PPWビジネス通信 × アナシス Vol.27

2020/03/25

M1

人事労務のアナシスによる誌上相談会

「在宅勤務の効果的な運用方法は?」
問い
新型肺炎への対応で始めた在宅勤務を本格的に検討しています。効果的な運用方法を教えて下さい。

黒崎:まず、今回の新型肺炎で「自宅待機」と「在宅勤務」が混同されているケースもあることに注意です。「自宅待機」とは文字通り出勤せずに「待機」し、危険を回避することですが、これを休みと混同してしまう従業員も存在します。先日香港の某銀行の若手従業員が在宅勤務中にハイキングに繰り出して厳重注意された報道がありました。職務に対するプロ意識、成熟度の問題かもしれません。そうした在宅勤務の準備ができている人材と制度上の準備の双方が本格稼働には必要となります。対象者・期間・労働時間・残業・労災・通信費コストの取り決めなどなど、労務的に取り決めておいた方が良いことが沢山あります。情報セキュリティルールの再設定なども課題です。こうした基本となるルールの整備がまず効果を出す前の前提となるでしょう。一時的な在宅勤務であっても、基本は決めておくことをお勧めします。既に「不公平だ」などという不平不満が出て、善意で設定した在宅勤務を取りやめるなどのケースも出ています。

 さて、在宅勤務を実行するときに出てくる上司側が感じる課題は(1)手を抜く人がでるのではないか(2)労働時間の把握が難しい(3)生産性が落ちる(4)見ていないので評価できない(5)セキュリティ問題、などが挙がっています。

 一つ目は信頼関係です。在宅勤務で手を抜く人は、いつも手を抜いています。在宅勤務だからではないのです。しかしマネジメントの基本は信頼すること。まずは部下を信頼することになるでしょう。二つ目は労働時間の管理です。これは賃金が労働時間に対して支給されているのかどうかを考え直す良い機会だと思います。在宅勤務をすると公私の区別がつきにくくなります。自己管理が出来てない人は生産性が落ちるかもしれません。しかし本来の在宅勤務の目的は、通勤時間が取られないこと、家族への対応も可能で勤務の柔軟性が担保できること、集中することで得られる定型業務や創造的業務の生産性の向上など、非常に前向きなものがあります。そしてその目的のひとつにBCPとして事業の継続性を担保させることもあるわけです。「見てないから評価できない」というのは、上司側に問題があるといえます。もともと見るべきことを見ていないのです。ここでは明確な成果目標を共有していないこととそのプロセスにおけるコミュニケーション不足が課題です。ただし過度な成果主義に走ると組織として違う問題も発生してきますので、成果の中身として「結果」と「プロセス」のバランスをよく検討しておくことが必要になります。本来の評価制度はそこを考慮してあるはずなので、在宅だろうと出社だろうと、評価項目を変えることなく運用できるものなのです。

 では、まだ成熟度が低いと思われる人材は在宅勤務をさせられないのでしょうか。正直なところ、できない人材はどこでも生産性をあげられません。今回、従業員の存在価値がはっきりしてしまう機会となると予測しています。それでもそうした人材にも在宅勤務をアサインしなければならないのであれば、(1)短期間の成果目標を明確に設定する(2)業務開始をはっきり分かってもらうための朝ミーティングを実施する(3)アウトプットしていないと上司にも仲間にも認められにくい事や在宅勤務のコツなどを教育する(4)上司のオンラインミーティングの運営力をあげる(5)Slackなどのビジネスチャットを活用する、などなどを検討しておくことをお勧めします。

 さらに香港・華南の若手従業員の「在宅」環境が、勤務には適していないケースが多いことにも注意です。ワンルームでパートナーと暮らしているなどの場合、双方在宅ならオンライン会議は同居人に筒抜けとなります。

 最後に従業員にシェアすべき、在宅勤務のTipsをピックアップしてみます。それは(1)集中できる環境を作る(2)目標を明確にする(3)上司・同僚とのコミュニケーションを増やす、といった大きく三つのテーマがあります。例えば「きちんと着替えて勤務を始める」とか「始業時間のミーティングを入れる」、「家族の理解を得る」などなど、あげればキリがなく、最近はウェブ上にも様々なヒントが出ていますので参考にするとよいでしょう。

 しかし在宅を含むテレワーク成功の最大のポイントは上司側です。上司側のテレワーク・リテラシーを向上させること。従業員を尊重し、より働きやすい環境を作ること。在宅勤務を始めることは、マネジメントそのものを見直す事に繋がると考えます。

 


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