日本人法律家・大嶽の中国法律相談室

2019/07/24

〜現地採用の日本人の労働契約期間について〜

最近、顧問先のクライアントより、次のような問い合わせを頂きました。

「弊社には、現地採用の日本人がいるのですが、現地採用の外国人であっても、労働契約法第14条に定める要件を満たせば、無固定期間労働契約を締結しなければならないのでしょうか?」今回は、外国人従業員であっても、無固定期間労働契約を締結する権利を得ることができるのか?という問題について解説いたします。

 

1.問い合わせ事項
現地採用の外国人従業員の労働契約期間について、当社では、本人から無固定期間労働契約を締結したいとの希望があっても、就労VISAの申請や労務管理の観点から全て固定期間の労働契約を更新してきました。

しかし、今回、10年連続して勤務した現地採用者(又は3回目の労働契約更新となる)より無固定期間労働契約を締結したいと強く要望されました。
この場合において、会社が無固定期間労働契約の締結を拒絶する場合、労働法違反になるでしょうか?
それにより労働契約違法終了の賠償金などのリスクが生じ得るでしょうか?

 

2.関連法令
本件において、適用される労働法令は次のとおりです。

・労働契約法
第14条(無固定期間労働契約)
無固定期間労働契約とは、使用者と労働者が終了時期を約定していない労働契約を指す。使用者と労働者が協議により合意に達すれば、無固定期間労働契約を締結することができる。
下記の状況のいずれかがあり、労働者が労働契約の更新、締結について提起又は同意した際は、労働者が固定期間のある労働契約の締結を提起する場合を除き、無固定期間労働契約を締結しなければならない。
(1)労働者が当該使用者において連続満10年勤務している場合
(2)略
(3)固定期間労働契約を連続して2回締結し、かつ、労働者に本法第39条並びに第40条第1項、第2項の規定する情況がないときに、労働契約を更新する場合

 

・外国人就業管理規定
第18条(労働契約の効力)
使用者は、雇用される外国人と法により労働契約を締結しなければならない。労働契約期間は、最長で5年を超えてはならない。労働契約は、期間が満了した場合、直ちに終了する。ただし、本規定19条の規定に従い、審査許可手続きを履行した後は、これを更新することができる。
第19条(就業証の効力)
雇用される外国人と使用者が締結した労働契約の期間が満了した場合、就業証は、直ちに効力を失う。契約を更新する必要がある場合、当該使用者は、元の契約の期間満了の30日前までに、労働行政部門に対して雇用期間延長の申請をして許可を受け、かつ、就業証の期間延長手続きを行わなければならない。

 

3.法的分析
外国人就業管理規定は、外国人に対する特別法であり、一般法である労働契約法よりも優先して適用されると考えられます。したがいまして、外国人の労働契約は、無固定期間労働契約に関する規定は適用されず、期間は最大でも5年となります。
外国人労働者が無固定期間労働契約を締結する権利を得ることができない理由としては、外国人労働者の権利は、国家が外国人の就労を制限する必要性に比して劣後するため、このようなロジックになるのでしょう。
また、外国人就業管理規定には、「労働契約は、期間が満了した場合、直ちに終了する」とありますので、労働契約の期間満了時に雇い止めをすることに法的な問題はありません。つまり、期間満了であれば、労働契約の違法終了の問題は生じえませんので、雇い止めをしたとしても、違約金の支払いは問題になりません。
このケースにおいて、経済補償金の支払いを要するか否かは法令では明確にされてはいませんが、外国人を労働契約期間満了で雇い止めする場合には、経済補償金を支払うことが合理的であって適切かと考えました。


ddd広東盛唐法律事務所
SHENG TANG LAW FIRM
法律顧問

大嶽徳洋  Roy Odake

行政書士
東京商工会議所認定
ビジネス法務エグゼクティブ
Tel:(86)755-8328-3652
E-mail:[email protected]

中国の法律事務所で10年以上の実務経験を有しています。
得意分野は、労働法・会社法・契約法です。
法律関係でお悩みのことがありましたら、お気軽にご連絡ください。

九州出身、趣味は卓球です。
深圳市で日本人卓球クラブの代表を勤めております。
卓球が好きな方は、ぜひお気軽にお声掛けください。
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