PPWビジネス通信 × アナシス Vol 11

2018/10/24

人事労務のアナシスによる誌上相談会
「来年の予算作成上で賃金改定率を決めたいのですが」

 

問い:2019年予算策定時期に来ています。まだ来年の賃金に関しても調査の依頼が来ている時期なのですが、各社はどうやって決めているのでしょう。なぜ来年の予算もまだ決まってないのに、今実施中の賃金改定調査に答えられるのでしょう?

黒崎:この時期の賃金調査はあくまでも予測を集めています。ひどい言い方をすれば、ある意味まだまだ「いい加減」な数値です。しかし予算作成上は、来期の人件費を何%アップさせるかを検討することになります。その直観に近い数値が「思惑」として集められるのがこの時期なのです。こうした調査は、年末や年明けに実施されます。景気や求人動向などでもその数値が時期内でも変化していきます。

直観とはいいながらも、5つの要素が考えられます。(1)過去の賃金改定率実績(2)GDP・CPI・失業率などの各種マーケットデータ(3)求人環境とマーケットプライス(4)自社の業績予測(5)組織戦略の5つです。これに(6)現地の賃金改定情報が入れば、賃金改定をさらに深く検討できるわけです。

予算作成時では、多くの企業は今年並みとまず数値を置くでしょう。環境の激変がない限り、なかなか大きくは変わってきません。ちなみに香港では3.4%、中国では約6%が今年のデータでした。深センと広州でも違いがありますし、自動車業界などではさらに1%増しといったような業界の差もありました。

そこに自社の過去経緯が加わってきます。「ここ数年抑えてきたのでそろそろ少し多めに」という企業も少なくありません。マーケットの上昇率と自社の上昇率推移との差は、蓄積されると結果として従業員給与のマーケットとの乖離が引き起こされていきます。

GDPなどのデータに関しては、昨今の米中経済戦争の影響含め各種団体は来期はやや厳しめにみているようですので、それをからめて検討することになるでしょう。また、現在の企業の採用意欲は引き続き堅調で、当然賃上げへの圧力となります。ここにも注目する必要があります。

そして最も大きいものは自社の業績予測でしょう。今年度の着地がプラスかどうか。そして来期業績予測。強気か弱気かで、過去改定率に対してプラスするかどうかが「直感的に」決まります。そしてそれがほぼ結論となることが多いようです。組織戦略を加えたこれら5つの決定要素が予算策定時には使われ、さらに現地の賃金調査などで他社と比較したうえで、賃金改定率が決定していきます。

 


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Photo③(revised)

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