尹弁護士が解説!中国法務速報 Vol.24

2020/07/01

労働契約締結時の注意点

 

使用者の書面契約締結義務

 実際には、従業員が働き始めたにもかかわらず、書面での労働契約の締結が間に合わないこともあるかもしれません。その場合でも、働き始めてから1ヶ月以内に書面で労働契約を締結する必要があります。なぜなら、1ヶ月を経過すると使用者にペナルティが発生するからです。

 具体的には、労働契約を締結せずに1ヶ月が経過すると、その翌日から毎月2倍の賃金(毎月実際支払う賃金、すなわち1倍分は控除が可能)を支払わなくてはなりません。この2倍賃金の支払は、書面で労働契約を締結した日、又は勤務(雇用)開始日から1年が経過した日の前日まで続きます(最長で11ヵ月分)。さらに、労働契約を締結しないで1年が経過すると、その日に無固定期間労働契約を締結したものとみなされます。

 では、従業員が書面での労働契約締結に応じてくれない場合、どうすればいいのでしょうか。この場合、使用者は従業員に書面で通知して労働契約を終了することができます。

 

労働契約の記載事項

 労働契約書に記載すべき事項は以下の通りです。

① 使用者の名称、住所及び法定代表者又は主要な責任者
② 従業員の氏名、住所及び身分証明書又はその他有効な身分証明書の番号
③ 労働契約の期間
④ 業務内容及び勤務場所
⑤ 勤務時間及び休憩休暇
⑥ 労働報酬
⑦ 社会保険
⑧ 労働保護、労働条件及び職業上の危害の防護
⑨ 法律、法規が労働契約に組み入れるべきことを規定しているその他の事項

 この他にも、試用期間、研修、秘密保持、補充保険、福利厚生待遇等のその他の事項についても労働契約に定めることができます

 

試用期間

 試用期間の長さは使用者と従業員の合意で決められますが、使用者から従業員に労働契約を提示することが一般的であるため、使用者は労働契約期間と試用期間を整合的に考慮してこれを合理的に設定し、従業員に提示する必要があります。

 試用期間は、法律によって労働契約の期間ごとに上限が決められています(下表参照)。また、試用期間は労働契約の期間に含まれます。なお、試用期間について、従業員の地位が不安定になることを防ぐ規定があります。例えば、同一使用者、同一従業員の間では試用期間は1回だけしか定めることができません。また、試用期間中の最低賃金は法律で制限があります。

 試用期間に採用条件に適合しないことが証明されれば、使用者は従業員にその理由を説明した上で労働契約を解除できます。

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Profile Photo尹秀鍾 Yin Xiuzhong
慶應義塾大学法学(商法)博士。東京と北京の大手渉外法律事務所での執務経験を経て、2014年に深センで広東深秀律師事務所を開設。2020年春に広東卓建律師事務所深セン本部にパートナーとして加入。華南地域の外国系企業を中心に幅広い法務サービスを提供。主な業務領域は、外商投資、M&A、労働法務、事業再編と撤退、模倣品対策、紛争解決など。

 

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