尹弁護士が解説!中国法務速報 Vol.23

2020/06/17

駐在員事務所に対する規制強化

 中国に進出する方法としては、法律上は3つあります。すなわち、① 駐在員事務所(中国語では「常駐代表機構」)を設立する方法、② 支店を設立する方法、③ 現地法人を設立する方法です。

 もっとも、中国での支店の設立は、銀行や保険会社といった一部の業界以外は認められていません。そのため、一般的な進出方法としては、駐在員事務所または現地法人の設立になります。

 

駐在員事務所とは

 駐在員事務所とは、外国又は香港などの地区に所在する企業(外国企業)が法律の規定に従い、中国国内において設立する当該外国企業の業務に係る非営利活動に従事する事務機構(中国語では「弁事機構」)を指し、駐在員事務所は法人格を有しません。駐在員事務所は、通常、中国に本格的に進出するための連絡業務、製品の紹介、市場調査、技術交流などの目的で設立されます。

 

駐在員事務所の特徴

 駐在員事務所には以下の特徴があります。

 まず、駐在員事務所は設立が比較的に容易です(メリット)。一部の業界を除いて審査認可を受ける必要がなく、基本的に市場監督管理部門における登記手続のみで設立することができます。

 他方、駐在員事務所は営業(営利)活動を行なうことができません(デメリット)。駐在員事務所は、具体的に以下の活動を行なうことができるとされています。

① 外国企業の製品またはサービスに係る市場調査、展示、宣伝活動
② 外国企業の製品販売、サービス提供、国内買付、国内投資に係る連絡活動

 このような活動を超えて営業活動を行なう場合には、現地法人を設立する必要があります。

 

規制強化の動き

 近年、駐在員事務所に対する規制強化の動きがありますが、これは、駐在員事務所が事実上営業を行なうことを防止するための規制強化といえます。主な規制強化としては以下のものがあります。

 駐在員事務所の代表の数を4人以内に制限しました(首席代表は1名、一般代表は3名まで)。駐在員事務所に派遣される外国人は、通常「代表」になります。

 なお、現地採用スタッフ等の従業員(派遣資質のある人材派遣会社から人材派遣を受ける必要があります)については、人数の制限がありません。

 駐在員事務所による営業活動への従事などの違反行為に対して、登記機関(市場監督管理部門)に調査、資料等の差押権限などが認められています。また、違法所得の没収、営利活動に用いた財物の没収、5万元以上50万元以下の過料などの行政処罰を受ける可能性があります。さらに、情状が深刻であれば、登記証を取り消される場合もあります。

 このように、駐在員事務所が営業(営利)活動を行なっていると認定されないよう十分注意する必要があります。

 


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Profile Photo尹秀鍾 Yin Xiuzhong
慶應義塾大学法学(商法)博士。東京と北京の大手渉外法律事務所での執務経験を経て、2014年に深センで広東深秀律師事務所を開設。2020年春に広東卓建律師事務所深セン本部にパートナーとして加入。華南地域の外国系企業を中心に幅広い法務サービスを提供。主な業務領域は、外商投資、M&A、労働法務、事業再編と撤退、模倣品対策、紛争解決など。

 

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