PPWビジネス通信 × アナシス Vol.24

2019/12/25

M1

人事労務のアナシスによる誌上相談会

「できれば賃金上昇を抑えたいのですが賃金調査結果は高すぎませんか?」
問い:業績も厳しく賃金上昇を抑えたいと考えています。聞こえてくる賃上げ率が高すぎる気がするのですが。

黒崎:賃金改定の時期が来ています。弊社を含めて各種団体や大企業・官庁などが賃上げ率を発表してます。そのデータをどう見るか・使うかということと、賃金上昇を抑えるということを分けて考えたいと思います。
まず賃上げ率は「平均値」で語られますので注意してください。これがまず誤解の一つ。確かに例年の賃上げ率推移をみれば、ほとんどは景気や消費者物価指数とこの平均値が連動していることは分かります。しかし、平均値にはマジックがあります。例えば100社が賃上げを5%と答え、他の100社が1%と答えても、かなりの差があるのに平均賃上げ率は3%となります。自社がその調査結果分布の中のどの位置にいるのかということを確認することが重要です。そのポジショニングへの意図と意志は、今年の賃上げの従業員へのメッセージになります。高く払える企業はその3%より高いと言えますし、払えない企業は調査分布のなかでは最低水準の1%よりは良いということになるでしょう。
さて、高いか低いかは主観で決まるものです。何と比べて高いのか。多くは「思っていたよりも高い」という自分の想定値との差となるでしょう。しかしそれは企業業績によっても差が出ている事と、調査時期の問題もあります。早い時期の調査であればあるほど、昨年予算と同等という答えをしやすく、直近10月でさえ、多くの企業はまだ本決まりの数値ではなかったはずです。するとどうしても過去データが参照され、「昨年同等」あるいは「それよりもやや低め」ぐらいの回答が集められている可能性が高いと考えています。景気停滞や後退期には、調査が進んで実際の支給時期に近づけば近づくほど数値は下がっていきます。今年はその傾向にあるでしょう。これらの意味で、現在の数値をやや高めだと主観的に感じることを間違っているとは思いません。
ただやはり企業格差はかなりあります。中には香港でも5%や6%という会社もあります。さらにその年の業績だけでなく、企業ごとにここ数年の賃上げ推移は違い、昨年まで抑えてきたので今年は上げるというような企業もあります。さらに職種による差も生まれます。何が影響するかといえば、マーケットプライスとリテンションの重要度です。どれだけ引き留めたいのか。それが絶対命題となれば、昇格を含めて高く払わざるを得ず、業績とは別に企業全体の賃上げ率は高くなるわけです。
さて、一方の賃金上昇を抑えたいというのは目的によって対応が変わってきます。確かに無駄な賃金上昇は抑えなければなりません。中国も低い労働コストという役割を終えつつあり、払う賃金に見合った生産性が望まれています。今年は厳しいので賃金を抑えなければならないのか、未来永劫賃金を抑えなければならないのか。抑えることで何を生もうとしているのか。全体は抑えても、必要な人材には相応の待遇を与えられているのか。そもそも何に対して賃金を支払っているのか。この問題には、賃金に対する会社のポリシー、哲学が必要になるでしょう。
私は昨今「払い甲斐のある賃金を」というコンセプトをお話しさせていただいています。人件費はコストではなく投資の対象だと思います。経営が厳しい中でも、「賃金を抑える」という発想より、払い甲斐のある賃金とそのリターンを得られる仕組みと仕掛けを考えたいものです。

Group photo (アナシス香港)

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