中国法律事情「中国での契約の違約責任の免責事由 その2」高橋孝治

2019/09/11

目から鱗の中国法律事情 Vol.34

前回は、中国での契約の違約責任の免責事由のうち、不可抗力の場合を説明しました。今回は、2つ日以下の要件を見ていきましょう。

(2)相手方の過失の場合
 契約を守りたくても、相手に過失があって契約内容を守ることができなかった場合も免責されます。例えば、相手方にモノをあげるという契約を結んでいたにも関わらず、相手方の過失でそのモノを壊した場合などです。こちら側としては約束を守りたいにも関わらず、結果として、相手側がそれを妨害してしまったのですから、約束が守れなくても免責されるのは当然のことと言えます。

(3)想定外の事故
 当事者が想定していなかった事故が起こった場合には、一定の契約の違約責任が免責されます。これは全ての契約に適用されるわけではなく、一定の契約の場合のみの免責規定です。例えば、中国の契約法(原文は「合同法」)第338条には、「技術開発契約の履行中に、克服不可能な技術的困難が発生した場合、研究開発の失敗もしくは部分的失敗の責任は、当事者の約定によるものとする。約定がないもしくは不明確、本法第61条の規定によっても確定できない場合、責任は当事者で合理的に分担するものとする」と規定されています。契約法第61条とは、契約の途中で契約内容を追加するための規定です。

 この契約法第338条の「克服不可能な技術的困難」が想定外の事件の具体例と考えられています。ここでは、技術開発契約の履行中に想定外の事故が起き、責任の所在を明確にする約束もない場合は、合理的な範囲まで違約責任が免責されるということになります。ただ、全ての契約に使われる要件ではないため、あまり使うことはないでしょう。

(4)相手方の過失の場合
 その他、法律で個別に認められた場合にも違約責任が免責されます。例えば、貨物運搬の契約を締結したものの、当該預かった貨物の性質から自然発火した場合や合理的な損耗が発生した場合にも違約責任が免責されるとしています(契約法第311条)。

(続く)


高橋孝治〈高橋孝治(たかはしこうじ)氏プロフィール〉
立教大学 アジア地域研究所 特任研究員

中国法研究を志し、都内社労士事務所を退職し渡中。中国政法大学博士課程修了(法学博士)。中国法の研究をしつつ、執筆や講演も行っている。行政書士有資格者、特定社労士有資格者、法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)。著書に『ビジネスマンのための中国労働法』(労働調査会)。詳しくは「高橋孝治 中国」でネットを検索!

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