世界の億万長者の資産が19%増加して過去最高水準に

2018/12/12

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PwCとUBSが発表した調査によれば、昨年世界の億万長者の総資産は前年度から1兆4,000億ドル、約19%増加して8.9兆ドルとなり、過去最高水準となった。

香港の概況としては、人数が前年の69人から3%減少して67人、総資産額は21%増加して約3,347億米ドルで、平均年齢は65歳だった。自ら財を成した人の割合は63%で資産は一昨年で1,770億ドル、昨年が2,089億ドル。複数世代の億万長者の資産は一昨年が999億米ドル、2昨年は1,258億米ドルで、2種の億万長者の資産合計額は21%増加した。業種としては小売等が全体の40%、資材が20%、不動産20%を占めた。

次に中国。現在、世界の富豪の約20%は中国人である。2017年中国の億万長者の数は前年比17%増で373人、総資産は39%増で約1兆1,200億米ドル、平均年齢は55歳だった。373人のうち97%は自ら財を成し、総額の98%が彼らによるもので、資産額は2016年は7,891億米ドル、2017年は1兆910億米ドル。複数世代の億万長者の資産は2016年で152億米ドル、2017年には291億米ドルで、2種の億万長者の総資産額は39%増えた。業種は資材22%、小売等19%、工業17%、不動産が13%を占めた。なおAPAC※1の女性ビリオネアは20%増加し、うち58%が創業者だった。過去12年で人数は20倍になり、全地域の中で最高水準である。

「中国の過去の発展は序章に過ぎない。人口と技術革新、生産性の向上と政府の支援が結びつけば、個人事業のみならず、国民生活を向上させるさらなる機会が生まれるだろう。」と、UBSウェルス・マネジメントチーフインベストメントオフィスのAPACエコノミスト、フィリップ・ワイアット氏は述べた。

 

 

中国ビリオネアの今後の成長を握るポイントは4つある

1つ目は深圳の進化。貿易と知的財産関連の緊張が高まる中、深圳の起業家達は新たな事業形態を創造してチャンスを掴み、シリコンバレーを脅かす勢いだ。昨年新たに89人が億万長者になったがその数は米国の3倍であり、現在米国には119、中国には67のユニコーン企業※2が存在するが、2017年の米国と中国の創業向けVCファンディングはほぼ同額で、実に世界の投資価値の42%を占めた。彼らは米国の同種企業と比較しAI関連で4倍、ブロックチェーンと暗号関連で3倍の件数特許を取得した。

2つ目はファミリービジネスの発展である。家族で事業を運営し、複数世代の億万長者の62%、資産を相続したビリオネアの42%が新たな事業を開始した。親世代が子息に与えた早期のビジネス体験も実を結び、若きビリオネア達は自らの職歴とファミリービジネス、社会的利益に熱意を持って邁進している。

3つ目は社会貢献の存在だ。多くの億万長者達の妻や娘達は財団の重役等になり、変化する環境、社会への情熱を表明する役割を担う。ファミリービジネスを展開する億万長者の38%が既にサスティナブル投資を決意し、45%が1年以内の追加投資計画があると回答。39%が将来的に次世代が経営を担った際、より増加すると予測した。

4つ目は若い起業家達の継続的な成長だ。2017年に家業を継承した子息のうち62%、資産を継承した子息のうち42%が起業家を志すという。自国の急速な都市化と生産性の向上、サービス部門の技術革新を追い風に、AIや医療等の分野で事業展開する中国の若い起業家達は、世界のビリオネアの力を高める存在だ。PwC香港のプライベート・バンキング・アドバイザリーサービスパートナーのアントワネット・フーン氏は、「貿易戦争等の不安定要素が中国経済に与える影響は否めないが、若い起業家達が挑戦を止めることは無いでしょう。」と語った。

 

※1アジア太平洋地域
※2企業としての評価額が10億米ドル以上で、非上場のベンチャー企業

 

(テキスト:Hilary Kwan、翻訳:Shoko Masuda)

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