NAC KINGSWAY「直情真気」ここは頑張ろう日系企業 Vol.4(最終回)

2020/03/18

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1990年の設立以来、30年にわたり、香港・華南で人材紹介サービスを手掛ける「KINGSWAY PERSONNEL LTD.(以下、KINGSWAY)」。国際会計グループ「NAC Global Co., Ltd.」と経営統合した2013年以降は、人材紹介・労務コンサルテーション・各種就労ビザ取得代行を組み合わせた、業界唯一のワンストップサービスを提供している。そんな「KINGSWAY」のManagingDirector・岩間氏に、社会の動向を踏まえ、世のため、日系企業のためとなる、とっておきの情報をズバリ解説いただいた。(全4回)

 

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PPW「主要企業・団体昇給率予測」を見ると、金融機関の昇給率が低いように感じます。
岩間氏:こちらに取り上げられているのは大きな企業ばかりですので、どこもある程度風評に影響されていると考えられます。金融機関に関していうと、2018~2019年はあまり景気がよくなかった年と言えるので、昇給率も低く予測されていますね。「キャセイパシフィック航空(Cathay Pacific)」に関しても、香港の主要銘柄から外されたというニュースが影響して、比較的元気のない数字になっています。ただ、「中原地産(Centaline Property Agency)」などは堅調に4.0%あたりを維持していますので、業界ごとの傾向が強く現れている指標となっています。

PPW他の企業の昇給率にも影響を与えるような、基準となる会社は存在するのでしょうか?
岩間氏:特に、そのような企業は存在しません。先ほどもお話ししたとおり、昇給率はやはり業界ごとの傾向が強いですね。

PPW:転職希望者にとって、昇給率予測は、転職先を決めるための大きな要因の1つとなっているのでしょうか?
岩間氏:そうですね。ただ、最近は、昇給率だけではなく、「ベネフィット(福利厚生)」も転職希望者にとっての重要なファクターになってきています。というのも、給与だけで見ると、やはり頭打ちになってきている傾向にあるので…2019年はデモが発生したこともあり、どの業界も全体的に景気がよくありませんでした。そうなると、どこへ転職しても大幅な給与アップは望めません。では、何を糧に頑張るか? と考えたときに、自身のキャリアアップや夢を追う目標以外に、「有給休暇(以下、有休)が多い」「大学院に通える補助・制度がある」など手厚い福利厚生に注目するわけです。香港の企業の中でもベネフィットはとても大事だと考えられていて、これが充実した企業は人気がありますね。

 

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PPW:有休のお話が出てきましたが、香港の有休取得に関して詳しく教えてください。
岩間氏:「2019年6月享有各項附帯福利的僱員百分比*」を見るとわかるとおり、現在、香港にある全ての会社の年間有休取得日数の平均は15~21日です。実に6割以上の会社が、社員に年間15日以上の有休を与えています。そのため、企業様はこの点を理解し、自社の採用が魅力的かどうかを検討しなければなりません。日系企業は未だに初年度有休なし(2年目から法定休暇の7日を付与)や、有休取得が間接的に人事評価に影響する、といった風潮が多いように感じますが、今を働く世代の香港人たちからすると、有休がほぼないという状態は理解し難い話なのです。
 また、香港では、有休は必ずその年度内に消化させないといけないと条例で決まっています。推奨ではなく、会社の義務なんです。私たちも、それぞれの会社が有休をしっかり消化させているかどうかを見ていますし、「KINGSWAY」を通して転職した方々から、「転職先で全く有休が使えなかった」という声があった場合は、その取得方法や申請に転職者自身の個人的な問題があったかどうか、本当に会社が有休消化をさせない文化・風潮であるのかなど、様々な角度からマッチングの確度を高めるための努力をしています。

PPW:よい人材を採用するために、企業はどのようなことに取り組めばよいのでしょうか?
岩間氏:その企業の現状や希望によってアドバイスが異なりますが、まずは「よい人材」とはどういう意味を指しているのか、この点をきちんと整理され、私たち「KINGSWAY」にご相談するのがよいでしょう(笑)実際企業様の求める「よい」人材は、職種・ポジション、採用するタイミング、お任せしたい業務・仕事などによって異なります。先ほどベネフィットの内容が大切、とお伝えしましたが、それはあくまで最終的に入社を決める際や、企業文化を把握する際の天秤にかける場合の一材料です。企業様・候補者双方にとって一番大切なのは、「仲間として共に働ける、歩めるかどうか」ですので、「学歴がある、有名な企業で努めた、転職回数が少ない=よい人材」という固定観念を、まずは捨てていただく必要があることもお伝えしたいです。
 私たちも候補者の方々に、給与額や業務内容だけでなく、それぞれの企業文化やベネフィットを考慮し、できるだけ希望や夢に近いお仕事のご紹介をしておりますが、納得がいくご紹介ができるのは本当にごく僅かであることも転職者の方には知っていただく必要があるかもしれません。そういう意味で私たち「KINGSWAY」は人材エージェントでありながら、労務のアドバイスもできるコンサルタントが集まっています。採用企業様側にも、「ベネフィットの内容を改善しましょう」「就業規則を変えてみませんか?」「有休が少な過ぎますね」といった頭の痛いアドバイスもすることも少なくありません。せっかく私たちを通じて採用をしていただくので、やはりよい「ご縁」をできるだけ多く繋げたい思いがあります。そのためにも、企業側は耳が痛くとも、真剣な私たちのアドバイス(稀に嘆き)を聞いていただければなと思います。

 先ほどお話ししたように、その内容は様々ですが、「KINGSWAY」を通して転職した皆さんから非常に多くの声が寄せられています。それらをしっかり精査した上で、その会社にフィードバックもすることもあります。もちろん実際に入社して働いてみないとわからないこともたくさんありますが、極力、「こんなはずじゃなかった」という事態だけは避けたいですよね。ですから、採用企業様にも候補者の皆さんにも、募集や応募の段階から、ぜひ包み隠さずに事実を話して欲しいと思っています。素直に、正直にお伝えいただくことで、今までにないご縁とマリアージュが生まれることと考えております。。

 

<Vol.1>
採用企業と人材エージェントの間の誤解を紐解くために ~ 

<Vol.2>
偏りのない、信頼できる情報を採用企業様に

<Vol.3>
悩める候補者の皆さんに何か道を与えられる存在に

 

* 直情真気(ちょくじょうしんき)=
「偽りのない、本当のありのままの気持ち」という意味の四字熟語。「KINGSWAY」の誠実な対応を表している。

 


Managing Director
岩間 慧
建築事務所、不動産ファンド、日系大手食品卸など多業種を渡り歩き、ソムリエ資格も保有する異色の経歴の持ち主。転職の多かった自身の経験も踏まえ、あらゆる経歴の方々に寄り添う。ワイン好きが高じて、飲んだボトルは数知れず。日々、「企業と人財のマリアージュ」をモットーに香港生活を邁進中。

NAC HR (ASIA) Ltd. ナック エイチアール アジア リミテッド
住所:Unit 1606, 16/F., Causeway Bay Plaza 1, 489 Hennessy Rd., CWB
電話:(852)2110-4433
メール:hkdept@kingsway-hk.com
ウェブ:www.kingsway-hk.com

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