コンサルティング会社「WAYA」吴氏にインタビュー

2014/03/31

教えて！総経理！
今回は華南地域の日系企業から大変重宝されているコンサルティング会社「WAYA」を設立した吴氏にインタビュー。日中のそれぞれの企業の違いに迫る。

■御社の業務内容を教えて頂けますか？
はい。華南地域に進出している日系企業向けに、会計、税務、経営のコンサルティングサービスを提供しています。主に代理記帳や会計監査、会社設立などの手続き代行、また外国人ビザ申請も行っています。当初は会計から始まりましたが、次第に業務内容が幅広くなってきました。2005年に事業を始めた当初は、日系企業専門にやっているところはまだ少なかったですね。
■中国系の企業で働いたことはありますか？中国企業で働いた時と日系企業で働いた時の違いはありますか？
中国企業で働いたこともあります。医薬関連の貿易会社で、薬品を日本から中国に輸入する仕事でした。日中の違いはもちろんあります。
中国系の企業は、実績が何よりも重要、方法よりも結果を大事にします。日系企業の場合は、結果は会社が責任を持つため、会社の方針に従ったプロセスが重要だと感じました。中国企業では実績を重要視して行動するため個人的に評価アップのチャンスが多く、日系企業では結果を出しても会社全体の評価になるという感じです。
■なぜまた御社を設立されることになったんですか？
起業することが自分の夢だったと思います。何もないゼロの状態から会社が始まり、一歩一歩努力して前進したかったのですね。
■ご自身が起業する前に思っていたことと、実際に起業してみて、イメージにギャップがありましたか？
大きなギャップは無かったのですが、想定以上に強い責任は感じています。お客様からの無理なご依頼にも何とかして成し遂げて喜んで頂きたいという責任感です。その仕事は苦労しますが、お客様自身が困難な事を代理で解決するということでお客様には重宝されていると思います。
■日本人でも中国人でも、これから深センで起業しようと思っている方にアドバイスはありますか？
多くの日系企業が、先ず日本において、銀行や法律事務所、コンサルティング会社等にご相談されてご検討されていますが、意思決定に向けて最も重要な情報入手先は現地そのものです。理由はナマの情報がすぐに入手できるからです。また、中国進出へは中国を理解する事が必要
不可欠です。その理解が無ければ投資者や社内への説得力にも欠けてしまうと思います。
■中国のどんな部分を一番理解した方が良いでしょうか？
いつも日本式方法で考えるのは良くないです。中国人相手なので根本的なところでは日本人は理解できない事が必ずあります。そのことを知っておかないと無駄なところに力を入れてしまうことになります。日本の会社では重要なことでも中国では不要にした方が良い事もあります。仕事の細かい部分は信頼できる中国人または中国人に精通している人が判断した方が良いです。現地事情に通じて無い人へ判断を委ねると正確な判断は難しいです。
■深センで今さら起業するのはもう遅いぞ、という人もいますが、どう思いますか？
地方都市以外の沿岸都市の中で深センはまだまだ伸びる可能性があります。日系企業がまず深センに進出したのが、一般的な製造・生産・加工の業界でした。今からこれらの形態で起業するのは難しいと思われますが、業界によっては可能性があります。伸びる市場がある場合は今でも決して遅くはないと思います。
■起業しようという人、深センでがんばろうという人に、何か伝えたいことはありますか？
市場の要求が存在する場合、そこには必ずチャンスがあります。当社も市場の要求があるので現在も続いています。お客様の要求に応え、要求の変化にも対応しなければいけません。2005年当時、深センには会計事務所がすでにありました。それらの会計事務所は高額料金か、低額料金かのどちらかであり、求められた中間料金に応えるため、極力コストを抑え、高額料金の会計事務所と同じレベルの仕事に対応してきました。また、商習慣の違いに加えて言葉の理解が無いと難しいです。日本人が中国人向けのサービスを提供する場合には中国人のことを知らなければなりません。いろいろな習慣、どんな時に怒るのかなど……。そういう事を先ず勉強することをアドバイスします。
■ありがとうございました。最後にPPWの読者の方にメッセージはありますか？
時間があったら、PPWをよく読んだほうがいいですね（笑）。
■最後はPPWの宣伝までしていただきありがとうございます。とても参考になりました！