中国法律コラム36「障害者就業保障金について」広東盛唐法律事務所

2019/01/23

2015年以降、国家及び広東省は、関連法令に基づき《障害者就業保障金徴収使用管理弁法》及びその実施弁法を公布しました。

障害者就業保障金徴収制度とは、行政が使用者に従業員数の一定割合に応じて障害者を雇用することを強制し、その基準を満たさない場合に保障金を徴収する制度です。

新たな政策が実施されてからというもの、広東省において、障害者就業保障金の徴収が厳しくなりました。障害者就業保障金を滞納している多くの企業が、税務部門より督促状を受領しているという情報を得ています。

今回のコラムでは、広東地区の障害者就業保障金の現状についてまとめました。また、使用者が実務上直面しうる法的リスクについても解説します。

 

 

1、人数に対する要求について

在籍従業員の総数に対して一定割合以上の障害者を雇用しなければならないとされています(具体的な割合は省、自治区、直轄市などにより異なります。例:深セン市0.5%、広州市1.5%、東莞市1.5%、恵州市1.5%)。

 

 

2、障害者就業保障金の計算について

広東省における障害者就業保障金の計算公式の原則は次のとおりです。

保障金年度納付額=(前年度の従業員数×現地政府の定める障害者就業の割合-前年度雇用した障害者の人数)×前年度の従業員平均賃金

しかし、実務においては、広東省の一部の市ではこれとは異なる計算方式が採用されています。

深圳市:
《深圳市障害者就業保障金徴収使用管理弁法》【深残聯発〔2018〕3号】
保障金年度納付額=(前年度の従業員数×0.5%-前年度雇用した障害者の人数)×深圳市の統計部門が交付した前年度の従業員平均賃金×60%

恵州市:
《2018年障害者就業保障金の年度審査申告及び納付に関する通知》【恵州市残聯〔2018〕34号】
保障金年度納付額=(前年度の従業員数×1.5%-前年度雇用した障害者の人数)×前年度の従業員平均賃金

東莞市:
《2018年障害者就業保障金の徴収に関する通告》(2018年4月20日)
保障金年度納付額=(前年度の従業員人数×1.5%-前年度雇用した障害者の人数)×前年度の従業員平均賃金

例:
深セン市の会社で、従業員数が200人であり、障害者を雇用していない場合に徴収される障害者就業保障金は次のとおり。
保障金年度納付額=200人×0.5%×8,348元×60%=5,008.8元。

 

 

3、减免政策

工商登記の日から3年以内であり、かつ、従業員が30人以内の企業は、障害者の就業が規定に割合に到達していない場合、障害者就業保障金の徴収はされません。なお、不可抗力、自然災害、二年連続赤字、破産又はその他の事件が生じ、重大な経済的損害を被った場合など、障害者就業保障金徴収の免除を申請することができるとされています。

 

 

4、法的リスク分析

使用者が障害者と労働関係を形成する場合、労働関係により生じるさまざまな雇用リスクを負担しなければなりません(労働契約終了・解除の場合の経済補償金、違法解雇の賠償金、労災事故、業務外の傷病など)。現在の政策によりますと、使用者は、障害者と役務契約を締結する方法によって障害者を雇用することもできます。佛山、広州などの地域では、障害者と役務契約を締結し、障害者就業の年度審査をパスしている事例が見受けられます。この場合は、使用者と障害者との間に労働契約関係は形成されませんので、労働契約関係を形成することにより生じうる前述のリスクを回避することができます。

 

 

5、“名義借り方式”

一部の使用者は、現地の障害者聯合会又は人材紹介会社を通して、障害者の情報の提供を受け、使用者がその障害者のために低額の賃金を支払い、社会保険を納付する形で、障害者就業保障金の年度審査の申告をしているケースがあります(つまり、人材紹介会社又は障害者聯合会は障害者の情報を提供するに留まり、実際に障害者に出勤させることはないということ)。これは、いわゆる“名義借り”の方式であるといえます。現在、この方法は行政部門に禁止されてはおりませんが、就業者就業保障金の支払いを避け、コストを低減するために、虚偽の契約を締結しているとも考えられるだけに、今後、禁止される可能性もあると考えられています。

 

以上

 

 


盛唐法律事務所

広東盛唐法律事務所
SHENG TANG LAW FIRM
法律顧問
大嶽 徳洋 Roy Odake
行政書士試験合格
東京商工会議所認定
ビジネス法務エキスパート
Tel: (86)755-8328-3652
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