、今後1~2年の事業展開の方向性について聞いたところ、中国の日系企業で「拡大」と回答した割合は54.2%で、前年の調査より1.9ポイント増加した。「現状維持」という回答は39.5%で、「縮小」は5%、「第3国・地域へ移転・撤退」は1.2%に留まっている。今後、「拡大する理由」については、「売上の増加」(83.7%)、「成長性、潜在力の高さ」(48.8%)、「高付加価値製品への高い受容性」(27.3%)をあげている。
近年は、リスクの分散をはかるために、「中国プラス1カ国」でビジネスを展開する「チャイナプラスワン」がクローズアップされているが、依然として中国を重視する日系企業が多いことが伺える。タイやベトナムなどでは政治トラブルによる混乱が続いており、この傾向は今後も続くのかもしれない。
地域統括機能を拡大する企業も
ジェトロの同調査では、香港・マカオに進出する日系企業にも、今後1~2年の事業展開の方向性について聞いている。その結果は、「現状維持」が52%、「拡大」が41.6%。「縮小」は4.5%、「第3国・地域へ移転・撤退」が1.8%となっている。「拡大する理由」については、中国と同様、「売上の増加」(82.4%)、「成長性、潜在力の高さ」(37.4%)、「高付加価値製品への高い受容性」(22%)をあげている。具体的にどのような機能を拡大す
るのかについて、国別で見たとき、「地域統括機能」の回答割合は、シンガポール(29.3%)が最も高く、香港・マカオ(12.1%)、続いて、中国(11%)となっている。
中国や香港での事業展開を「拡大」「現状維持」する日系企業の存在は、ニーズとシーズを探して、香港や華南地区でビジネスをしたいと考える方にとって、市場を図る指標ともなり原動力になるのではないかと編集部では考える。

「中国本土・香港経済連携緊密化取決め」

Mainland and Hong Kong Closer Economic Partnership Arrangemen(略称:CEPA)

「中国本土・香港経済連携緊密化取決め(中国語:内地與香港關於建立更緊密經貿關係的安排。英語略称:CEPA)は、2003年6月29日に調印された中国本土-香港間の取決め。香港企業による中国市場参入時の優遇政策を内容としており、2004年1月1日から施行されている。同様の取決めは中国とマカオの間でも締結されている(中国本土・マカオ経済連携緊密化取決め)。内容的には、自由貿易協定(FTA。通常、主権国家間で締結)と同じだが、中国と香港は国同士ではないためFTAという言葉を用いず、CEPAという名称が用いられる。施行後、CEPA1~10と段階的に補足合意が締結され、関税ゼロ対象製品の拡大、規制緩和の拡張、規制緩和の対象追加などが実施されてきた。CEPAのポイントは次の3つ。

1.関税ゼロ化:施行当初、273種類の香港製品(原産地証明書が必要)の中国本土輸入関税をゼロとした。順次ゼロ関税の適用対象を拡大し、最終的にはすべての品目の関税ゼロを目指す。

2.サービス産業の開放:広告、会計、視聴、銀行、建設・不動産、会議・展覧、流通、貨運代理、保険、法律、物流、経営コンサルティング、医療・歯科、証券、倉庫業、通信、観光、運輸の18分野に対し、中国参入時の規制を緩和。CEPA2ではさらに、弁理士、商標登録、空港サービス、文化娯楽、IT、職業紹介、人材仲介、専門技術資格試験など新たな分野を追加。CEPA4では、高齢者向けサービス、公共サービスなどこれまで優遇処置のなかった11分野にも拡大。企業の場合、優遇策の適用を受けるためには「香港企業」として認定されることが必要となる。香港企業認定の条件は、①設立後、3~5年経過している。②法人所得税を納付している。③現地従業員を50%以上雇用している。

3.貿易の効率化:以下の7分野に関し、中国本土と香港が協力し、手続きの効率化を図っている。①貿易・投資の促進。②通関の効率化。③商品の検査・検疫、食品安全、品質などの標準化。④電子商取引。⑤法規則の透明性。⑥中小企業の協力。⑦漢方医薬、医療品分野での提携。

このように、香港原産製品が中国本土へ輸入される際の輸入関税が免除されること、香港のサービス業者・小売業者に対して優先的に中国本土の市場参入を認めることのほか、中国本土住民の香港旅行(個人自由行)の解禁など、CEPAが対象とする分野は幅広い。

施行以来、CEPAは経済効果を発揮しており、香港の発表(2013年6月)によれば、この十年、CEPAに基づく関税ゼロによる中国本土への輸出総額は524億香港ドル(およそ67億米ドル)、中国本土住民の「個人自由行」による香港への旅行者数は延べ1億1400万人に達しているという。その他の大きな効果として、403項目のサービス産業の規制緩和、374項目に及ぶ香港製品の関税ゼロ輸入、香港企業にとって36億人民元(およそ5億9500万米ドル)の節税(関税分)などをあげている。

 

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