尹弁護士が解説!中国法務速報 Vol.28

2020/09/02

経済補償金

日本の退職金と中国の経済補償金はどう違うのでしょうか。
日本の退職金は、毎月の給与の一部が後払いの形で退職時に支払われると理解するのが一般です。そのため、基本的に従業員と使用者の間の合意で金額が決まります。
一方、中国でいう経済補償金の金額は法律で決められており、従業員と使用者の間の合意で減額することはできません。
では、経済補償金は法律上どんな場合に支払う必要があるのでしょうか。

①従業員からの退職申し出の場合(従業員からの解除)
 労働契約の期間の途中で従業員から退職の申出があった場合には、従業員の都合による退職ですから、使用者は従業員に対し経済補償金を支払う必要はありません。
但し、使用者に賃金不払や、法律違反行為等がある場合は、従業員の申出による退職でも、経済補償金を支払う必要があります。

②解雇の場合(使用者からの解除)
 労働契約法第40条(書面による事前通知等が要求される予告解除)と労働契約法第41条(整理解雇)による解雇については、経済補償金を支払う必要があります。
他方、労働契約法第39条(書面による事前通知等が要求されない解除)による解雇については、経済補償金を支払う必要はありません。

③労働契約期間中の合意による退職の場合(使用者と従業員の合意による解除)
 合意による退職が使用者からの申し出によるものであれば、経済補償金を支払う必要があり、これが使用者からの申し出によるものでない場合、経済補償金を支払う必要はありませんが、労使間に別途合意がある場合はその約定に従います。

④労働契約の期間満了の場合(固定期間労働契約の終了)
 労働契約の期間が満了し、契約の更新がなされずに退職した場合、経済補償金を支払う必要があります。但し、使用者が労働契約に約定されていた条件を維持し又は引き上げて労働契約の更新を提示したが、従業員が更新に同意しなかった場合には、経済補償金を支払う必要はありません。

 経済補償金は、従業員が当該使用者における勤務年数満1年ごとに1ヶ月分の賃金を支払うという方法で計算されます。また、満勤務年数が6ヶ月以上1年未満の場合は1年として計算し、6ヶ月未満の場合は半月分の賃金を経済補償金とします。
経済補償金の計算式:経済補償金の額=月額給与×満勤務年数
但し、使用者所在地の前年度の従業員月平均賃金の3倍を超える従業員については、経済補償金の計算式における「月額給与」は、当該月平均賃金の3倍に相当する金額となります。また、この場合「満勤務年数」も12年が上限となります。従って、実際の満勤務年数が12年を超えた場合でも、12年を上限として計算されます。
なお、使用者による違法解雇の場合は、上記の法定経済補償金の2倍に相当する金額を賠償金として従業員に支払う必要があります。


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Profile Photo尹秀鍾 Yin Xiuzhong
慶應義塾大学法学(商法)博士。東京と北京の大手渉外法律事務所での執務経験を経て、2014年に深センで広東深秀律師事務所を開設。2020年春に広東卓建律師事務所深セン本部にパートナーとして加入。華南地域の外国系企業を中心に幅広い法務サービスを提供。主な業務領域は、外商投資、M&A、労働法務、事業再編と撤退、模倣品対策、紛争解決など。

 

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