PPWビジネス通信 × アナシス Vol.33

2020/10/01

M1

人事労務のアナシスによる誌上相談会

「テレワークで評価されるにはどうすればいいでしょうか」
問い:テレワークではきちんと評価されるのか心配です。どうすればより高い評価を得られるようになりますか?

黒崎:この誌上相談会は主に管理者側からのご質問に対してお答えしてきましたが、前回の「賃下げ」同様に今回も部下側視点でのご質問に対し、管理者側向けを含めた内容でお答えしたいと思います。

 テレワーク時代では、より成果主義になると言われています。多くの方はそれを目標に対する数値的な結果そのものをイメージするようです。ご質問の方はまずこの「結果」を出すことに集中してください。何と言っても結果が出ていなければ評価が下がるのは事実です。

 しかしもう一つの評価対象である、行動・態度・姿勢・コンピテンシーといったものは、いわゆる「情意評価」「プロセス評価」項目として「結果」とは区別され、見えにくいものであることも確かです。本来我々の考える「パフォーマンス:成果」とはこれらの総合です。つまりプロセス+結果。行動という形で出したパフォーマンスも成果として評価する。状況やタイミングによっては未だ結果の出ない行動もあり、それを管理者が評価するかどうかという問題です。評価しないのであれば「結果主義」、プロセスも評価するのであれば「成果主義」とここでは定義しておきます。

 結果主義には弊害があります。例えば売りにくい新規商品などは結果が出にくいために敬遠されがちなこと、個人主義的となりチームワークがとりにくくなることなどが挙げられます。それゆえ多くの日系企業では望まれる行動もプロセス評価項目として取り入れているわけです。そのプロセスがテレワークでは見えにくいことが、ご質問者の心配につながるわけです。

 現在のように外的要因から結果が出にくいという場合、部下達の努力をどう評価するのか。ここでこのプロセス評価の重要性を感じます。しかしプロセスを評価しても、結果が伴わなければ昇給や賞与へ反映できないのでは、という管理者側からの質問があります。実際来期へ向けては昇給・賞与が凍結となる企業は増加すると考えられます。それだけでなく整理解雇も増えるでしょう。経営としては原資がない中で、努力にどう報いるのか。従業員側としては、どう経営に貢献し、それを評価してもらうのか。

 従業員の皆さんは、まず経営が目指していることが何かを確認してください。それはどんな時代であってもぶれない軸を持っているもの。すなわち経営の理念のはずです。そして最新の経営戦略をよく理解し、その上位目的に沿った自分の役割と目標を上司とじっくり話してください。その目標には数値などの業績目標と、具体的なアクションプランが含まれます。そしてそれら目標はできる限り短期あるいは小さく分けて設定してください。その一つ一つを着実に実行すると同時に報告・連絡・相談の頻度を増やすのです。オンラインでも報連相は可能です。上司はその報連相を見ることでプロセスを評価することができるのです。そして、それが今報われるかどうかは不明ですが、今この経済環境下でどんな行動をとったのかが、いずれ問われる時代がやってくることを覚悟しておいてください。

 管理者側も部下達の業績と行動の目標設定ができており、上記のような報連相があれば対面でなくても評価出来るという体制を作らねばなりません。テレワーク時代の三種の神器とは「オンライン会議・ビジネスチャット・スケジュール」であり、それらによって目視できない分をコミュニケーションで補う必要があります。1on1ミーティングなどを導入し、定期的に報告しフィードバックし合える環境を作ることも求められるでしょう。社内コミュニケーションをより効果的にするためにアナシスがご提供した「報連相研修」などを取り入れる企業もありました。

 さて昨今では社内の改革プロジェクトへのアサインメントをすることで、新しい業績目標あるいは行動評価として項目を立てるというケースが見られます。これは評価の対象となることと同時に、今後のビジョン達成へ向けて本当に必要な人材が誰なのかというアセスメントにもなっています。従業員の皆さんは、積極的に参加して存在価値を示す必要があるでしょう。そうしたプロジェクトは自分の市場価値を上げる経験となりますので、活用すべき機会です。

 原資がない中で従業員の努力に経営が報いるには、従業員達の能力向上機会などの非金銭的な報酬を含めた「トータルリワード」が問われることでしょう。コロナで組織も個人も変革を求められています。新しいビジョンの構築、そのビジョン実現とそのトータルリワードを考慮した人事制度の再構築などが、経営と従業員側の共通の危機感を持つことにつながるはずです。下半期がスタートする企業は、来期へ向けて新しいビジョンとプロジェクトの運営を今からスタートさせることをお薦めします

 


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