尹弁護士が解説!中国法務速報 Vol.11

2019/09/18

模倣品対策

中国で自社製品の知的財産権を侵害する模倣品が発見されたら、どうすれば良いでしょうか。
まずは、模倣品の販売店や製造元を確定し、模倣品の販売や製造に関する証拠を入手することが必要です。販売店だけでなく、製造元に対しても対策を採る方が効果的です。具体的には、販売店から模倣品の入手経路をたどり、製造元を特定します。調査には、調査会社を活用することも多いですが、調査会社とのトラブル事例もありますので調査会社の選定には注意が必要です。
また、販売店、製造元が特定した時点で警告書を送り、知的財産権の侵害行為の停止を求める方法があります。しかし、警告書を送ることで、模倣品の製造・販売に関する証拠を隠滅したり、逃亡したりする恐れもあるため慎重に対応する必要があります。
では、販売店や製造元を確定し、模倣品の製造・販売に関する証拠を入手することができた場合、どのような手段を採ることができるでしょうか。
主な手段としては、①行政機関による摘発、②民事裁判、③刑事告訴があり、それぞれの方法に長所と短所があります。

①行政機関による摘発
行政機関に対して、模倣品の行政摘発を求める方法です。行政摘発の通常の対策ステップは以下の通りです。
模倣品発見➡基本状況の把握➡市場調査(模倣品の販売店や製造元の確定)➡実地調査と証拠保全➡行政摘発の申し立て➡摘発➡鑑定➡行政処分➡模倣品の処分➡再犯有無の調査と追加措置

行政処罰としては、a権利侵害行為の即刻停止、b権利を侵害した製品、製造設備の没収、廃棄、c過料等があります。
長所:行政機関によって受理された場合、処理期間が比較的短い
短所:a行政機関の裁量による面が多く、動いてくれない場合もある(地方保護主義等)、b権利侵害者に損害賠償を求めることはできない(損害賠償を求めるには、別途民事裁判を提起する必要がある)

②民事裁判
裁判所(人民法院)に対し、権利侵害行為の排除、損害賠償等を求める方法です。
長所:権利侵害者に損害賠償を求めることができる
短所:a権利侵害行為について、行政機関による摘発よりも比較的厳密な立証が要求される、b判決が出るまでに時間がかかる

③刑事告訴
警察(公安局)に対して刑事告訴する方法です。
長所:被疑者の逮捕や、権利侵害製品、製造設備の封印等強制力のある手段を採ることが可能
短所:模倣品の「販売金額」が一定額を超える等、刑事立件基準に合致する必要がある
この他にも、模倣品が中国から外国に輸出されようとしている場合、中国の税関に差押えを求める方法があります。また、模倣品が日本に輸入されようとしている場合、日本の税関に輸入差止を申し立てる方法もあります。


Profile Photo代表弁護士、慶應義塾大学法学(商法)博士。西村あさひ法律事務所(東京本部)、君合律師事務所(北京本部)での執務経験を経て、2014年から深圳で開業、華南地域の外国系企業を中心に法務サービスを提供。主な業務領域は、外国企業の対中国投資、M&A、労働法務、事業の再編と撤退、民・商事訴訟及び仲裁、その他中国企業の対外国投資など。

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