ハイキングHiking特集 PartⅢ ベテランに聞く、ハイキングの魅力

2020/10/14

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ここ香港には、ハイキングを趣味にしている人が多い。新型肺炎コロナウイルスをきっかけに、一時は流行にまでなったほどだ。そんなハイキングを本格的に行なっているチームがある。『くんとんトレイル』だ。彼らは、毎年11月に開催される100kmにも及ぶレースに参加する。人って、山道を100kmも歩くことができるの?!そこで、同チームのキャプテンの下村 圭さんと、メンバーの市村 未来さん、練習直後のお二人に直撃インタビューを行なった。

 

一番左が下村 圭さん、一番右が市村 未来さん

一番左が下村 圭さん、一番右が市村 未来さん

 

トレッキングチーム『くんとんトレイル』
メンバー募集中!

参加をご希望の方は、キャプテンの下村さんまでご連絡ください!
WhatsApp:(852)9449-1820
メール:k_shimomura@hkpecmsg.com

 

下村 圭(しもむら けい)さん
福岡県小郡市生まれ。2011年から丸東産業の子会社である「香港包装器材中心有限公司」に赴任。香港日本料理店協会理事。2回目の香港駐在で、在住歴はトータル18年。ハイキング歴は3年目。休日はテニス、山歩きをしながら過ごしている。

市村 未来(いちむら みらい)さん
愛知県名古屋市生まれ。2017年から「Mikimoto Pearl Jewellery Ltd.」に赴任。2回目の香港駐在で、在住歴はトータル5年。本格的にハイキングを始めたのは今年に入ってから。趣味はトライアスロンで、香港マラソンにも参加したこともある。

 

 

PPW:『くんとんトレイル』は、どのようなチームですか?普段、どのような活動をしていますか?

下村さん:大元は『くんとんテニスサークル』で、そのメンバーの一人である福島さんが10年前に立ち上げたトレッキングチームです。景色を見て楽しむというよりは、レースへの参加を目指しているので、ハイキングよりも、トレッキングの方が近いかもしれません。

 毎年7月に決起集会を行ない、11月に開催される『オックスファム100kmトレイルウォーカー』というレースに向けて、毎週日曜日に山登りをします。毎回、私が練習のコースを決めています。チームには35~40名ほどのメンバーがいて、毎週集まるのは12~13名ほど。以前は4~5人ということも多かったのですが、最近は出張や旅行が叶わず、週末も香港で過ごす人が増えたため、参加者もグッと増えました。

 大会には、3チーム(計12名)が参加します。スピードは求めず、みんなで100km完走しましょうというのが目的なので、他の参加チームに比べると緩めかなと思います。レースに参加するメンバー以外にも、サポートをしてくれるメンバーがいて、その方々は伴走してくれたり、コースの途中で食事や着替えの提供をしてくれます。

 

『オックスファム100kmトレイルウォーカー』とは?

 香港で毎年11月に開催される、約100kmのトレイルレース。4名1チームのチーム戦で、脱落者は1名まで許される。レース中に10箇所のチェックポイントをクリアすることが必須。

* 今年は新型肺炎コロナウイルスの影響で延期となり、2021年1月開催。
www.oxfamtrailwalker.org.hk

 

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練習風景

練習風景

 

PPW:お二人がトレッキングにハマッたきっかけと、その魅力、そして、一番好きなコースを教えてください。

市村さん:先ほど話に出た福島さんはヨットのオーナーでもあり、「ヨットに乗りたい」と話す私に、友人が紹介してくれました。ヨットの集まりのとき、福島さんに、「コロナでなかなか国外に出られないので、香港でヨット以外にも何か始めたい」と話したところ、『くんとんトレイル』に誘われ、今年の7月に開催された決起集会に参加しました。しかし、最初にチームの皆さんと登った「鶏公嶺」がきつくてきつくて(笑) ついていくのが難しいと感じた私は、自主練と称して、チームとは別に山登りをしています。なので、チームの練習に参加したのは、今回で2回目ですね。コロナの影響もあって、毎週のように行っていた出張がなくなり、その時間を山登りに当てています。

下村さん:私は、元々『くんとんテニスサークル』に所属していて、その仲間に誘われて、2018年9月に『くんとんトレイル』に参加しました。これまで全くと言っていいほど、トレッキングには無縁だったので、まさか続くとは思っていなかったのですが、あれよあれよという間に3年目になり、キャプテンまで務めることになりました。トレッキングにハマッたというより、罠にハマッたかんじですね(笑) 在住歴が長くなると、香港でやることがなくなってきます。その持て余した時間にぴったりだったのが、トレッキングだったといったところでしょうか。

 香港は、自然と街が近いのがいいですね。普段はコンクリートジャングルで生活していますから、定期的に自然に触れる機会が必要です。しかも、大自然の中から巨大なビル群を見渡せる。香港の景色を望めるのは、何もヴィクトリア・ピークからだけじゃないんですよ!いろんな場所から香港の表情が見られるのは、とてもおもしろいです。

 一番好きなコースは「大帽山」。香港で一番高い山で、非常にきついコースなのですが、香港中が全部見えるんです。その光景には、疲れも吹き飛びますね。すごくおすすめです。「馬鞍山」の稜線歩きも、西貢側と沙田側両方を眺められて、すごく綺麗です。

市村さん:下村さんと同じように、自然と街が近いところに魅力を感じます。私は、「ライオンロック」や「飛鵝山(カオルーン・ピーク)」が好きです。「自殺崖」と呼ばれる場所があるくらい、結構危険な場所なんですが、「飛鵝山」からの眺めは最高ですね。

 

PPW:トレッキングを始めてからの変化はありましたか?

市村さん:100km歩くって、今日やろうと思って、すぐにできることではないじゃないですか。だから、大会に向けて、逆算して練習するプロセスにもおもしろみを感じるようになりました。

下村さん:本当レースはご褒美ですね。達成感がものすごくあります。あと、足腰が強くなりました。普段の生活でも、疲れを感じにくくなりましたね。

市村さん:そうですね、敢えて階段を使うようにするなど、普段の生活にも変化がありました。皆さん、大会前にはお酒も控えますしね。

 

PPW:大会の出場記録はありますか?

下村さん:2018年の『オックスファム100kmトレイルウォーカー』に参加しました。記録は38時間29分。60km地点で股関節を痛めてしまい、少し時間がかかってしまいました。2019年も申込みはしていたのですが、レース自体が中止となったため、チームのメンバーと自主的に100kmのトレッキングを行ないました。このときは、37時間55分でした。38時間を切るぞ!と気合いを入れていたため、最後は走りましたね(笑)

 大会では、48時間以内にゴールしないといけないという制限があって、大体のチームは36時間を切ります。途中で寝るか寝ないかはチームの方針によって異なりますが、私たちは寝ないで歩くという方針です。休んでしまうと、元のペースに戻るまでに時間がかかるので。

市村さん:私は、今年(延期により2021年)が大会初参加です。

 

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大会出場時

大会出場時

2年連続、同じ場所で、 猿に飲み物を盗られました(涙)

2年連続、同じ場所で、
猿に飲み物を盗られました(涙)

 

PPW:日本と香港でハイキングのしやすさは異なりますか?

下村さん:香港の方がよりハイキングが身近な気がします。前々から計画していなくても、休日に朝起きて、天気がよかったら登りに行こう!みたいなこともできますから。街からコースが近いところが、香港の魅力ではないでしょうか。

市村さん:そうですね、日本だと一日がかりですが、香港の場合は、日常の延長線上にコースがありますね。天后(ティンハウ)に住んでいるのですが、太古城(タイクーシン)のAEONまで買い物に行くのに、トレイルコースを回って行ったりします。香港にこんなに自然があるなんて、街で暮らしているだけではわからなかったですね。しかも、こんな街と自然の距離が近い都市は、香港くらいじゃないでしょうか。

 

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大会のコースから見える景色

大会のコースから見える景色

 

PPW:ハイキングをする上で、気をつけていることを教えてください。

下村さん:必ずトレイル用シューズを履くようにしています。底が堅く、ギザギザしているものですね。足への負担が軽くなりますし、怪我もしにくいです。

市村さん:水だけというのは避けた方がいいです。夏場は特に、ポカリスエットなどのスポーツドリンク、塩飴なども一緒に持参してください。直射日光を諸に受け、熱中症になる可能性が高いので、十分な水分をはもちろんのこと、塩分の摂取も忘れずに!

下村さん:足がつったら、塩分、水分不足のサインです。

市村さん:「ハイドレーションタイプ」といって、先端が飲み口になったホースのついた登山用の水筒もおすすめです。ザックに水筒を入れたまま飲むことができますし、かさばらないので便利です。

下村さん:あと、長距離の場合、かつ、コースの途中にお店がない場合は、ソイジョイのような簡単に食べられるものを持っていくといいですね。体力維持のためにも、空腹を満たすことは大切です。

 それと、激しいコースの場合は、登山用ストックを持っていきます。ストックがあるのとないのとでは、登りやすさが全く違います。

 

トレイルには、500m毎にこのような標識があり、これにより現在地がわかるようになっています。 もし怪我や事故などで、救助が必要な場合は「999」へ電話し、この番号を伝えましょう。

トレイルには、500m毎にこのような標識があり、これにより現在地がわかるようになっています。
もし怪我や事故などで、救助が必要な場合は「999」へ電話し、この番号を伝えましょう。

 

PPW:初心者の方、または、これからスタートされる方に一言お願いします。

下村さん:調べていただくとよくわかりますが、香港には、びっくりするくらいたくさんのトレイルコースがあります。きっと自宅のすぐ裏にもたくさんありますよ!ぜひ易しいコースから始めてみてください。

市村さん:Googleマップにもたくさんコースが出てくるので、便利なツールを活用してみてください。易しいコースなら、大した準備は必要ないです。下村さん:ヴィクトリア・ピークに歩いて登るだけでも、気分が全然違いますよ。

 

 

今回、『くんとんトレイル』の皆さんと一緒に山登りを体験した、PPW編集部・石川より一言♪

 初めてトレイルに参加させていただきました。皆さん軽々と進んでいってだいぶ慣れていらっしゃる様子でした。ズブの素人でしたが皆さんの温かいサポートで無事に歩き切りましたが、3日ぐらい脹脛の筋肉痛が抜けず散々でした。。。あの達成感を味わうべく、鍛え直してまた参加させていただきます!

 

 

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