中国法律コラム39「新法令紹介」広東盛唐法律事務所

2019/04/24

日系企業の強い味方!
日本人法律家・大嶽の中国法律コラム

新法令紹介
〜採用行為を更に規範化し 婦女の就業を促進することに関する通知〜

2019年2月18日、人力資源及び社会保障部、教育部など9つの行政部門は、《採用行為を更に規範化し婦女の就業を促進することに関する通知》(中国語「関於進一步規範招聘行為促進婦女就業的通知」)(以下、「本通知」といいます)を共同で公布しました。

本通知では、企業の採用行為において性別による差別をしてはならない、性別を理由として女性の就業機会を制限してはならない、採用時に婚姻や出産の状況を尋ねることすらしてはならない、などと詳細に規定されました。

これにより、ここ中華人民共和国におきましても、男女雇用機会の均等について、より明確な規定がなされたといえるでしょう。今回のコラムにおいては、これについて解説させていただきます。

 

 

一、採用活動において禁止される行為

本通知が施行されたことにより、企業が採用活動を行ううえで、次の各号に掲げる行為が禁止されました。

(1)性別を限定・優先してはならない(国家が女子の労働を禁止している範囲を除く)。
(2)性別を理由に女子の就業機会を制限してはならず、女子の採用を拒絶してはならない。
(3)妊娠検査を入社時の身体検査の項目に含めてはならない。
(4)婚姻及び出産の状況を尋ねてはならない。
(5)出産の制限を採用条件にしてはならない。
(6)女子に対する採用基準を高め差別してはならない。

 

 

二、行政処罰について

本通知によりますと、行政部門は、告発を受けた場合など、性差別をしている使用者に対して面談などの方法により、調査やあっせんを行うこととされています。性差別行為をしている使用者に対して、行政部門は是正命令を下すことができますし、使用者が是正命令を受けたにもかかわらず従わない場合は、1~5万元の罰金を科すことができます。

 

 

三、助言

今後、会社が留意すべき点について簡単に次のようにまとめました。

1、採用行為について

使用者は採用計画を制定、実施するとき、採用関連の書類に性差別に関する内容が含まれないように注意すべきです。採用関連書類に、性差別に関する内容のある場合、行政機関に告発されたとき、是正命令を受ける恐れがあります。是正命令を受けても適時に改善しない場合や、再度類似の違反行為を繰り返した場合などは、罰金を科される恐れがあります。

 

2、女子従業員の労働保護について

(1)内部規則について
会社の就業規則等の内部規則において、女子従業員が男子従業員よりも不利な扱いを受ける内容など男女雇用機会の均等に反する内容があれば、これを削除又は修正する必要があります。

(2)人事スキームについて
今後の人事管理においては、男女雇用機会均等についてコンプライアンスを遵守し、女子従業員が性差別を受けることのないように配慮することがより重要です。企業は、自社の女子従業員の人数、職位、年齢などの具体的な状況に基づき、人的資源の配置について思慮深く検討する必要があります。これには、例えば、三期(妊娠期、出産期、授乳期)にある女子従業員に対する業務の手配や、出産休暇中の女子従業員の代替人員の手配、授乳期間にある女子従業員の休息に関する保障などの方面があるでしょう。
今後は、中国におきましても、女子従業員の労働保護にも十分配慮しつつ人事管理スキームを検討していく必要がございます。この問題について、疑問点等ございまいたら、いつでもお気軽にご相談いただければと思います。

 

以上

 

 


大嶽徳洋

広東盛唐法律事務所
SHENG TANG LAW FIRM

法律顧問
大嶽 徳洋 Roy Odake
行政書士
東京商工会議所認定
ビジネス法務エグゼクティブ

Tel: (86)755-8328-3652
E-mail: odake@yamatolaw.com

中国の法律事務所で10年以上の実務経験を有しています。得意分野は、労働法・会社法・契約法です。法律関係でお悩みのことがありましたら、お気軽にご連絡ください。九州出身、趣味は卓球です。深圳市で日本人卓球クラブの代表を務めております。卓球が好きな方は、ぜひお気軽にお声掛けください。部活経験者を特に歓迎しています。

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