目から鱗の中国法律事情 Vol.28「中国・契約法のファイナンス・リース契約」第2回

2019/02/04

 

ファイナンス・リース契約の締結

中国でファイナンス・リース契約を締結する際には、リース物件の名称、数量、規格、性能、検査方法、貸出期限、賃料の構成および支払期限・支払い方法、支払通貨の種類、貸出期間満了後の対象物の帰属などの条項を定め、書面による契約を行わなければなりません(合同法(契約法)第238条)。また、借手、リース会社、リース物件の売り手があらかじめ約定しておけば、売り手がリース物件の販売を拒んだとしても、借手は賠償請求でき、リース会社はこの賠償請求に対して協力しなければなりません(合同法第240条)。さらに、借手が売り手に対して持つリース物件を選択して購入する権利を、借手の同意がない状態でリース会社が勝手に変更してはならないことも明文で規定しています(合同法第241条)。

 

 

リース物件の法的地位

リース物件は当然リース会社が所有権を持ちますが(合同法第242条前段)、リース会社は借手にリース物件を占有および使用を保証しなければなりません(合同法第245条)。借手はリース物件を独占的に使用できますが、あくまで所有権はリース会社にあります。そのため、例え借手が破産しても、リース物件は借手の破産財産にならないことも法律上明確にされています(合同法第242条後段)。

また、リース物件が約束の条件に合わない場合や、使用目的に適合しない場合であっても、基本的にリース会社は責任を負いません。ただし、借手がリース物件の選択に関してリース会社に任せた場合や、リース会社がリース物件の選択に口出しをしていた場合には、リース会社もその選択に対して責任を負います(合同法第244条)。さらに、リース期間中にリース物件が第三者の身体や財産に損害を与えた場合も、リース会社が責任を負うことはありません(合同法第246条)。また、リース期間中にリース物件の修理義務を負うのは、借手側です(合同法第247条)。

前回述べたように、ファイナンス・リース契約とは、形式上は賃貸借ですが、事実上はリース物件の購入資金をリース会社から借り、購入資金を賃料の形で定期的に返済するという融資なのです。そのため、形式的にはリース会社がリース物件の所有者であっても、リース物件に関する責任を負うのは基本的には借手ということになります。通常の所有権と異なる点は、借手が破産してもリース物件が借手の破産財産にはならないという点くらいのものです。

次回は、ファイナンス・リース契約の賃料とリースの終了について説明します。(続く)

 

 


高橋孝治〈高橋孝治(たかはしこうじ)氏プロフィール〉
立教大学 アジア地域研究所 特任研究員
中国法研究を志し、都内社労士事務所を退職し渡中。中国政法大学 博士課程修了(法学博士)。中国法の研究をしつつ、執筆や講演も行っている。行政書士有資格者、特定社労士有資格者、法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)。著書に『ビジネスマンのための中国労働法』(労働調査会)。詳しくは「高橋孝治 中国」でネットを検索!

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