ビジネスの翼 第2回

2019/10/02

第2回は、全日本柔道男子の監督を務める井上康生氏。現役引退後、2012年ロンドン五輪で金メダル0に終わった同チームの組織を改革し、リオデジャネイロ五輪では「全階級メダル獲得」の快挙を成し遂げた同氏。ビジネスにも精通する「どん底からの若き組織改革、最強チーム誕生の秘密」を伺った。

中込氏:ロンドン五輪での全日本柔道男子の惨敗を受けて34才の若さで監督に就任されました。新しいチームを作るにあたり意識されたことを教えてください。
井上氏:まず全日本チームは「最強であり、最高のチームである」という明確な理念を掲げました。その理念に沿った選手を選び、組織を作り上げていき、具体的な目標、細かな練習方法、環境の改革へと着手しました。同時に子供たちに愛されるような選手の育成も目標に掲げました。

中込氏:コーチから監督へと立場が変わり、若い選手と接する上で心がけていたことはありますか?
井上氏:選手たちを認めて信じることからスタートしました。彼らと同じ目線に立ち、同等な立ち位置で意見交換ができる環境づくりを心掛けましたね。しかしながら、年下の者が目上の者を敬う心も忘れてはいけないと思っています。選手には、年長者はもちろん、コーチやスタッフに対しても常に敬意と尊敬の念を持って接していく心が大事だと伝えています。

ZWTRE中込氏:「成功する組織」を作るために何度も大きな困難に直面されたと思いますが、監督就任後で一番苦しかったことはどういったことでしょうか。
井上氏:今でも苦しくつらいことの連続ですね(笑)。しかし、柔道とは答えのない世界ですから、常に努力し学ぶことを忘れてはいけない。勝っておごらず、負けても腐らずの気持ちを持って戦い続けるしかない。その気持ちがあるからこそ、自分も選手も成長していけるのだと思います。
中込氏:柔道界も海外勢の活躍が目立ち、「柔道」から「JUDO」へと変化しています。海外の選手に向けて、日本人選手にはどのような対応力を培わせていますか?
井上氏:我々は国内だけではなく、常に世界と戦い、勝っていく。という意識を持って指導にあたっています。柔道界も強豪国が増え世界でも選手間の格差が無くなり、国際大会でも一回戦から厳しい戦いを強いられることが増えています。その中で「私たちはどれだけ勝てる準備ができるか」ということを考えて指導しています。世の中は常に変化し、柔道のルールも常に変わっていますので、変化にどれだけ対応できるかが重要です。頭が良く強い選手でも、変化についていけないと淘汰されてしまいます。

中込氏:私も海外で起業し、日本だけでなく世界を相手にビジネスをしてますが、常に現地や世界情勢の変化に呼応して対応しなければいけないという点は共通していますね。現在は全日本男子柔道監督のお仕事が中心ですが、柔道家・井上康生として実践されている活動を教えてください。
井上氏:現在はNPO団体の協力をいただきながら柔道を生かした社会貢献活動、海外交流活動で各地を訪問しています。それらの活動を通じて自身も学ばせてもらっている。これからも、もっと多くの子供たちや世界の人たちと繋がっていき、柔道の力が引き出されるような活動をしていければと思っています。全日本の監督としては2020年まで全力で戦いますが、2021年以降は自分自身を生かしてより多くの活動をしていきたいですね。現役時、監督時、さらに次へと、それぞれのステージの井上康生がいて、良い意味で輝き、歩んでいければと思います。

中込氏:香港では情勢不安が続き、現地の日本人も不安を抱えながら生活していますが、そんな読者に向けてメッセージをお願いします。
井上氏:私も柔道の指導で香港を訪問し、イスラエルやパレスチナなど政情不安のある国にも足を運びました。世界で頻発する悲しいニュースを見ていると言葉に詰まります。そんな中で我々ができることは、スポーツやオリンピックを通じて夢や希望、感動を与えられるような試合をし、観ている人にエネルギーを届けることだと思っています。オリンピックを見て日本って凄いな、日本人ってすごい力を持っているんだな。と皆さんに感じてもらえる試合をする為にも、我々も東京オリンピックまで全力で戦っていきたいと思います。

SVD
井上康生

(全日本柔道男子監督)宮崎県出身。1978年生まれ。2000年シドニーオリンピック柔道100㎏級金メダリスト。1999年、2001年、2003年、世界柔道選手権優勝。2008年に現役引退し、2012年11月より全日本柔道男子監督に就任。

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中込 直樹

Wing Fat International Creative Ltd (ウィングファット・インターナショナル) 代表取締役。製造拠点(3ヵ国4工場)を 中心にキャラクターライセンスを使 用したマーケティング、企画製造を手 掛ける傍ら、プロサッカー選手・本田  圭祐氏とタイアップ事業等、多方面で 活躍。山梨県南アルプス市出身。

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